翼をもがれたエンジェル ~ 無実の罪で翼を奪われて天界から追放されたけど、優しいフツメンさんと出会えて幸せです ~ (仮)
作品のカケラII
数話だけ書いて思いつかね(笑)
連載するならたぶん現実恋愛かな。
「天使ミラウルの『天の翼』を剥奪し、天界から人間界に追放する」
純白の大理石でできた細長い階段の上、天蓋付きのベッドのような物の、うっすらと薄く透けた白いカーテンの向こうから、面倒くさげまじりのため息をつきながら神が言った。神の両サイドには、女性のようなシルエットも見える。
初めて『神の段』の傍まで来たと思ったら…まさかの『天の翼』を剥奪しその上、天界から人間界に追放されるという極刑が下されるなんて。
人間界に追放されるのは構わない。けど、天使の命と同等…いや、命より大切な天使の証『天の翼』が剥奪されるというのは天使たちからしたら『死』より重い罰だ。
…無実なのに。
私はなにもしていないのに、神よりそんな刑が言い渡された。
「待ってください!私はなにもしてません!私が人殺しなんてそんな…そんなこと絶対してませんっ!!」
一体、その台詞を何度言ったのだろう。わからないけど、神より刑を下されても、私は声を大にして無実を訴えた。
「煩いぞ!お前はもう終わりなんだ!素直に罪を認めろ!」
「そうだ、お前のような悪魔は天界に必要ないのだ!さっさと『天の翼』を切り捨てろ!」
「この天使のクズが!!」
周りにいる純白の翼を背に生やす天使たちが、私に向かって罵声と石ころを投げつけてきた。
全身を血に塗れさせながらそれでも、私は声が枯れるほどの大声で、神に無実を訴えた。
私は本当に何もしていないのだから。
「お願いいたします、神よ!私の声を、話を聴いてください!私は無実です!!天の翼をどうか切り捨てないでください!!神よ!神よ!!」
そんな私の声も虚しく。
「天使ミラウルの『天の翼』を切り落とせ」
溜め息混じりの面倒くさげな声で神がそう言った、瞬間。
─────────ザンッ!!
背に…いや、翼に、今までにない痛みを覚えたのと同時に(ぼとん)と、何か重いものが地面に落ちる音が背後からした。
恐る恐る振り返るとそこには…赤く染まった私の白い翼が、背中ではなく…跪く私の足下に転がっていた。
私の両側に立つ2人の天使が握る剣から、ポタポタと滴る赤い液体…
私の『天の翼』が、私の側にいた天使2人の手によって切り落とされたようだ…
「そ…んな……」
切り落とされた痛みより、翼が切り落とされたショックの方が勝った。
私の翼を切り落とした2人の天使は、私の首と後ろ手、そして足につけていた枷を外すと、その天使の1人が私の胸ぐらを掴み、地面を引きずりながら天界の端に連れてきた。
そして。
「────落とせ」
そんな神の声とともに。
天界の端から私は、天使に乱暴に蹴落とされた────
───────私は何もしていないのに……
天界から物凄い速度で、人間界の地へと落下していく。すると、白い雲をぼふりと抜けると、白く眩しかった天界から一変、真っ暗な世界が広がっていた。
まるで私の悔し涙のような大雨に、希望の星を失った真っ暗な私の心のような夜。
雨粒とともに落下しながら、雨粒とは逆のほうに溢れて行く…いや、昇って行く、暖かい雫。
…私はもう、天使でもなんでもない。このまま地面に叩きつけられて、この身が朽ちてくれたらどんなに楽か───
目を瞑り、人間界へと落下してゆく私。
もう、どうなっても構わなかった…