第2話 人の恋路に土足で踏み入るべからず
あんまり主要キャラでちゃんとデブいやつっていないよなぁ
教室に降り注ぐ暖かな春の眼差し。柔らかな風とともに入り込むその空気は生徒のみならず教師さえも眠りへ誘っていく。しかしそこでチャイムが鳴った、4校時目の終わりを知らせる鐘だ。先程までの静けさからは一転学校全体が音に包まれてゆく。友達とともに昼食を囲む者、昼練だからと嘆いている者など多種多様な光景が見受けられた。そんな中で異様な空気を放ちつつ4つ弁当を囲む男たちがいた。
「ひとつ汝に問おう。」
口の形に並べた机4つの隆朋の対面に座るふくよかな体を持った男子が隆朋の方を向きながら深刻そうに呟いた。
「な、なんだよ」
隆朋もそのものから異様なオーラを感じ取り静かに耳を傾けた。
「汝、昨日なにやら見目麗しい方を連れて部室棟に入っていった姿を見たのだが、これについてなにか反論はあるかな?」
刹那
隆朋は持っていた箸を自身の弁当へ素早く動かした。その先にあるは..........肉団子。
肉団子をガッチリとホールドした隆朋は掴んだ勢いを利用して思い切り立ち上がりながら掴んだ肉団子を彼を問い詰めた者の口へと伸ばそうとした。その動きは他のものには捉えることは出来ないだろう。その場にいた3人を除いたのならばの話だが...
結局のところ肉団子は届かなかった。なぜなら動きは両隣で大人しく聞いていた2人によって抑えられていたからだ。隆朋の動きを封じた2人は静かに隆朋へ語りかけた。
「大人しくするんだ隆朋。大人しくするなら悪さはしない。」
小柄な男子豊田総介がいう。
「離してくれ、とよそー。お前はこんな事するやつじゃなかったはずだろ?」
隆朋がそれに対し優しく開放の要求をする。
「とよそーの言うとおりだ。俺達はただ少し話が聞きたいだけなんだ。」
といかにも体育会系な男、村木明久が言う。
「ちょ、明久!それ以上そっち側に力入れられると危険な気がする!って何俺の肉団子羨ましそうに見てんだよ!離せ!」
明久は隆朋の肉団子を持った右手の上腕と前腕をがっちりホールドしていた。
そんな中ふくよかな男、亀宮彰がゆうゆうと喋りだした。
「まぁまぁふたりとも離してあげてください。まさかこの私を肉団子で黙らせようとするなどその判断力には驚きを隠せませんよ。それで今私が聞いた内容、真偽の程は如何に?」
2人から体の拘束を解かれ静かに着席した隆朋は言いにくそうな顔をして話し始めた。
「新しい部員だよ。ほらおれ学校の生徒の悩みを聞いてできる限り解決するっていう部活やってただろ?でもけっこう部員が減ってたから新しい人を勧誘して一人増えたんだよ。」
「なるほど。ですがあれ程の美人そう見ません。2年生でも見たことのない顔でしたし、誰なんですか?」
隆朋の弁明のあと彬はそう聞いた。両隣にいる総介や明久も興味深そうに聞いている。
「い、1年の人だよ。」
その瞬間その場にいた3人の動きが固まった。次に口を開いたのは彰でなく、総介だった。
「一年生って、まだ新学期が始まって4日しか経ってないよ?その間に新しい部員見つけちゃったの?」
「そんな...あんなかわいい女子が隆朋の部活に入ったのか?しかも学校始まって4日で?」
「ほう。まさかとは思っていましたがそういうことだったのですか。」
「俺の部活ってあの一件以来部員が減って廃部寸前だったんだよ。だからどうにかしなきゃって思ってさ。でも同じ学年の人に声かけるの気まずいし今なら運動部とかも一年生勧誘してるかなと思ってそれに隠れて俺も勧誘してたら何故か相手から入部するって言ってきたんだよ。」
三人の言葉に答えるように隆朋が話した。
「それは聞き捨てなりませんなぁ!隆朋殿!」
それを聞いた彰がここぞとばかりに言葉を畳み掛ける。
