第3話 ハーレムはいつだってご都合主義
書くことはたくさんあるのに、どう書いていいかわからない。そんな時期。
前回のあらすじーーーー
昼食の時間、この俺隆朋は総介、明久、彰の三人からあかねに付いて質問攻めにあっていた。しかしそれを華麗に撃退した俺はゆうゆうと昼食の続きをするのであった。
放課後、俺がmy スイートルームに向かうとそこでは女子生徒2人が、というか美雨とあかねが2人で白き花を咲かせていたのだ!これはイケナイ!私は二人のじゃまをしてはいけないというジェ〜ントルマ〜ン的思考と合理的思考の結果扉を締めたのだ。
そして今!私は椅子にぐるぐる巻きにされた状態で恋愛相談をしたいと話す生徒、茂木流菜と相対している....!
・・・
ここお悩み部の部室には緊迫した空気が流れていた。鋭い怒りの表情で相談相手を睨むもの、その怒りの目線を飄々と受け流すもの、特に何も考えてなさそうにあくびをするもの、
ただ一人目を細め椅子にぐるぐる巻きになっているもの。誰もが各々の一挙手一投足に意識を向けている。それはまるでアクション漫画の最終決戦を彷彿とさせていた。
しかしそのような場所の中で一人動くものが現れた。
「このまま黙っていても仕方がない。流菜さんも経ったままでは疲れるでしょうから手前にあるソファにでも座ってお話しましょう。」
この一言を皮切りに止まっていたときがまた流れ出すかのようにそれぞれが動き始めた。
「お気遣いありがとうございます!では失礼して!うぉっ!結構ふかふか....。」
「ふんっ!」
「ふかふかでしょう?お気に入りなんです♪あかねちゃん、そんなに思いっきり座られたら、壊れるよ?」
「そんなに重かないわよ!」
そうして立っていたもの全員がソファに座った。
「.........え、俺だけこのまま?」
「え!あまりにも部長が何も言わないから居心地がいいのかと思ってたよ....。」
「俺もまだそんなにマゾじゃないよ!?」
ーーー
「それで流菜さん。恋愛相談との話と聞きましたが、詳細を教えていただけますか?」
やっと縄から解放された隆朋が流菜へと本題の話を振った。
「はい!了解です!えぇっとですね〜、私吹奏楽部に入ってるんですよ。うちの吹部って部員多いじゃないですか。だからその分練習時間とかに色々な子のひそひそ話が聞こえるんです。それでよく男子たちの話で聞こえてくる話がッ.......!」
ここで流奈の言葉が途切れた。というよりも次に言う言葉を溜めに溜めているようだった。
「何焦らしてるのよ。もったいぶらずに言いなさいよ。」
痺れを切らしたあかねが流奈に話を促した。そうすると流奈はすごく演技ぶった表情で
「あかねさんって.........可愛くね?だったんですよッ!?」
「ふぇっ?」
流菜の言葉と同時にあかねが固まった。訂正しよう俺も固まった。しかし俺は圧倒的な意志で己を律して話を続けた。
「えっと、つまり流菜さん自身の恋愛相談じゃないってことですか?」
「何を言ってるんですか?私に関係大アリですよ!あかねは私の大親友なんです!いつから私とあかねが一緒だったかわかりますか?0歳からずっと一緒なんですよ!?あかねのことなら何でも知ってます!5歳の頃に兄と一緒にいたいからと学校までついて行ったり、小学生の時にバナナの皮で転んで以来怖くなってバナナが食べられなくなったり、未だにぬいぐるみがないと一人で寝れないことも!それなのにどこの馬の骨とも知らない男どもがあかねに勝手に近づいてもしあかねになにかあったら大変なことになりますよ!?私が!」
