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移住記録 ~異世界に移住した僕の開拓と捜索と成り行きの日々~  作者: 於田縫紀
第10章 合縁奇縁

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第1話 今度は海から

 翌朝はいつもより早く起こされた。

 ちひがヒラリアに来てから購入したという目覚まし時計の音で。


「潮が満ちはじめる前に出た方が楽なんですよ。だから早く」


 起こされた時刻は午前5時45分。

 なお時計は一見すると12時間表示で地球と変わらない。

 1分も60秒。

 1秒の長さが地球の12分の11秒になっているそうだ。

 これが現在の惑星オースで標準的に使用されているらしい。


 洗面歯磨き着替えの後、アイテムボックス内の荷物を確認し、ちひの漁船に乗り込んで出発。


「もう少し早い時間だと引き潮にのって湾外まで出られるんですけれどね。逆にあと1時間くらいしたら満ち潮で湾外に出にくくなりますよ。湾奥、私の前の拠点方向へは行きやすいですけれどね」


 なるほど。

 船を使わないから意識しなかった。


「朝食です」


 美愛が朝食のサンドイッチを配ってくれる。

 美愛が作ってストックしておいてくれたものだ。

 具は塩漬け肉、ゆで卵、魚のオイル煮、ピクルス風漬物といった感じ。


「美愛ちゃん料理も上手だよね」


 確かに美愛の料理には外れがない。

 食材が日本とかなり異なるのにどれも美味しいのだ。


「でもちひさんも和樹さんも料理が上手ですから」


「先輩は凝った高級料理と底辺貧乏料理しかしないです。私は味付け禁止と言われているし」


 確かにその通りだ。

 一言も無い。

 でも一応反撃しておこう。


「ちひの味付けは薄すぎるからな」


「先輩のようにコストに両極端よりはましです」


 味について否定はない。

 どうやら本人にも自覚がある模様だ。


「ところで行きはいつも船なのか」


「この方が気持ちいいですからね。自転車に乗って慣性制御魔法を使う方が速くて魔力消費も少ないですけれど。

 帰りは海流が逆になるので自転車です。海流に逆らうと余分に魔力を消費するんですよ」


 この辺の海域は瀬戸内海のように大きい島2つで挟まれている。

 そして海流は常に西から東。


「確かに海風が気持ちいいですね」


「そうなの。だから往路は絶対海経由。直射日光が避けられないのが欠点だけどね」


「面白い! 波冷たい!」


 最後のは勿論結愛だ。


 船の推進力は魔法による運動エネルギー制御。

 加速度はいっさい感じないが速度は相当出ている。

 陸の景色を見てるだけではわかりにくいけれども


 その割に波飛沫や波を切る衝撃をほとんど感じない。

 上空から偵察魔法で見ると理由がわかる。

 船の周囲数m分だけ波が立っていないのだ。


 つまり動かしているのは船そのものではない。

 船の周囲の海水全体だ。

 周囲の波等との衝撃その他は全てその辺の海水が受けて、この船そのものは上下左右に緩やかに動く程度で済む訳だ。


「確かにこうやって動かせば波を考えなくて済むな」


「波が高すぎるとそれなりに上下動しちゃいますけれどね。魔力もただ船を移動させるのの3倍くらい使いますし。あと漁をする時には使えないなんてのもあります。

 ただこうしないとこの速度では船が分解しちゃいそうなんですよ。乗り心地も最悪になりますし」


「試したのか」


「48km/hまでですね。それ以上は挙動が怪しくなるのでやめました」


 なお現在は日本の高速道路並の速度が出ている。

 僕の偵察魔法によると、だけれども。


 1時間もかからないうちにイロン村の港に到着。

 港にある船はヨットのような三角帆のものがほとんど。

 漁業は盛んではない筈だけれども何に使用する船だろう。

 疑問がある時は知識魔法を起動だ。

 

『標準型2級輸送帆船 全長約12m、幅3.1m、排水量8t、メインマストの高さ15.5m。スループ、ケッチ付の3枚帆。近海から外洋まで使われる標準的な帆船タイプ輸送船。全てを専用魔法により1名で操船可能。比較的海流の影響を受けにくく、また風上に対して50°程度まで遡れる等機動性も高い。

 接岸時等は魔力推進を併用する』  


 なるほど、これが輸送船なのか。

 アイテムボックス魔法や自在袋で収納が可能だから、この程度の大きさの船でも充分輸送船として成り立つ訳だ。

 金持ちになったらこういった船でクルージングを楽しむなんてのも面白そう。

 まあ当分先の事になるだろうけれど。


「それじゃ僕は公設市場へ行くから、美愛達は役所で手続きを頼む。手続きが終わったら市場で合流しよう」


「全員一緒でいいんじゃないですか。これからは誰か1人でも納品や代金受け取りが出来るよう手続きした方がいいですよね」


 確かにそうだな。

 もしも何か急ぎの場合、自転車で単独移動すれば短時間で済む。

 

「わかった」


「先に戸籍を同じにしておけば市場での手続きも楽ですよね」


「つまり先に役場で、次に市場か」


 どっちにしろ歩く方向は同じだ。

 役場で以前、美愛達と行ったのと同じ相談窓口へ。

 今回の受付担当は以前と違う人だ。


 こいつ、ハーレム結成か。

 そう思われないかドキドキしつつ説明開始。


「すみません。今度は更に戸籍にもう1人追加をお願いしたいのですけれど。税金の申告手続きや教育代行認定資格の試験も一緒にお願いしたいのですけれど」


「わかりました。それでは2番の相談室でお待ちください」


 今度は違う担当さんだろうか。

 あのお姉さん、親切だったから今回も担当だとありがたいのだけれど。

 でもハーレム展開と思われるとまずいよな。

 そう思いつつ言われた相談室へ。


 待っていると担当の相談員がやってきた。

 受付してくれた人とは違う。

 前に美愛と結愛の戸籍を編入した時のあのお姉さんだ。


「お久しぶりです。今回は戸籍の編入とそれに伴う税金等の申告手続き、教育代行認定資格で宜しいでしょうか」


「それでお願いします」


 とりあえずハーレム疑惑なんてのは心配しなくて良さそうだ。

 心の中でほっと一息ついた。

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