「相手から入部しに来た!?あなたのことでしょうから具体的な部活の内容も話さずにいたのでしょう!?そうであるにも関わらず相手から!入部しに!来たと!それすなわちどういうことかあなたはわかっているのですか!?」
「めっちゃ熱く話してるけどさ彰。その敬語キャラいつまで続けるつもり?」
さっきからずっと気になっていたことに対して隆朋が問うた。
「相手の恋路に対して土足で踏み入って良いわけがなかろう?それでもと言うならば隆朋殿から了解してくれれば良いものを....。」
「わかった普通にいつもの口調でいいから戻ってくれ」
そう言って彰に対してもとに戻るように促した。
「了解。それでその新しく入った後輩についてもっと教えてよ。」
「名前は木村あかね。性格はなんか....我が強いというか。」
「なるほどツンデレか。いいね!」
「違うわ!」
彰のおかしすぎるボケを突っ込んでいるといつの間にか弁当を完食していた明久が口を開いた。
「それで何時そのあかね?って子と付き合うん?」
その言葉が発された瞬間、今までガヤガヤとうるさかった教室がしんと静まり返った。そう思ったのもつかの間、クラスの全員が一斉に喋りだした。
「え!?隆朋彼女できんの!?」
「相手誰?相手誰!?」
「その子可愛かったら俺に紹介して!」
予期せぬ質問攻めに隆朋がフリーズしてるとそれを見かねた総介が間に入った。
「ちょっとみんな隆朋がショートしてるって。聞きたいなら後でゆっくり聞いてあげて?」
総介がそう言うと集まってきた者たちは渋々といった感じで各々席へ戻っていった。
「なんかこれから大変になっていきそうだな。」
彰がそう言うと昼休憩の終わりを知らせるチャイムが鳴った。
・・・
『放課後』それは多くの生徒達が最も青春を謳歌する時間と言っても過言ではない。あるものは部活として運動に励み、あるものは研究会や同好会として同じ趣味を持った部員たちと談義を交わす。そしてあるものは、まぁこれに関しては言わないほうが互いにとってwinwinだろう...。
兎にも角にも!この放課後という時間は高校生たちが最も何にもとらわれないある種『自由』なひとときと言ってもいいだろう!そしてここにも心地よいひとときを過ごすために自らの部室に向かうものがいた。物に溢れながらも統率の取れた配置がされている部室。多少のホコリが舞いながらも立地の関係で光が差し込み、反射し、幻想的な空間を作り出している部室。そんな彼の第二の住処と言っても過言ではない部室に入るために彼はドアを開けた。
「あぁ!会いたかったぞ!愛しの我がmy room!ってえぇえええ!」
愛してやまない自身の部室には2人の女子生徒がいた。.....片方が片方を押し倒すような形で。いや!ぎり押し倒しているだけならばまだ事故だと思えた。しかし彼女らは!口を!交わして!いたのだよ!しかしここで騒いではいけない。ここで騒いでしまってはもうそれはただの百合に挟まる間男だ。ここは2人の愛を尊重し静かに立ち去るのが吉というものだ。何故か散らかっている部室の中の様子にはこの際一旦目を瞑ろう。そう考えながら俺はゆっくりと扉を閉めた。
「ちょっと待って!誤解よ!そのまま扉閉められちゃったら事案になっちゃうじゃない!」
なんか相手を押し倒している赤毛のやつがなんか言ってるが関係ない。人の恋路に土足で立ち入ってはいけない。2人の邪魔をしてはいけないのさ。
時は少し遡る。先日生まれ変わった相談部の部室に向かう一人の女子生徒がいた。少しくすんだ茜色の髪をサラサラと棚引かせ歩く。その姿は窓からさす光によって神々しく見え、道行くものの目を釘付けにする。道行く者が居ればの話だが....。ここは部室北棟別棟、廃部をギリギリで躱し観察処分を受けた部活の集う場所である。普通廃部の危機に陥った部活は復活できずにそのまま消滅してしまうためこの別棟に来る部活の数は多くない。そんなことを話しているうちに彼女すなわち最近新たにお悩み部に入部した生徒である木村あかねは部室に到着するやいなや部屋を掃除し始めた。
