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それぞれの異世界転移〜勇者と聖女と巻き込まれ薬師と巻き込まれ〇〇は、どう生きますか? みんな最後は幸せになりたいよね〜  作者: 紅葉月


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side巻き込まれ薬師【174】

2025.10.15追記 急用が入ってしまっていた関係で、明日16日(木)の更新はお休みとなります。申し訳ありません。

 使者の報告によると、義父上の一行は多数の魔獣に襲われたそうだ。一体一体は強敵ではないものの、いかんせん数が多くて苦戦。義父上にケガはなかったけど、負傷者多数だそうだ。


 襲われた場所が侯爵領内だったため、義父上は近隣の街に置いている代官に討伐の指示を出し、護衛の人員を補充してそのまま移動を続けることにしたそうだ。

 義父上が残って直接指揮をとるほどの規模ではないと考えられるというのが、理由のひとつ。

 もうひとつは、勇者を王都まで送り届けるほうが優先だと考えたからだそう。


 とはいえ、魔獣の出没地帯を迂回するにはモンテス子爵領から遠ざかるルートになってしまうため、やむなく王都で合流するという決定になったそうだ。

 ただ、王城には義父上から使者を立てて勇者出現の報は入れてくれるそうなので、私たちは勇者を無事に連れて行くことだけを考えればいいようだ。


「侯爵閣下からは、『王都到着までの勇者殿の護衛について、全てアルブレヒト様にお任せする』との言付けと、書状もお預かりしています」


 使者が懐から取り出した手紙を義兄上が開封して読み、ヴォルフィと私に回してくれたのでふたりで読む。内容は使者の話とほぼ同じだった。

 違ったのは、私を気遣う言葉と、王都で勇者を引き渡すまではこちらに瑕疵が付かないように気をつけなさいという注意が書かれていた点だ。


 気遣ってもらえたのは純粋に嬉しい。注意の方ももっともなんだけど、すみません父上、最初から私に対する勇者の印象はよくなかったみたいです。逆も然りだし。

 これ以上やらかしてしまわないように気をつけないと……。


「ヴォルフ、サツキ。やはり予想通り我々だけで勇者殿を王都まで送り届けることになった。悪いが、ふたりとも護衛に加わってもらう。だが、お前たち自身も当家にとって重要な存在であるのは確かだから、自分たちの身の安全も十分に図るように」

「「はい」」


 私たちが護衛に加わるっていうのは私たちのわがままなんだけど、義兄上は義父上の使者の前で自分の発案であるかのように振る舞ってくれた。責任を負わせてしまって申し訳ないので、本当に無茶はしないでおこう。


「お前にはすぐに休息を取らせたいところだが、これから勇者殿をお呼びするからもうしばし辛抱してくれ」

「はっ!」


 跪いたまま報告していた使者は、さらに深く頭を下げた。


 執務室にやってきた勇者は何故か不機嫌そうだった。私とヴォルフィを忌々しげに見てからソファに座る。

 この人、日本にいたときに働いてたのかな……?

 なんというか、常識とか礼儀はどこへ……? って感じなのだけど。


「ヤマモト殿、父である侯爵から指示が来た。我々は準備が出来次第、王都に向かって出発する。私とヴォルフとサツキ殿が同行する。父も急ぎ王都に向けて発つそうだ。王家にはすでに父から使者は立ててあるから、父と合流したらすぐに謁見ということになると思う。ここから王都までは一週間ほどかかってしまうから、到着したばかりのヤマモト殿には負担が大きいと思うが、よろしく頼みたい」

「わかりました。俺の荷物はこの服ぐらいなので、いつでも行けますよ」


 義兄上の丁寧な説明に、勇者はそっけなく返事をした。

 なにが気に障ってるんだろう? 義父上が来れなくなったってこと?

 でもそれは理由も説明してるし、仕方がないことだってわかると思うんだけどな……。


「ありがたい。すでに準備に取り掛かっているから、明朝に出発の予定だ。それまでは英気を養っておいてほしい。もちろん道中のことは全てこちらで手配するから、ヤマモト殿はゆるりと過ごしてもらいたい」

「ありがとうございます」


 勇者からは特に質問なんかも無いようで、それだけ聞いて立ち去っていった。

 使者もようやく下がって休むよう指示されて退出していった。彼には明朝の私たちの出発と前後して、義兄上からの書状を義父上に届るために発ってもらうことになっている。


 その後3人で護衛の人数や人員の選抜を行い、同行者にその指示や準備の指示を出していたらあっという間に夜になってしまった。

 義兄上は馬車に同乗するからと言って、馬に乗って同行する私たちは先に休むように追い出された。残りの仕事はやっておいてくれるらしい。


「さっきの勇者さ、なんであんなに機嫌悪かったんだろう?」

「さあな。でもなんだっていいだろ。あと一週間、()()()馬車を護衛さえすればおさらばできるんだから」


「ふふっ、()()()()馬車ね。そうだね」

「顔も合わせなければ、父上の命令も守れるだろ。たぶん」


「あれはなんていうか、こっちが何もしなくても既に嫌われてるみたいだからどうしようもないというか……。もちろん気をつけるけど」

「ああ、深く考えなくていいと思うぞ」


 そんな会話をして迎えた翌朝。

 私たちが準備を済ませて外に出ると、侯爵家の家紋入りの馬車が停めてあり、護衛の騎士たちも既に待機していた。


 今回使う馬車はうちで2番目に格が高い馬車で、基本的には侯爵の近い家族だけしか使えないものだ。つまり、侯爵夫人とか侯爵の子どもあたりだね。

 義兄上がモンテス子爵領に赴任してきたときに、公式に使うための馬車として義父上に与えられた形となっている。


 それから旅の荷物を満載した荷馬車が1台。

 今回の旅は毎日宿に泊まる予定だから荷物が少ないし、荷馬車に入り切らなかった荷物は私の収納とかヴォルフィや義兄上、騎士隊長クラスが持っているマジックバッグの中に分散して詰め込んである。


 私とヴォルフィは用意されていた馬に乗り、義兄上と勇者が馬車に乗り込むと出発した。

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