7.魔物の仕組み
よく話を聞くと、世の中に陰の気、瘴気が溜まるのが原因となって普通の獣が変化してしまうのが魔物らしい。
『聖女』はその瘴気を浄化するのが仕事のようです。
ふむふむ。私は瘴気を浄化すればいいのね。
ちなみに私を失ったタフラス王国は瘴気を浄化する人間がいなくなったことで魔物には物理的に対抗しなければならなくなっただろう。とエヴァンス皇子に教えてもらった。あの国の行く末なんか興味ないけどさ。
魔物と物理的に対抗するのはかなり命懸けらしい。―――私なら嫌だ。
獣と対抗するのは容易だが、魔物となると全然要領が異なるとエヴァンス皇子は言う。
「そういう意味でもリカの存在はこの国には非常に有難いことなんだ。シークンス兄上はリカをただの平民の女だと思っているみたいだけどな」
そう言って悪戯っ子のように笑うエヴァンス皇子はレアです。できるなら国境を守る信者の方にも見せたい。
「国中の瘴気を浄化するとは、口で言うのは簡単だけど、これでも帝国は広いからな」
馬車で移動でしょうか?面倒だなぁ。
「私が浄化魔法の範囲を広げることができればいいんですよね!」
馬車で移動するのも、面倒だと思っていることも黙っておこう。
私は帝国の地図を拝借し、地図の国境をなぞるように帝国を囲った。その上で、帝国内に浄化魔法をかけた。
すると、ある邸からこの世のものとは思えないほどの断末魔の叫びが聞こえた。王城のテラスから様子を窺った。
「あれは……カースター侯爵家だな。侯爵家が魔獣の事件の黒幕だったみたいだな。証拠となる。魔獣は消えてしまったが……」
カースター侯爵家…どこかで聞いたような……あ!そうだタフラス王国でギャラン王子に‘真実の愛’とか言って言い寄ってた令嬢がカースター侯爵家の令嬢!
「エヴァンス皇子、魔獣の供給元はタフラス王国のカースター侯爵家だと思います。今のタフラス王国は魔獣が産まれ放題ですからね」
そう言い残して、私は魔力を使いすぎたようで気絶してしまった。
「なるほどな。タフラス王国産の魔獣を俺の騎士団に引き入れたのか?目的がわからんが。そんなに簡単に騎士団に魔獣を引き入れることができるものだろうか?」
「恐れながら殿下」
「なんだロブ?」
こいつは護衛としては優秀だが、忠誠心が強すぎるというか……。
「そんな権力を持っているのはシークンス様と陛下のお二人かと……。さらに、陛下は除外するとしたら、黒幕はシークンス様という事に……」
「陛下を除外する理由がわからないが、シークンス兄上か……。確かに兄上は俺のことをよく思ってないだろうな。俺の方が民衆からの支持があるからな。貴族からの支持は知らないが」
「エヴァンス様は貴族からの支持も得ております。そう考えると、王位継承権を持つものとしてエヴァンス様は邪魔なのでは?」
「言葉が過ぎるぞ!」
「申し訳ありません」
とは言うものの、シークンス兄上かぁ。あり得るだけに相手にするのが面倒だなぁ。リカが『聖女』だという事は黙っておこう。『聖女』だと分かれば、兄上にどう使われるものだかわからない。あやうい能力だ。
権力争いって汚い…。




