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移住記録 ~異世界に移住した僕の開拓と捜索と成り行きの日々~  作者: 於田縫紀
第13章 ちひの計画(1)

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第1話 おやつの時間まで

 今日やる仕事は毎日の日課以外に2つある。

 売り物である味噌、醤油、甜麺醤作業と燻製器作り作業だ。


「水路の見回りと、その後の勉強タイムは私が見ます。だから先輩は先に商売物の作業をしていて下さい。その後に燻製器の作業をお願いしますから」


 朝食の時。

 いつもと全く同じ調子でちひがそんな事を言った。

 僕はどうしても昨夜の事を意識してしまいそうになるのだが、少なくともちひはその辺外には出さない模様だ。


「漁業はいいのか?」


 その辺心配だったから聞いてみる。

 もちろんいつもの調子、口調や表情を意識して。


「同じ場所で定置網をやるのは週に3回までにしているんです。簀立て2回、川で1回ですね。乱獲で魚が減ったら商売あがったりですし、今のところ売り物分はそれで足りますから」

 

 なるほど。


「わかった。それじゃ頼む」


 そんな訳で朝食後、僕はは麹作業部屋に直行だ。

 どうしても昨夜の事が顔に出そうなのである意味助かった。

 あまり長い事一緒にいると美愛に気づかれそうな気がしたから。

 結愛は気づかないだろうけれども。


 さて、まずは種麹と醤油麹の作業からはじめよう。

 どっちも材料と機材を準備して並べれば、あとはオリジナル魔法だけで自動的に作業は進む。

 所要時間は30分程度だ。


 麹作業が魔法で進む間に味噌、醤油、甜麺醤の準備をする。

 買って水を入れておいた500ℓ樽を6樽準備。

 醤油1樽を作るのに仕込み工程で3樽、濾す作業で1樽使うから。

 種麹や醤油麹以外の材料を量って樽の中へ。

 なお秤と言っているが、その実態はちひが持ってきた体重計だ。

 材料すらこれでないと量れない分量になってしまった。

 

 全部準備すると塩の在庫がほぼ無くなる。

 これも時間があるうちに作業をしておこう。


 外へ出ると太陽が眩しい。

 今日も天気がいいようだ。

 まあそれでも夕方に一雨来たりするのが今の季節なのだけれども。


 海辺、潮が満ちてもぎりぎり大丈夫な場所に500ℓ樽2つと125ℓ樽4つを出す。

 樽2つにアイテムボックス経由で海水を入れ、大きくて目の細かい布を置き、塩作り用のオリジナル魔法を起動。


 このオリジナル魔法は海水をただ乾燥させるだけでは無い。

 味を良くするために割と複雑な工程を行っている。

  ➀ 海水の入っている樽の水分を乾燥魔法で10分の1になるまで蒸発させる

  ② 溶けずに水中に出ている濁り部分を布で濾して除く

    この濁り部分が多く残っていると苦みが出るため

  ③ 布は水魔法で真水を出して洗い、乾燥魔法で乾燥させておく

  ④ 濾した後、塩がシャーベット状になるまで水分を蒸発させる

  ⑤ ④の塩を③の布で濾して、布に残った部分をもう一つの樽へ入れる

    濾して出た水分にはにがりが多く含まれているので捨てる

  ⑥ ③と同様に布を洗って乾かす

  ⑦ 再び樽に海水を入れ、➀から繰り返す


 この魔法は樽2個をセットで使う。

 1個が作業用で1個が食塩貯蔵用。


 つまり500ℓ樽2つと125ℓ樽4つを使った場合その半分、500ℓ樽1個分と125ℓ樽2個分の塩が出来る訳だ。

 所要時間は2時間にちょっと足りない程度。


 麹作業部屋に戻る。

 種麹と醤油麹が出来ていた。

 味噌樽、甜麺醤樽、醤油樽へ、種麹用の樽へと量を量りつつ入れる。

 それぞれを一括製造するオリジナル魔法を起動。


 これでやっと一通りの作業、終了だ。

 正直なところ結構疲れた。

 体力も魔力もかなり使ったから当然だろう。

 魔力の残りは残り3割程度といったところだ。

 感覚で何となくわかる。

 

 勉強が終わっておやつの時間まであと2時間くらいかな。

 なら1時間半くらい昼寝をするか。

 麹作業部屋を出て自室へ向かう。


「あれ、和樹さん。どうしたんですか?」


 勉強しているテーブルから美愛が声をかけてきた。

 ちょうどリビング、つまりユニットハウスから作業場に出て来ていたようだ。


「休憩。ちょい魔力も体力も使いすぎた」


「お疲れ様です。無理しないで下さいね」


「私も休憩したい」


 こっちの会話が聞こえたのだろう。

 リビングから結愛のそんな台詞が聞こえた。


「それじゃあと1ページ、ここまで行ったら休憩にしようか」


「わかった!」


 うんうん、皆さん頑張っているな。 

 そう思いつつ自室へ。


 自室に入り扉を閉める。

 布団を出してまた思い出してしまう。

 昨夜、ちひとこの上でエロい事をしたことを。


 うん、やっちゃったんだよな。

 そう思うと悶々として眠れなくなりそうだ。

 ここは睡眠魔法を使うべきだろう。


 惑星オースの睡眠魔法は敵を眠らせる魔法ではない。

 自分を眠らせ、指定した時間で起こすという魔法だ。

 オリジナルでは無く一般的な魔法のひとつである。


 そんな訳で起きる時間を1時間半後と強くイメージして魔法を起動。

 おやすみなさい……


 ◇◇◇


 睡眠魔法で時間を指定すると目覚めが不自然な感じ。

 何と言うか強制的に覚醒状態になったようだ。

 さて、塩が出来ているだろうから回収しに行こう。

 忘れて雨でも降られたら悲しすぎる。

 

 作業場を通ったら3人とも勉強が終わったところだった。


「和樹さん、もうすぐおやつの時間ですけれどどうしますか」


「わかった。外に塩の樽を置いているから回収したら戻る」


「待ってる」


 外に出るとやはり太陽が眩しい。

 いわゆる太陽系の太陽よりは赤い筈だが、やはり僕には違いがわからないな。

 そんな事を思いながら樽を確認。


 予定通り塩が出来ているのを確認し、アイテムボックスに収納する。

 おやつ時間の後はちひの燻製器作業の手伝いだ。

 だからアイテムボックスは空きが多い方がいいだろう。

 そう思ったから麹作業部屋に寄って、樽を全部置いてから作業場へ。


 アルカイカのお茶の香りがする。

 あと今日のおやつはチーズケーキ。

 勿論美愛が作ったものだ。

 市場で購入したチーズ等を使用して。


 本物の乳製品はオースにはない。

 売っている牛乳やチーズ、バター等は爬虫類の肉等を元に何らかのオリジナル魔法で作られたもの。

 でも僕の舌では本物との違いがわからない。

 そしてそれを原料にして作った美愛製のおやつは美味しい。


「それじゃ揃ったし食べようか。いただきます」

「いただきます」


 うん、家族の団欒という感じがする。

 少なくとも元々の家族よりこっちの方がよっぽど好きだし大切だな。

 今更ながらそう感じてしまう。

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