「あれ〜?あかねちゃんどうしたの?」
先に部室に到着し優雅に睡眠の準備をしていた美雨が戸惑いながら問いかけた。
「今日もうちょっとしたら友だちが来るのよ。それなのにこんな汚い部屋には呼べないわよ!全く...何でこんな部屋で寝れるのよ。」
「あっ!今の言葉は心外ね。私は一つの場所を除いていかなる場所でも寝ることができるのが特技なのよ。それにここは私が寝れる場所の中で一番心地良い寝床なんだから!」
「えぇ〜?だってここホコリまみれよ?しかもものでそこら中溢れかえってるじゃない!こんなところで寝たら...死ぬわよ!?」
「んん〜。死にはしないかな?まぁまぁ、あかねちゃん。そう言わずに一回寝てみようよ〜。」
そう言いながら美雨はゆっくりと自分に背を向けているあかねにこっそりと近づいていく。
「いやよ、って!え、ちょ!まっ!きゃー!」
「わぁー!」
なにか異変を感じてあかねが振り返ったと同時に美雨があかねを押し倒そうとする。しかし147cmという低身長では押し倒せるわけもなく、逆に押し倒されると思って前に体重をかけたあかねに押し倒されてしまった。そしてここで神のいたずらか性癖かなんだか知らないがあかねの唇が美雨の唇へと吸い込まれていった。
しばらくの静寂が流れる。お互いの頭の中は突然の出来事によりお花畑である。しかしここに静寂を断ち切るものが現れた。
「あぁ!会いたかったぞ!愛しの我がmy room!ってえぇえええ!」
「ちょっと待って!誤解よ!そのまま扉閉められちゃったら事案になっちゃうじゃない!」
ーーーそして今に至るのであった。
何で俺は今椅子に縛り付けられているのだろうか。確か先にいた美雨とあかねが白い花を咲かせているところを目撃してしまったから邪魔しないようにただ逃げただけなのに....。
というか何であんなことしてたんだ?こいつら昨日が初対面だろ!急接近ってレベルじゃねぇぞおい!まぁでも幸せならOKか....。
「もうあんたってタイミングが悪いにも程があるわよ!あれじゃ全部私の犯行ってことになるじゃない!」
「あんな恥ずかしいところを部長に見られるなんて....責任取ってください部長。」
「何故に俺!?」
「もうお嫁に行けないんだもの。」
「そこはもっと頑張れよ!はぁ〜もう良いや。んでどうしてあかねはこんなに早くにここに来てたんだ?」
「それは...」
「やっほー!なんか辛気臭いところに部室あるねって何で男子が椅子にぐるぐる巻きにされてるの!?なにそれ!そういうプレイ!?私も混ぜてッ!」
あかねが事の経緯を話そうとした時タイミングよく、事の原因といっても過言な人物が現れた。
「何勘違いしてるんのよ!全然そんなんじゃないわ!紹介するわね私の友達の流菜。今日部活の話をしたら相談したいことがあるって言うから連れてきたのよ。」
「どうも、あかねの親友の茂木流菜ですっ!以後お見知りおきを!」
「こ、こちらこそどうも。この部活の部長の村木隆朋です。」
「こんにちは。副部長の朝野美雨です。よろしくねぇ〜。」
若干気圧されながら隆朋が、また可愛い子が来たなと美雨がそれぞれ挨拶を交わした。
「それで、ここにはお悩み相談が目的で来たと思うのですがどのようなお話ですか?」
「ええっとですね....。今回ここに来たのはですね...。」
「何どもってんのよ。早く言っちゃいなさいよ。」
少し話しづらそうにしていた流菜に対し、あかねが促す。
「言いづらいんですけど...私は今日ここに恋愛ごとの相談に来ました!」
「.......................はあぁぁぁぁぁぁっ!!」
部室の中にあかねの声がこだました。
最近定期テストがあったんで遅れました。結果は.....haha!




