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押せば容易く落ちて来る

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

いい女。では無いんですよ。いい子。なんですよ。

なんて言うか。

付き合っている彼女は、真面目で地味な一見すると優等生だった。華美な装飾を好まず、化粧っ気のない顔は、お洒落に興味が無いように思える。なお中身。芸人か? と思われる程にキャラが濃い。この大人しそうな外見で、キャバ嬢にガチ恋したV系の曲をノリノリで歌う。少女漫画に冷静で論理的なツッコミを入れて読む。生きているだけで『おもしれー女』である。

そんなんだから、さぞ男子と交流があるのだろうと思われがちではあるが、俺が知る限り一切ない。何時も仲の良い女子達相手に場を沸かせている。


病み上がりに彼女と出会った時のこと。病み上がり故に、何時もは隠している弱音がぽろりと零れ落ちた。普段は上手いこと、のらりくらり目隠している本音だった。

「お前は『恋愛下手』なんて自称しているけど、もう少し能動的に行動したら、そんな事も無かったと思う」

「この様な醜女に言い寄られて、喜ぶ男性なぞいないのでは……?」

彼女は見舞い品のゼリーやら、プリンやらをテーブルに並べながらそう言った。よくパロディで使用されているようなホラー漫画の様な驚き顔。某アングラ雑誌の表紙を飾る様な表情。やはり片足芸人である。

「……」

恋人は恋愛下手を自称しているが、その際たる理由が奥手なのだ。基本的に自己評価が高くなく、言い寄られたら相手が可哀想などと思っているらしい。

『女も告白』するべき。『女もリードするべき』などと声を上げて言うつもりはないが、男だって振られるのは怖い。だから最近は双方受け身である者が多い様に思える。

故に結構大切なのだ。自分から動いて、告白するのは。好きでも嫌いでもなかったら、告白された途端に惚れてしまうくらいには破壊力がある。まぁ、それに乗じて自分の領域に引きづり込んだのだが。

恋愛下手。少しでも押せば容易く胸に落ちてくる。ぶっちゃけ俺じゃなくても良かった。でも、だからこそ早い者勝ちだ。

「……愛想が良い奴を拒絶出来るやつなんて、男女共にいないだろ」

「優しいね。君は。……君の好意に甘えて君の部屋まで上がり込んだけど、もうサヨナラするよ。病み上がりに沢山お話するもんじゃないよ。またね」

恋愛下手あるあるなんですが、基本的に奥手なんですよ。

自分から行ったら『気持ち悪いかな』とか、『迷惑かな』とか、色々考えて、ダメージが少ない方を選んでしまう。


え、ソース? 私ですよ。干物くん/ちゃんです。


それはどれだけ『おもしれー男/女』であってもそうかと。

だからこそグイグイ行けば、混乱に乗じて、コロッと物に出来てしまうとも思いますよ。

そんな悪どいドロっとした彼氏さんの心情。


書いてないんですけど、深読みすると出てくる最後の一文。

『君の好意に甘えて上がり込んだ』

最初は見舞いに来て、さっさと帰るつもりだったのかと。

恐らく彼の方から、『せっかくだから上がってけ』みたいな事を言ったのかと。

サラッとした気遣いが出来るけど、隙だらけで、押しに弱い。

ある意味皮肉を込めて、優良物件です。

だからこのタイトル。


いい女、ならば颯爽と躱しそうなんですよ。

『邪魔になるだけ。ゆっくり休んで』って。

でも、いい子だから。恋愛下手だから。下心に気が付かない。

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