封開
今後、書くかどうかわからない物語の破片。
…チャラッ、チャリン。
「ふんふ~んふふんふ~♪」
上下黒い服を着た、フードを被った怪しい男。その男は鼻唄を歌いながら、鍵の輪の部分を人指し指に入れて、くるくると回していた。
「…ここら辺でいいかなぁ?」
フードの男が足を止めたのは、人通りの多い街のまん中。
雑踏。
皆が横目で、彼を気味悪がりながら通りすぎて行くなか。フードの男は、何もない空間に、人指し指で回していた鍵を差した。
「…餌の時間ダョオ。たっくさんお食べ…ニンゲンを…」
そして。
「…封…開」
─────カチャッ。
にいっ…と、フードの男が空間に差した鍵を取り、その場所から離れると。
─────キイ…………
空間に、そこにはなかったはずの真っ黒い扉が現れ、その扉がゆっくりと開いた…時だった。
バンッッ!!!
その真っ黒い扉が勢いよく開かれ、その向こうから大量の真っ黒い何かが、濁流の如く溢れ出た。
「な…ウワアアアアア!!!」
「キャアアアアアアア!!!!」
「ダレ…か…タスケ……………」
真っ黒い大量の何かは、その場にいた人々を襲い、喰らった。
程なくして、その真っ黒い扉の付近は─…血の海と化していた。