世界を滅ぼそうとしている親友を、俺はこの手で斬る。
「てやぁ!」
「オリャアッッ!!」
ギィンギィンッと、鉄と鉄がぶつかり合う音が、森の奥で響く。
ー ー ガキィィンッッ!! ー ー
「「くっ!!!」」
ルーリャとゴートは、お互いの剣を重ね、ギリギリと睨み合う。
すると。
「くはっ!!」
ゴートはルーリャの剣に弾き飛ばされ、地面に尻餅をついた。
そして。
「───俺の勝ちだな」
尻餅をついてるゴートの顔の前に剣を向け、ルーリャはふっと鼻で笑った。
「ちっ!卑怯な手を使いやがって!!」
「はあ!?負けて悔しいからって変な言いがかりはよせ!素直に負けを認めろよ、男らしくない!」
「ちっ!あーあーはいはい、お前の勝ちだよ!ルーリャ」
「腹立つ言い方だなぁ」
「「…………」」
「「ぷはっ!はははははははは!!!」」
笑い合う2人。ルーリャは北の王の息子、ゴートは南の王の息子。2人はそれぞの国の王子だった。
2人は護衛の目を盗み、時折こうして国と国の間にある、女神の眠る大森林でこっそりと会い、剣を交えていた。
この魔物が巣くう世界を、いつか心から人々が安心して暮らしていける世界にすると、2人は心に強く決め、日々鍛練していた。
だが、それから5年後。
ルーリャが魔に取り憑かれ、この世界を更に悪に染めるとは、この時ルーリャも、もちろんゴートも知るよしもなかった────────
どうしても剣と剣を交えたシーンが書きたく、短編にもならないものを書いたのでした。
続きを書くつもりはありませんので~m(_ _)m