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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ダンジョン攻略はアタッカーを四枚揃えるのがイチバン速い

作者: イのカンア

 ダンジョン。それは古代の秘宝が眠り数多くの冒険者の命を奪ったボスモンスターが闊歩するまさしく危険のるつぼ。冒険者はまだ見ぬ秘宝、日の目を見るべき歴史、倒すべき悪しき敵、己のなすべきことを成すために今日も危険を顧みずダンジョンへと潜っていく。


「よし、それじゃあダンジョンへ潜る前に隊列の最終確認をしよう」


「オレは最前衛で盾を構えてモンスターを食い止める、バボットはオレのすぐ後ろで剣による攻撃、ダンケルは弓で前衛二人を援護、ミリアは魔法で打ち漏らしを攻撃してくれ」


冒険者はダンジョンに挑むためにパーティを組む。古代の英雄譚にあやかってその人数は大抵四人と決まっている。攻撃を受け止める騎士(ナイト)、物理攻撃を行う戦士(ファイター)、近距離遠距離の両方で前衛をサポートする盗賊(シーフ)、回復魔法や攻撃魔法でパーティを支える魔法使い(ウィザード)、これが基本的なパーティになっている。


こうして、出来うる全ての準備を整えた冒険者一行は覚悟を決めてダンジョン深部へと潜っていく。クエストのため、遭難者を探すため、亡骸を見つけるため、ダンジョンの最深部へ到達するため。


大抵、探求のためあるいは栄誉のためにダンジョンの最深部へ向かうパーティはほとんどがその道中で力尽きる。


「クッソ!出現するモンスターの傾向が情報屋から聞いたのと全然違うじゃないか!」


「ダメだ!剣の攻撃も弓矢の攻撃も通用しない………ちくしょう、ミリアは疲労困憊でもう魔法が使えないっていうのに」


「だ、大丈夫だよみんな、わたしは………わたしはまだ戦える………っ!バボット!後ろ!あぶない!!」


おお、なんということだろうか。自分達の未来のためにこのダンジョンへ挑んだうら若き冒険者の一行は増え続けるスライムの群れに押しつぶされて、暗い暗いダンジョンの土に倒れてしまった。


パーティのバランスが良いということは尖った一面がなく、変則的な事態に対応しにくいということなのかもしれない。


おや、今日は人の入りが多いようだ。また一つのパーティーが私の作ったダンジョンに挑戦しようとしている。えーっと、パーティ編成は………は?


 物理特化のサムライ、魔法特化のエンシェントウィザード、状態異常特化のウラノスアサシン、それにクラスなしの攻撃ステータスの高い冒険者………!?


攻撃職しかいないじゃないの、このパーティ!?しかも、パーティのクラスはほとんど最上級職だし。え、なに、こわ、この人達タンクもサポートもいないのに何しに来たの。


「おいっすー、皆の衆おひさしぶり~」


「あら、サムライちゃんが時間通りに来てるなんて珍しいじゃないの、今日はラグナロクでも起きるのかしら」


「ひ、ひふ………そ、それを言うなら、いつも、魔法の実験で誘いを断ってるオバサンが居るなんて、めずらし………あぁー!ごめんなさい!お姉さんです!即死魔法を向けないでください!!」


「あーい、全員じゃれつかないの。みんなは忙しいんだからちゃっちゃとダンジョン踏破しようぜ」


そこからは破竹の勢いという表現がまさしく相応しい。


「はい~☆唐竹割り~、ずどーんずどーんずどーん!」


世界でも十三人しかそのクラスに就けないサムライの冒険者が小ぶりのカタナと言われる刃物を振り回し、発生した衝撃波でダンジョンに住み着いたゴブリンやウェアウルフを薙ぎ払っていく。


「あら、ここ。地面をえぐれば一気に下の階層までショートカットできそうね」


最高位の妖精と直接契約を結んだ魔法使いしか名乗ることを許されない妖精を(エンシェント)侍らせる者(ウィザード)の最上級破壊魔法が神話時代の魔法使いのような威力でダンジョンを地形ごとえぐり吹き飛ばしていく。


「あ、み、み、見てくださいリーダー………あ、あそこにスズミ花が咲いています………」


「お、本当だ。白い花弁がキレイだね」


「あ、あのスズミ花はですね、マンティコアの唾液と光属性魔法で浄化したゴーストの遺灰と混ぜ合わせることで、び、び、媚薬になるんですよぉ………え、へっへっへ、リーダーなんか目つきがいやらしいですねぇ………ふへへへへへ!」


「ごめんな、いつも言ってるけど俺さ、男同士はちょっと………もちろん、お前のことは友達として大事に思ってるから。あ、すごーいデスブリンガーナイトだ」


朗らかに雑談をしながら残った二人は襲い掛かってくる伝説級(レジェンダリー)モンスターを涼しい顔で処理していく。終わりだよ、このダンジョン。コイツら揃えるのにどれだけの触媒と魔力と遺物が必要だったと思ってるの!


崩落する地面を魔法で強化して一気に最下層まで到達するという大胆不敵かつダンジョンクリエイターのプライドをズタボロにする方法で四人の異常者達(パーティ)は真面目に攻略すれば二ヶ月は掛かる最下層への冒険を三十分で終了させてしまった。


「おーい、みんなぁ~、ここに神殿っぽいのあるよぉ~」


「流石、刀の腕前とカンの良さと自動治癒力はパーティイチだな、そんじゃあダンジョンボスモンスター探すか、ここら辺に居るだろ」


げぇ!?私の拠点のすぐそばまでもう来てる。途中からすご腕ウィザードが遠見に気付いたみたいで、ほとんど動向終えてなかったけど、それにしたって早すぎる。


で、でも、神殿にはダンジョンボスモンスターとして至高の(ユニーク)モンスターである冥府龍アビス・エンド・ドラゴンが居るからここから転移魔法で脱出するくらいの時間は当然として稼げるはず!


「あ、リーダーぁ………アビス系統のモンスターは自分の穢れのせいでぇ、体外へ毒を排出しにくいのでぇ………麻痺毒で止めて、溶解しておきますぅ」


「オッケ、オッケ。じゃあそっちは任せたよ。うーん、よくある作りだとこのあたりに隠し扉が………お、あった。こんちゃーす!」


元気な青年の挨拶が聞こえてくると共に下腹部に槍が突き刺さった。


「げっほぉ!げっほぉ!!う、や、やめてぇ、ころ、ころさないでぇ………」


「お!討伐目標の深淵の狂女グリーなんちゃらさんですね、すいません、命もらいに来ました!」


這いずりながら必死に呼吸をして意識をつなぎ止め、激痛による意識の混濁をなんとか魔法で抑えようとするがまったく自分に魔法の効果が表れない。


なんで、なんで、なんで、いたい、いたい、いたい!お腹の下がいたい、なんか生暖かいものが外にでちゃっている。


「ふ、ふざけないで!こ、こんなバカみたいな構成のパーティーにわたしの素晴らしいダンジョンが突破されるなんて」


「あっはっは、何言ってるんですか」


「ダンジョン攻略はアタッカーを四枚揃えるのがイチバン速いに決まってるじゃないですか」



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