11.まだエヴァンス皇子視点
ロブの話だと、リカは恥ずかしがり屋だという設定ではいしか言わなかった。恐らくだけど、シークンス兄上の命令だろう。どっちにしろ、神父の前で誓ったわけだし晴れてリカはシークンス兄上と婚姻が成立したわけだ。父上の同意はないが。
恐らくだけど、父上もリカ同様に何もできない人形のよう。兄上の思うがままに動いている。結果、父上にも薬を盛ったことが予想される。
しかしなぁ、幼い頃より様々な薬に耐性がつくように、と毒とか飲んできた王族にまで効く薬…。新薬だろうか?父上やリカで人体実験?は危険をはらんでいるから、同様の症状の人間がいるはずだ。でもなぁ、実験していることがわかってやっているんだったら、既に始末している可能性が…。
今は一刻も早くリカの保護と解毒。新薬の解毒ってどうすればいいんだ?とりあえず大量の水を飲ますか?
シークンス兄上はリカと婚姻を結んだという事実で気が緩んでいるのだろうか?リカを俺が救い出すことは容易だった。
「リカ!リカ!俺がわかるか?」
「……」
全く反応がない。新薬の効果は絶大だなぁ。
「『聖女』ともあろう者が情けないなぁ?この体たらくじゃあ、ヴェールスにも愛想をつかれるだろうな」
と、リカがダメージを受けそうな言葉を言ってみた。
「ヴェールス皇子……」
「おい、リカが反応する。今すぐヴェールスを連れて来てくれ!リカの一大事だって言えばあいつも動くだろう!」
しばらくしてヴェールスはやってきた。
「エヴァンスあにうえ―。エヴァンスあにうえならリカをまもれるとおもってたのに、リカをこんなめにあわせて!」
プリプリと怒っているが、我が弟ながら可愛い!それはさておき…。
「何にも反応しないリカがお前の名前に反応したんだよ!それで、呼んでみた!」
「まったくしょうがないあにうえだなぁ。リカ、リカ、ぼくのこともわすれちゃったの?」
あざとさも感じられないといえばそうとも言えないが、一刻を争う事態でそんなことは言っていられない。いつまたシークンス兄上がリカを連れて行くかもしれないのだから。何しろ、シークンス兄上の正式な嫁と言えるのだからな。父上の同意はないけど。
「リカはヴェールス皇子の事をキチンと覚えていますよ?あれ?私はなんでこんな格好してるの?」
リカの意識が戻った。
「まったく、こんなかんたんなことなのにエヴァンスあにうえにはできなかったんだ」
ヴェールスがちょっとドヤ顔でこっちを見る。可愛いけど。
リカは本当にヴェールスが好きだなぁ。可愛がってるもんな。俺はちょっと凹む。俺よりもヴェールスの方がいいのか……。
リカにはこれまでの事と次第を伝えた。
「え?マジで?それって酷くない?私の意志も無視してさぁ。あんなのと結婚したくないって!」
「それなんだけど…神父の前で誓った時点で婚姻が成立してるんだよ。一応俺がリカを保護するけど、シークンス兄上の使いとか来ても、『リカはいない』でやり通す。あと、お願いがあるんだけど、俺の父上なんだけどリカと同じ薬を盛られたっぽいんだ。虚ろで。以前はもっと国王としての威厳が滲んでいたんだけど、今はベッドの住人になってる」
「その国王を『聖女』の力で治療すればいいのね?」
「そう。父上なら今回の婚姻を無効にする力を持っているから」
「それは重要ね!」
やっぱり推しの力は強いなぁ。




