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移住記録 ~異世界に移住した僕の開拓と捜索と成り行きの日々~  作者: 於田縫紀
エピローグ もしくは次へのプロローグ

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エピローグ1 新しいお家候補

「そうですね。それではこの辺の物件はどうでしょうか」


 そう言って新たな担当は3枚程紙出してきた。

 うん、今度は悪くない。


 1軒は6LDKに作業用室が2部屋ついている。

 2階建てで1階がリビングと応接室と作業部屋とトイレ、風呂。

 2階が寝室6部屋で、広いベランダがついている。

 その代わり庭はない。 

 賃料は月正銀貨12枚(12万円)と思った程高くない。


 2件目は4LDKに作業用部屋1部屋。

 やはり2階建てで、1階が作業部屋とトイレ、風呂。

 2階が寝室とLDK。

 小さいベランダがついていて、やはり庭は無い。

 賃料は月正銀貨10枚(10万円)と当初の予定通り。


 3件目は5LDKに作業用部屋1部屋。

 これは2階建てで1階が風呂とトイレ、作業部屋。

 ただこの物件は川に面している庭がある。

 使い方次第で少し面白いかもしれない。

 賃料は月正銀貨12枚(12万円)


 いずれも場所も学校のやや北側で、偵察魔法で確認したが落ち着いた雰囲気だ。


 本来なら1件目を選ぶのが正しいだろう。

 しかし少し思いついた事があったので質問をしてみる。


「この物件、川に面しているとの事ですが、ここから船を出したり出来るでしょうか」


「この川は途中に水門があるので船は通れません。船の大きさはどれくらいでしょうか」


「標準型1級輸送船より更に小型です。魔法推進で動かしているので、小回りはききます」


「ならこの物件はどうでしょうか。先程の物件より少し学校からは遠くなりますけれども。種や苗、生物を扱う方が使われている物件です」


 また3枚、紙が出てきた。

 どれも小さめの船着き場がついている。

 家は4LDK+作業部屋2室、5LDK+作業部屋1室、6LDK+作業部屋2室。

 場所はどれも中州側だが学校より北側で問題無い場所。

 学校まで500m程度あるが、今の結愛の体力なら問題無い。

 家賃は正銀貨12枚~15枚(12万円~15万円)だ。


「これがいい」


 おっと、予想外に結愛が動いた。

 指したのは今回の3件のうち5LDKのもの。

 理由はおそらく水路だ。

 この物件は太めの水路と細めの水路、両方の角にあるのだ。


 偵察魔法を使って確認する。

 うん、どちらの水路もうちの船が通るのには問題無い。

 しかも両方ともそれなりに生物の気配が濃い。

 ここで小物釣りも出来るだろう。


「確かにこれなら便利ですよね。例のものも船に載せてそのまま持ち込めますし。この中では一番公設市場や役場にも近いですよね」


 例のものとは麹の事だろう。

 麹は死んでしまうからアイテムボックスで運べない。

 港からは台車で運ぼうと思っていたが、この物件ならそのまま持ち込める。


 場所は役場から街道沿いに歩いて橋を渡ってすぐ。

 つまり学校にも役場にも、そして公設市場にも近い。

 更にさっき行ったあの軽食店にも近い。


 ただしちひの感想というか思惑はきっと台詞の外にもある。


「ここなら夜釣りも出来るとか思っただろう」


「当然ですよ、勿論」


 やはりそうか。

 ただ他の条件も悪く無さそうだ。

 作業部屋は1室だけだが広さは50m²以上と広いし。

 北側が太い水路だから日当たりもいいし。


 建物の作りも悪くない。

 やや古いけれど柱も壁もしっかり作ってある。

 家賃は正銀貨13枚(13万円)と高めだけれども。


「美愛はどう思う?」


「便利だし日当たりもいいし、いい場所だと思います。ただ賃料がやや高めなのと、生物を扱う業者が多いなら臭いなどの問題が無いかが気になります」


「爬虫類等の飼育業者は場所をとりますのでもっと郊外、街壁の外ですね。この付近ですと種を扱っている方や、疑似乳製品や発酵食品など菌類を扱っている方が多いようです」


 なるほど、僕と同じか。

 念の為偵察魔法で確認してみる。

 今現在は特に問題になる臭いは無さそうだ。


