表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/40

魔王の涙

今日は超短編物語。


人類も生物も滅んだ星。


人々が住む家々は殆どが崩れて、瓦礫と化していた。


瓦礫に絡み付く蔦の跡。


その蔦もからからに枯れはてていた。


木々も草も絶えたこの世界に、生き残る者が一人。


魔王だ。


不老不死の魔王は朽ち果てずに、この星にいた。


一人で。


全ての生き物が絶滅していくなか、魔王だけが滅ぶことなく存在していた。


魔王はかつて、自身以外の生物なんて滅べばいいと言っていた。


今その状況に、魔王はいる。


孤独になってもう何百年…何千年…


いや、もっとかもしれない。


「…お前の言う通り、一人はつまらんな…勇者よ」


勇者の墓の前に胡座をかきながら、魔王は無口な勇者の墓に話しかける。


「再生の呪文があったら…私はお前を…みんなを…なんて、今更か────」


魔王の頬に伝う、あたたかなひとしずく。


魔王は初めて、涙を溢した。


孤独な世界で、魔王は涙を溢しながら吼えるように泣いた。


魔王の声は、静寂の枯れた地に…よく響いた─────




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 泣きますな。 けっこう魔王願望って、 その先に何があるの?って聴きたくなるくらい破滅的で、なんもないような虚しさが漂う。 ある意味、破壊者を装ってるだけなのかもね。 裏側に隠されたものてい…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