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移住記録 ~異世界に移住した僕の開拓と捜索と成り行きの日々~  作者: 於田縫紀
第12章 順風満帆?

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第1話 設備投資

 行きはよいよい帰りは辛い。

 今日はイロン村へ行く日だ。

 前回と同様行きは船で楽々到着。

 まずは全員で公設市場へ。


「あ、カズキさん。どうぞこちらへ」


 入ったと同時にグラハムさんに捕まった。

 いやどうせ行くつもりだったけれど、これはあまりに……


「早いですね」


「今日来られる予定でしたので」


 まさか待っていた訳じゃないよな。

 怖いから聞かないけれども。


「それで売れ行きはどうですか」


「ヘラス以外の公設市場からも問い合わせが来ています。詳しくは中で」


 前回と同じような個室へ拉致されそうな勢いで連れ込まれる。

 勿論ちひや美愛、結愛も一緒だ。


「それでは売り上げの精算書を持って参ります。少々お待ち下さい」


 何だかなあ。


「VIP待遇だよね、まるで」


 ちひに言われてしまった。


「珍しいから売れているだけだろ」


「それが希望的観測にならなければいいですけれど」


 なんて言い合っている内に担当さんが戻ってくる。


「昨日閉店までの精算書となります。御確認下さい」


 さっと見てみる。

 おお、僅か1週間前に預けた3樽のうち、味噌以外がはけてしまっている。

 味噌もこれで見ると残り僅か。

 更に今回はちひの水産加工品の売り上げまで入っている。

 同じ戸籍になったからだけれども。

 そんな訳で収入正銀貨20枚(20万円)突破。  


「あと、空になったショーユとテンメンジャンの樽をお返しします」


 樽2つを出してきたので受け取る。


「ごらんのようにショーユとテンメンジャンは空、ミソも残り僅かです。また野菜加工品も前回入らなかったので要望がかなり来ております。また一緒に取り扱う事になりました漁業加工品についても少しずつ売り上げが伸びてきています。

 ですのでどれも少し多めにお預け頂けるとありがたいです」


 ならいいだろう、全部出して。


「それではまず大物から行きます」


 醤油2樽、味噌1樽、甜麺醤1樽、ヘイゴの芯漬物タクワン半樽、ヘイゴ新芽漬物半樽を出す……


 ◇◇◇


 ちひの新しい干物も全部預け、更に業販でちひの言う通りかなり多めに材料を仕入れた後。


「それでショーユとテンメンジャン、そして漬物は概ねあとどれくらい増産できますでしょうか。宜しければ週に出来る最大量を教えていただけると売る方としても助かりますが」


 そんな事を聞かれてしまった。


「ご覧の通り、一戸籍だけでやっているので今回の量の倍がやっとですね。ただそれだけ作るには樽も更に増やさなければなりませんし、製造場所も増築しなければなりません」


「もし出来るならそれくらいの余力を持って頂けるとありがたいです。特にショーユについてはヘラスの他、ヘッセン、サカス、カーナリの公設市場から取引要望が来ております。もし出来るならショーユだけでも更に倍以上、これより1サイズ大きい250ℓ樽2樽以上の納入をしていただけるとありがたいです」


 大樽か。


「なら業販でもっと大きい樽を購入すると幾らになりますか」


「そうですね。正規の金額ですと250ℓ樽で正銀貨9枚(9万円)、500ℓ樽で正銀貨12枚(12万円)となります。業販ですとそれぞれ正銀貨7枚(7万円)、500ℓ樽で正銀貨9枚(9万円)です。複数個購入される場合はもう少し引くそうです」