まるで吹き飛ばされるかのような言葉の速度であった。何なら少しソファが下がったかな?それぐらいの熱量で流菜は相談理由を話した。なんかあかねのことを考えている友達思いな感じに聞こえてたけど、最後の一言ですべて理解した。この人多分ヤンデレ属性だわ。愛がすごいわ。たぶんあかねに彼氏のひとりやふたり出来たなんか知ったら彼氏さん刺されちゃうな、アーメン。
そうして未来のあかねの彼氏へ黙祷を捧げているとなにか隣にプルプルと震えているものがいた。いやまぁしょうがないと言えばしょうがないんだろうな、恋愛相談をすると思っていたのに蓋を開けてみれば普段感じていなかったクラスの男子からの好意を話されたり、自分のはずかしい事を幼馴染に暴露されてたりで情緒がおかしくなっちゃてる。
「あかね〜?大丈夫か〜?めっちゃ赤くなってるけど息してる?」
「っ!だ、大丈夫よ!べつにぬいぐるみといっしょに寝ることぐらい普通でしょ!?」
「お、おう。大丈夫なら良いんだよ。」
なにもぬいぐるみと一緒に寝ることについてなんて何も聞いてないんだけどな。
「あかねちゃん、別にぬいぐるみと一緒に寝ることは全然恥ずかしいことじゃないんだよ〜。私もお家だとベッドの近くにたくさんあるわ♪」
「そ、そうなのよ!やっぱりおかしなことじゃなかったんだわ!」
「そうだよ!未だにぬいぐるみとしか寝れないあかねはかわいいもん!」
……..なんか目の前で急に百合の花が咲き始めたんだが。ふっ、眩しすぎて目が開けねぇや。俺の眼前だけ顔面偏差値が高すぎるんだよな。これはだめだ、このままだと眼の前の景色に吸い込まれちまう。
「そろそろ本筋に話を戻してもいいか?ええっと、流菜さんは結局の所あかねに近づく火の粉を消し払ってほしいっていうことでいいですかね?」
「はい!そういうことです!ただ蹴散らすだけだったらあかねに邪な目線を向ける奴らに少しお話をすれば大体の人が大人しくなってくれるんですけど、そうするとあかねの印象が悪くなっちゃうので....。」
「少しお話をするだけであかねの印象が悪くなっちゃうなんて一体どんな話なんだろうね。聞いてみたいけどそれには己の覚悟が多大に必要になりそうだから今回はやめておくよ。それで解決策の方法なんだけど........」
解決策の方法は相談内容を聞いたときからもうある程度決まっちゃってるんだよね。
「あかねと流菜さん.....ちょっと2人、カップルになってくれない?」
「「...........え?」」
うん、なかなかのシンクロ率だね。
ーーー
時間は飛んで時は土曜日。ここ、鳳篤駅の人気の少ない少し入り組んだ所にある喫茶店に女子三人と男子一人がいた。言わずもがな先日のメンバーである。普通、隆朋からすれば土曜日は家にこもりゲームをしたいところである。しかし今彼にそのような肝は一切ない。なぜならば!
純白のワンピースにその小さな身を包む少女、美雨。その姿は完全なる天使!ブラウンの髪と瞳は真っ白なワンピースは完全なる調和を生み出し、道行く者を魅了させるだろう。
少しスポーティーながらもあどけないかわいさの残る流菜。その見た目はまさに初恋殺しであろう!その元気はつらつとした見た目に心奪われてきた少年は数知れないだろう。
そして大人っぽい雰囲気を醸し出すあかね。そのTHEおしゃれと言うしかない姿はある種のATフィールドを形成していた!その美しさに誰も近づくことは出来ないだろう。
そんな本来ならば高嶺の花でしかないような女子達と自分一人だけで出かけることになったのだ。俺も健全な男子高校生、乗るしかないだろう?このビックウェーブに!そのことを考えればたかだか休日一つがつぶれるなど安いものだろう?それでは俺は作戦Dいう名のハーレムでもしますか!
