10.エヴァンス皇子視点
俺の勘だと、すぐにでもリカと婚姻を結ぼうとするだろうな。挙式は王宮で。伝統を重んじる兄上らしい。俺もヴェールスも招待されていないが。招待されているのはシークンス兄上と賄賂という形で繋がっている人物か?
ここで、一網打尽にしたいな。
ところで、父上は招待されているんだろうか?
父上はここのところずっと中空を見ている。もはや廃人のようだ。だからこそ、立太子、並びに即位の声が大きいのだ。
リカなら父上の状態を治すことができるのでは?
「挙式の前にこの水をどうぞ」
私は飲んだ。イライラして、ちょうど喉が渇いていたからちょうどいい。でも、なんだか水にしてはマズい。私の味覚が変なんだろうか?
「よいお式を……
そうカースター侯爵が言った後は意識がない。
俺は呼ばれてはいないが兄上の挙式に参列した。
リカは美しかった。が、その目は虚ろでなんだか父上のようだった。これはまさか…兄上サイドが薬を盛ったんだろうか?薬を盛られている人の治療は出来ても、まさか『聖女』が薬を盛られるとは…。
兄上はどこまで王位に固執しているのだろう?
父上を薬で無能にし、自分の支持を頑丈にするために『聖女』との婚姻。
リカに薬を使うとは…考えもしなかった。
俺が考えている間も式は進み、「誓いますか?」と神父に問われるとシークンス兄上が「彼女は恥ずかしがり屋でなかなか返事ができないんですよ~」と言いながら「はいと言え」と命令すると、人形のように「はい」と答えた。
会場のボルテージは一気に上がった。俺の怒りボルテージも一気に上がった。
「兄上!薬を使って何をしようとしているんですか?」
「式に招待していない人間が紛れ込んでいる。衛兵、外へ出せ」
俺は虚しくも会場から追い出されてしまった。
「主君、落ち込むのは早い。このロブが一部始終見てきます」
そう言って、ロブが式場内に入って行った。
確かに証拠もないのに、疑うのはよくないな。
さて、証拠集め。俺が個人的に使っているロブのように諜報活動ができる連中にカースター侯爵家と、花嫁の控室に薬がないか?あるなら証拠として押収を。という命令をした。とにかく証拠を集めよう。今できるのはそれしかない。
リカならこの挙式、嫌がるだろうからなぁ。薬を使ったんだろうけど。
まさか、こんなになるとは思わないだろうな。
今意識がないのが幸いというか、なんというか……。
卑怯だねぇ。そんな人が国のトップとかヤダよ。




