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移住記録 ~異世界に移住した僕の開拓と捜索と成り行きの日々~  作者: 於田縫紀
第14章 ちひの計画(2)

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第1話 大きな市場

 ヘラスの港はイロン村の港と比べると遙かに大きい。

 小型三角帆の帆船だけでなく、そこそこ大きな船もいる。


『シルベルザ島トーロド、サカス等へ運航する旅客船。

 船体は標準型5級輸送帆船 全長約30m、幅6m、排水量73t、メインマストの高さ31m。2本マストの6枚帆。旅客定員55名。近海から外洋まで使われる標準的な帆船タイプ旅客輸送船』


 人を乗せる関係で大型になっている訳か。

 確かに人はアイテムボックスに入れられないしな。

 さて。


「港にはさっきの話で聞いたような連中はいなそうだな」


「西門や南門の方にいるんですよ。移民はだいたい向こうの門を使いますから。かつての自分達と同じような移住者が狙いやすいんでしょう、きっと。公設市場や役所の近くでつきまといをやるとすぐ排除されますしね」


 なるほど。


「大きい街ですね」


 確かに美愛の言う通りだ。

 並んでいる建物の量も規模もイロン村と全然違う。


「一応この辺の中心都市だしね。そう言っても人口五千人ちょい程度で日本ではやっと町になれる程度だけど。

 さて、まずは公設市場へ行こうか。イロン村より商品の種類も量も多いから楽しいと思うよ」


「行く!」


 相変わらず結愛は積極的だ。

 ところで僕はひとつ疑問が出来た。

 なのでちひに聞いてみる。


「今日は見るだけか?」


「委託販売もお願いするつもりです。イロン村で出したのと全く同じ種類を準備済ですよ」


 なるほど。


「つまり最初から今日はこっちに来て委託販売するつもりだったと」


「そう言ったじゃないですか。イロン村(むこう)でこっちに出す事を勧められるとは思いませんでしたけれどね」


 確かに言っていたな。

 という事はこっち用とイロン村用、両方分作ってストックしてあった訳か。

 

 いくつかある大きめの建物の前を通って1ブロック、およそ100m程度歩いたところにひときわ大きな建物があった。

 看板を見る。

『ヘラス公設市場・食料品部』

 どうやら部門ごとににわかれている模様だ。


 中へ入る。

 やはり広い。

 イロン村の公設市場は長いUの字形の通路の両端にブースが並んでいる形だった。

 しかし此処は食料品だけなのに縦横の通路が何本かある。


「私は委託に行ってきます。ですからそれまで中を見ていて下さい。終わったら合流しますから」


「わかった」


 美愛、結愛と3人で売り場方面へ。

 此処の市場の場合、まず最初にあるのが野菜関係だ。

 ヘイゴの若芽、同じく芯、蔓芋、グネタムの葉なんてメジャーなものは此処にもある。


 しかしそれ以外、イロン村の市場では見かけない物も多い。

 例えばジュンサイっぽいゼリー状の物に包まれた野菜。


『ヌーナワ 多年生で底に根を張り水面に葉を浮かべる浮葉植物。淡水の湖、沼、池等の静水域に生育する。

 冬以外の季節に出る若芽を食用にする。

 地球におけるスイレン目に近い初期の被子植物のひとつ』


 更に細くて細かい葉脈だけのような葉と太いが柔らかそうな茎を持つ野菜もある。


『カパンパ 多年生で沈水性の水草。淡水の池沼や緩やかな河川、水路などに生育する。若くて柔らかい茎や葉を食用にする。

 ヌーナワと近縁の、地球におけるスイレン目に近い原始的な被子植物のひとつ』


 うーむ、どちらも水草か。


 果物っぽいものもあった。

 親指の爪くらいの大きさの赤い実で中央が凹んでいる。


『タクサル 雌雄異株(稀に雌雄同株)の裸子植物。高さ15メートルほどの高木になる。成長はやや遅めだが樹形が良く木材としても固く水に強い。果肉は甘く食用になる。ただし種子には毒が含まれているので一般に取り除いた形で売られている』


 更にキノコ類も豊富だ。

 芋もお馴染み蔓芋以外に何種類もある。


「幾つか買ってみていいですか」


「勿論。むしろ今後の為に遠慮無く買って確かめた方がいい。お金は大丈夫か?」


「預かったのがまだまだ残っています」


 確かに品物が豊富だなと思う。

 まだ入って1ブロック目なのにこの状態だ。

 もし面白そうな物があったらうちの土地で試してみてもいい。

 此処に並んでいるのは自在袋で保存しているからもう育たないけれど、探せば苗や種も何処かで売っているだろう。


 値段そのものは概ねイロン村の方が安い。

 生産地に直結しているからだろうか。

 

 野菜類を見るだけで結構時間がかかった。

 しかし次、穀物に相当するあたりもまた広く、種類が多い。

 グネタムやアローカ、木豆にアルカイカがあるのはまあ想像通り。

 しかし違うのは品種の多さだ。

 グネタムだけでも10種類以上ある。


 より味噌や醤油に適した品種があるだろうか。

 少しだけ考えたが値段を見てやめた。

 希少品種は値段もその分高いようだ。

 商品に使う物は量が多く安定していて入手しやすいものを使うべきだろう。


 ただそれでも家での料理では試してみたいわけで……


「美愛、家でも試してみたいから積極的に宜しく」


 基本的には僕が判断するより美愛に任せた方がいいだろう。

 勿論個人的にどうしても欲しい物があれば買うけれども。


 肉類もやはり種類は豊富だ。

 基本はやはり爬虫類だがとにかく種類が多い。

 しかも部位ごとにわけて売っているから余計にとんでもない事になる。


 更にそれだけではない。

 既に焼いて調理した形になっているものまである。

 それが結構美味しそうなのだ。

 フライドチキンにしか見えないものとか、焼き鳥風のものとか、シシカバブ風とか。


 幾つか買っておいて後で味をみてみようか。

 でもこの辺、外に個人店とかあって、その方が美味しいなんて事があるかもしれない。

 なら経験者が来るまで待った方がいいだろう。

 そう思って買うのを思いとどまった。

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