「それじゃあ全員そろったところで作戦決行しますか!済みませ~ん!お買いk「あれ?隆朋殿ではありませんか!?」「おっ!ほんとだ!ヤッホー隆朋」「ちょっと彰に明久!戻ってきなよ!なんか隆朋お取り込み中っぽいよ!」」
………グッパイ。俺のハーレム計画。
ここは鳳篤駅西口のとある小さな喫茶店。70歳ほどのおじいさんとその孫と二人で切り盛りされているため少し提供は遅いが店内の空気感や客がほぼいない分強調されるジャズが心を落ち着かせ時の進みを早める。そんな喫茶店にはあるまじきオーラの塊が店内のある一角で渦巻いていた。
「それで隆朋殿?先ほどの光景を詳しく、お教えしてもらってもよろしいか?あなたはあそこで何をしておられた?あそこには美雨殿、先日の話題でも挙っていたあかね殿、そして見知らぬ見目麗しいお方が一緒におりましたが。」
刹那
隆朋はその手に持っていたスプーンをある柔らかな物体へとめがけて進める。その先にあるのは………プリン。
とてつもないスピードで掬われたプリンは持ち前の柔らかさでプリンッと揺れる。しかしその速さは尋常ではないプリンの震えは音を置き去りにしているようだった。
だがそれをも上回るスピードで隆朋の手にあるスプーンは彰の口に向け突進していた。普段ならばそれを観測できるものは彰、総介、明久の三人だけである。しかし極速のスピードで進むスプーンを止めたのは先ほどまで洗い物をしていたはずの齢70歳を超えた店主であった。
「なッ!?」
予期せぬイレギュラーに隆朋は驚愕の色を隠せずにいた。
「ここは喫茶店。こころを落ち着かせる場所ですよ?あまり急ぎすぎずにいてくださいね。」
そう言って店主はまたカウンターへと戻っていった。
「さてと、まさか私をプリンで黙らせようとするとは、隆朋殿もなかなかの手練れですね。それで先ほどの話についてしゃべっていただけますか?」
「そうだぞ、俺たちは高一からの親友だろ?隠しごとは良くないわなぁ~。なぁ?とよそー。」
「そうそう。親友なんだからさ?」
三人の圧に押され隆朋が小さく口を開く。
「実は昨日うちの部活に久々に悩み相談が来てさ。それが友達の周りに飛びかかり火の粉を振り下ろしたいって内容だったんだ。それでその依頼主がさっきいた黄緑色の髪の毛の人で茂木流菜さんって言う人なんだけどあかねの友達みたいなんだよね。」
「なるほどつまり今回のこれはその解決策としてのものだったんだね!」
「あぁ!そのあかねちゃんと流菜ちゃんが仲良くしてるところを見られればむやみに近づく男子も減るって寸法か!」
総介と明久が納得している中、一人だけまだ疑わしい目線を送ってくるものがいた。………彰である。そして彰は重々しく口を開いた。
「本当の理由は?」と。
その嘘は許さないと言うかのような圧倒的な威圧感が隆朋を問い詰めた。
「え?ど、どういうことだ?俺はた、ただ相談してくれた相手の悩みを無くそうとしているだけだぞ!」
そう言って彰に対して反論するが、彰はあくまで冷静なまま話を続けた。
「相手の悩みを相談するためにやった。と言っているようですが、それは本当ですか?その流菜殿はあかね殿の友達なのであろう?隆朋殿のお悩み部に相談しにくるほどにあかね殿と親しいのであればもう土曜日に二人で遊ぶなど普通のことなのではございませんか?しかももし二人で仲良くしているところを本校の生徒に見てもらうことが重要なのであるならば別に外である意味はないのでは?」
「そ、それは.....」
隆朋が言葉に詰まっていると彰はトドメとばかりに言葉を重ねた。
「隆朋殿....。あなたにとって土曜日とは何なのかを少し前に聞いたことがありましたな。その時あなたは唯一人にも時間にも邪魔されずにただ自分の好きなことして過ごすことができると言っておりましたな。しかし今のあなたはどうですか!?いつもならあなたは10時起きだと言っていた!しかし今は8時半だ!あなたはいつも休日はずっとジャージだと言っていた!しかし今のあなたはきつ苦しいGパンを履いているではないか!そんなにまでさせる理由はあなたには一つしかない。あの方々が可愛らしく、美しいから。そうでしょう?」
もう、隆朋に逃げる道はなかった.......。
「うっ...!、......正直!あんなかわいい女子たちと自分一人だけで駅を歩いて道行く独り身男子から羨ましがられたかったですっ!」
「えー隆朋!?それは許せないと思います!」
「美雨さんは鳳篤高校のアイドルみたいなものですからね〜。それはちょっとね〜。世間は許してくrえゃすぇんよ。」
総介と明久の言葉と視線が隆朋へ鋭く突き刺さる。
「隆朋。よくぞ言ってくれた。本当のことを聞けて俺は嬉しいよ。でもいいか?俺達の間で隠し事はできるだけしないようにしてくれよ?」
「彰......」
こうしてやっと、喫茶店に柔和な雰囲気が流れ出した。
「そう言えば結構話したけど、隆朋はあの子たちと一緒じゃなくていいの?」
「あっ!そうだった!なんか色々やばいこと言われそうだったから先に行かせたんだった!ごめん!ちょっと先抜けるわ!」
そうして足早に隆朋は会計を済ませて店を出た。
「.......さてと。諸君先程の話は頭に入ったな?」
「あぁ.......」
「うん.......」
隆朋が店を出たことを確認し、彰が静かに喋り始め、明久と総介が呼応した。
「隆朋を、尾行する........」
……..まだ恨みは晴れていなかったらしい。
いろんなネットミームください!