 なるほど。

 実は樽、本当は数も少し多めに欲しい。

 今はやりくりがぎりぎりだ。


 味噌や甜麺醤は樽2個あれば製造用と市場用で問題無い。

 しかし醤油は製造に樽が多く必要だ。

 同じ大きさの樽で計算した場合、作るときに樽3個を使って、出来る製品が1樽分。

 そして出る醤油粕が概ね1樽分。

 更に市場に預ける分も別途必要となる。


 そして樽は大きめの方がいい。

 樽の数が少ない方が手間がかからないから。

 だから味噌用や甜麺醤用も大きい方が楽だ。

 その分市場に通う頻度も減るだろうし。


 ただ、先立つものが実は乏しくなってきた。

 残金が残り正銀貨80枚(80万円)程度。

 だから正直あまりここでお金を使いたくない。


「いっその事、一番大きい樽を思い切って多めに揃えたらどうですか」


 ちひがこそっと僕に言う。

 日本語なのでグラハムさんにはわからない。


「先立つものが微妙に厳しい」


「必要十分な個数と考えると何個必要? 醤油用以外も含めると」


 こそこそと日本語で相談。

 うーむ。


「味噌用2個、甜麺醤用2個。醤油が製造専用2個、製造用兼出荷用が市場に置いておく分含めて2個以上、醤油麹粕用1個か」


「なら10個あれば当座は問題無い? 一番大きい樽で」


 ちょっと待て。


「確かにそうだが先立つものが完全に足りない。あと大きさがどれくらいだろう」


「その500ℓ樽の大きさはどれくらいですか」


「直径が中央の太い部分で900㎜、高さが1100㎜、重さは空の状態で130kgです」


 思ったほど大きくない。


「なら500ℓの樽を10個買えば幾らになりますか」


「ええと……特大樽1個で正銀貨12枚(12万円)ですが、業販価格で正銀貨9枚(9万円)、10個以上で2割引になるので合計で正銀貨72枚(72万円)です」


 おお、大金だ。

 でも最初に125ℓの樽8個と63ℓの樽3個買った時にかかったのが小金貨6枚(60万円)だからそれほど高くないのか。

 あの時業販で大きいのを揃えておけば良かったな。

 そう思ってももう遅い。


「もう少し買うと安くなったりしますか」


 ちひが予想外の事を言う。


「6個以上は幾つ購入しても割引率は同じです」


「先輩はもう少しあったら便利という事は無いですか」


 500ℓというと125ℓ樽の4個分だ。

 大丈夫だとは思うけれど……


「あと2個、合計12個あれば安心できるかな。ただもう僕の持ち金がそこまで無いぞ」


 2個とも醤油の予備分だ。

 味噌と甜麺醤は出て行く速度が醤油程ではなさそうなので、2個ずつで問題無いだろう。


「なら今回の分は私が出しますよ。ここへ来てから全然使っていませんしね。余裕ですよ。12個でいいですね」


「いいのか、本当に」


「全然問題ないっすよ。こっちは余裕ありますから」


 ちひはここまで日本語で言って、そして担当さんの方を向く。

 

「それでは500ℓの樽12個、お願いします」


「12樽ですね。かしこまりました。すぐに持って参ります」


 グラハムさんが部屋の外へと消えた。


「いいのか、本当に」


「後で返して貰うので問題無いですよ」


 おいおい。


「生計同じだろ、今は」


「まあ、それはそれでという事で」


 微妙に不安が残る。


 グラハムさんが戻ってきた。


「こちらの樽で宜しいでしょうか」


 1個出す。流石に大きい。


「ええ、結構です」


「それでは出しますので収納して下さい」


 流石にこのサイズの樽12個は一度に出せない。

 出してしまっての繰り返しとなる。


「それでは正銀貨86枚(86万円)となります。端数はサービスです」


「ありがとうございます。それではこちらで」


 ちひが正金貨1枚(50万円)小金貨3枚(30万円)正銀貨6枚(6万円)で支払った。


「はい、確かに受け取りました。領収書をお出しします。また業販購入分ですので年末に他のものとまとめて報告書もお出しします」


「ありがとうございます」


 うーむ、大人買いしてしまった。

 ちひの金だけれども。


 しかし僕もそれほど使っていない筈なのだが、何処に消えたのだろう。

 前に購入した樽の他は、熊手、結愛のベッドと布団、家の扉や壁材……

 そう考えると何気に結構使ってしまっている。

 僕自身のものはほとんど無いような気もするけれど。


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