15/40
この世の最悪の魔王は少女の手によって、もふもふのぬいぐるみに封印されて可愛がられる人生を送るようです。
今後、書くかどうかわからない物語の破片。
「…忌々しい。これなら、殺された方がましだ…」
「まーまーそう言わず~…ぎゅ~っ♡」
そう言って、ミリルリ・マリルゥ・シェリーは熊のぬいぐるみを抱きしめた。ふわふわの綿でできたぬいぐるみ。その綿の向こうには─魔王が封じられていた。…シェリーの手によって。
「ぐふっ!放せ、小娘!」
「やだぁ~ルッシーかわいいもーん!」
「誰がかわいいだと!ふざけるな!私を誰だと思ってる?!」
「かわいい熊のぬいぐるみのルッシー」
「殺すぞ!」
ギルシェルル(ルッシー)はこの世を支配していた、最悪の魔王─…だったが、ある日一人の少女が…シェリーが現れ、ギルシェルルの魂は、ふあふあのぬいぐるみに封印されたのだ。
「いい加減放せ!小娘っ!」
じたばたと、シェリーの胸の中で暴れるギルシェルル。ふわふわでまあるい手足がばたつく姿に、魔王の恐ろしさなんて微塵も感じられない。
「なんて…惨めななりだ…」
ギルシェルルは、己のふわふわなボディを見下ろしながら、嘆息した…