2.‘真実の愛’って何?
元々素直な性格なのでギャラン王子様は数カ月で私の理想の金髪碧眼の細マッチョな長身イケメンしかもジェントルマンとなりました。
しかし、私に対して怯えているきらいがあります。
なんで?
これで心置きなくギャラン王子様と『聖女』リカとして婚約ができるというものです。
というのにどういうことでしょう?
どこぞの侯爵令嬢が‘真実の愛’とか言い出し、ギャラン王子様と婚約をしたのです。
イマドキ‘真実の愛’というのが笑っちゃうんですけど、私の努力を返してほしいですね。
それに…本当に‘真実の愛’ならばギャラン王子様のビジュアルが変化する前からヴィオル侯爵令嬢が何らかのアクションをしてくるはずですけど、ギャラン王子様のビジュアルが変わったからこそのヴィオル侯爵令嬢の動きでしょうね。やはり‘真実の愛’などではなく、笑える。
これにより、私はお役御免とばかりにお城から住む場所を失いました。
さて、どうしましょうか?
うーん、この国は恐らく衰退していくでしょうね。せっかく召喚した聖女リカを失ったのですから。
とすると、私は隣国キャプ帝国へと行きましょうか。
いきなり困りました。
国境にて、私の身分を証明するものが何一つないのです。
前の世界なら学生証とかあったんですけど、この世界だと何にもありません。
このままだと、ギャラン王子が即位し、王妃にヴィオル侯爵令嬢が治まるというタフラス王国から脱出できない!それは困ります。
タフラス王国は恐らくギャラン王子の即位を待たずに荒れるでしょうから。
私は是非とも隣国のキャプ帝国に行きたいのです!
行くではなく、むしろ逃げる?難を逃れる?
「困っているようですね、お嬢さん。おや珍しい。黒髪に黒目」
私としては貴方のような金髪碧眼の方が珍しいです!
「もしかして、いや、こんなところにいるはずがない……」
とかブツブツ言い出したので、「なんですか?」と聞くと、
「いや、あの、文献に出てくる『聖女』様の特徴と同じだから焦ったけど、『聖女』様がこんなところにいるはずはないよなぁ」
とかなんとか言うので、これまでの事を洗いざらいぶちまけてやった。
今後のタフラス王国が多分ヤバいからキャプ帝国に行きたいけど、何一つ身分を証明するものを持っていないことも話した。
「ああ、そういう事情なら俺としては大歓迎」
国境もこのキラキラした人と一緒にいるとスルーパスすることができた。
この人は権力者、あるいは大商人とかなのかな?
そんなことは今はどうでもいい。とにかく国境を越えられて良かった。
謎の女の登場のせいでリカの苦労が台無し。城も追い出されて仕方なしに他国に行くことにした時に出会ったキラキラした人はいい人ですねー。