「ここを魔法では無く実際に行って確認してみる事は出来ますか」


「勿論です。案内は出来ませんが直接行って頂いた上でご確認下さい。こちらが術式鍵となります」


 何だろう、術式鍵とは。

 受け取りつつ確認する。


『術式鍵 建物等の防犯に使われる鍵。持っている者のみが開ける事が可能』


 つまり家の鍵か。

 納得だ。


「中へ入ってご自由に見ていただいて結構です。ただ夜8時以降は物件に魔法的に防犯措置がかかりますので、立ち入らないようにお願いします。

 魔法鍵の返却については午後6時まででしたらこの窓口が開いております。それ以降は守衛にお渡しいただければ結構です。

 物件がお気に召しました場合は、明日の午後0時までにこの窓口あてに申し出いただければ最優先で契約の手続きをさせていただきます」


 壁にある時計を見る。

 午後3時50分だ。


「わかりました。それでは見て参ります」


 それでは行くとしようか。

 なお念の為、最初に相談を受けたあのおばさん相談員がどうなったかを知識魔法で確認する。


『公職員法違反、及び規則違反の疑いで監察局にて聴取中』


 別部局、それも内部調査専門の部局が扱っているなら問題無いだろう。

 少なくとも同一人物による迷惑を受ける事は無さそうだ。


 それにしてもああいう人物、やっぱりこの世界にもいる訳か。

 魔法で監視が出来る分少ないだろうと思っていたのだが。


 なら結愛が学校に通うようになっても注意する必要があるかもしれないな。

 治安上何か注意するべき事があるだろうか。

 確認する必要がありそうだ。

 そんな事を考えながら外へ出る。


 太陽がまぶしい。


「魔法で見る限り悪く無さそうですけれど、実際に見たらどんな感じでしょうか」


「実際に目で見るとまた印象が違うかもね。あとは周囲の環境かな」


「パフェのお店、近い?」


「割と近くだよ」


 そんな事を話しながら目的地方向へ。

 役場前の太い道を西に向かって歩き、橋をわたる


 橋の真ん中でちひが立ち止まった。


「そこそこ魚がいます。どんな魚だろう」


「大きい魚、捕れる?」


「捕るとすれば釣りかな」


「美味しい?」


「うーん、種類までは確認出来ないな。でも美味しいのもいると思うよ」


「楽しみ!」


 ちひと結愛、この辺の趣味というか興味はほぼ同じ。

 結果、こういう会話が弾む。


 一方で美愛は何か考えているようだ。

 ほとんど口を開かない。


「美愛は何か気になる事があったか?」


「いえ、それは大丈夫です」


 何かを気にしている感じに見えるのだが気のせいだろうか。


「もし何か僕が気づいていない事があったら言ってくれ。勿論言いたくない事なら別だけれどさ」


「ありがとうございます。大丈夫です」


 うーん、やはり反応が変な気がする。

 少し気にしておくことにしよう。


 橋をわたった次の角を右、つまり北側へ。

 この辺は川と平行に何本か運河があるようだ。

 そしてその運河沿いに家が並んでいる。


「どの家も大きいですね」


 美愛の言う通りだ。

 1軒1軒それぞれ日本の基準で見るとかなり大きい。


「作業場や倉庫を兼ねた家が多いんだろ、きっと。これから見に行く家と同じで」


 今の処治安が悪そうな兆候は見えない。

 落書きとか薄汚れた感じとかたむろっている奴とか。

 役場に近い分その辺の心配は少ないのだろうか。

 それとも地区的に貸料やや高めなのが効いているのだろうか。


 ちひは水位調整用らしい小さな川をわたってすぐ左側の建物前で立ち止まる。


「ここだよね」


「ああ」

 

「やっぱり大きいですね」


 赤っぽい焼き土の壁に普通の玄関扉と車庫のような大きな扉、そして鉄格子付の窓が並んでいる。

 美愛の感想通り確かに大きさを感じる。

 2階建てで高さがある分余計に。


 とりあえず玄関扉のノブを握って回す。

 ふっと魔力が流れた感覚の後、扉が開いた。

 灯火魔法で中を明るくする。


「さて、見てみるか」

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― 新着の感想 ―
[良い点] >ちひと結愛、この辺の趣味というか興味はほぼ同じ。 実の姉妹よりにてる 眷属なのね
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