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墓穴を埋める  作者: 下之森茂
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2.労働者たち

北はスコットランドから

西からはウェールズの田舎から土地を捨て、

さらにはアイルランドや大陸から国を捨て、

好景気に湧くロンドンに人が集まる。



『楽してかんたんに稼げる仕事』

という謳い文句に騙されるやつが大半だ。



口減らしに親が子を売り渡す、

いわゆる人身売買も盛んに行われている。



だが上流階級でもなければ、真っ当な仕事はない。

ツテがなければろくな仕事は斡旋されない。



求めた仕事に反し、労働は過酷で

衛生環境も悪く、死者は絶えない。



地方からやってきた労働者には、

まず信用というものがない。



後ろ盾もなく、いつ

いなくなるとも知れない労働者に、

会社が責任ある仕事を与えることはない。



どこも仕事内容は限られる。



汚物の回収、熱い煙突の煤掃除、

長く働けばそのぶん、長く稼げる。

というのは、学のない人間の考えだ。



家を借りることもできない労働者たちは、

休むためにも金を払う必要があった。



風雨をしのぐだけの安宿に

家畜同然の扱いであっても金を払い、

敷き藁の上で死んだように眠る

労働者らの姿がある。



それから長時間にもおよぶ労働で、

労働者は病気を患う。



工場の機械に挟まれ手足を失う者も多く、

治療費を払えなければ、まともな治療も

受けられずに飢えて死ぬ。

若者ほど早く死んだ。



しかし、やりたくない仕事、

やらなければならない仕事、

そうした仕事はここにはいくらでもあり、

『換え』はいくらでもあった。



過酷な仕事を嫌って、このロンドンに人が集まる。

矛盾した労働者たち。矛盾でできた都市。


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