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移住記録 ~異世界に移住した僕の開拓と捜索と成り行きの日々~  作者: 於田縫紀
第5章 開拓の開始

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第3話 土木工事

 伐採して根部分や草、枝を熱分解し灰にするのはそれほど手間がかからない。

 10m位ずつの範囲で魔法を連発すればそれで済む。


 面倒なのは切り倒した幹の運搬だ。

 何かに使えるだろうからとっておきたいが、太く長い幹はそれなりに重い。

 アイテムボックスに入るのは5本が限度。


 だから作業場を作った時と同様、他の場所に運んで仮置き。

 今回も砂浜に運んでは積んでいる。


 ただ作業自体は1人の時より楽だ。

 虫だの爬虫類だのの処理を美愛がやってくれるから。

 僕は切り拓き作業だけに集中できる。


 最初は大丈夫かどうか、何ならいつでも手助けできるように注意していた。

 しかし美愛、注意力も判断力も悪くない。

 警戒魔法しか使っていない筈なのだが、時には僕より早く反応する。


 ある程度様子を見た結果、どうやらこのまま任せても問題ないだろうと判断。

 勿論遠距離の警戒は怠らないが、それ以外は自分の作業に専念する事とした。


 なお結愛は結愛で大人しいながらも結構楽しそう。

 見慣れない森の中の色々に興味津々だ。


「あっ、おっきいダンゴムシ」


 いやダンゴムシではなくヤスデだ。

 長さがまるで違う。


「触っちゃ駄目よ」


「わかった。あ、向こうへ行っちゃった」


 ヤスデが自分で移動した訳では無い。

 美愛が風魔法で飛ばしたのだ。

 ただ結愛、駄目といった事はちゃんと守るので助かる。


 そんな感じで切り倒して運んで、また戻って熱分解して突き固め魔法で固めてと何度も何度も繰り返して。


「これは道でしょうか」


 前に通った時に道を作った場所に出た。


「ああ。自分の土地を一周した時に造った。もうすぐ川だ」


「やっとですね」


「かいつう!」


「もう少しだけれどな」


 本当に少しだった。

 1回作業をやるだけで川面が見えるようになった。


「川に入っていい?」


「やめておこう。この川は結構泥が深いから動けなくなると困る。それに水中にも大きな爬虫類がいるから」


「わかった」


 結愛は聞き分けがいい。

 これは元からの性格だろうか。

 それなりに苦労したからだろうか。


「それにもうすぐお昼だしさ。拠点で一休みしようか」


「さんせい!」


「そうですね」


 帰りは簡単。

 今拓いた道を戻ればあっという間に海辺の草地。

 そこから歩けばすぐに拠点だ。


「それじゃお昼を作りますから」


「ありがとう」


「結愛も手伝う」


 それでは僕は海水プールに手を入れておくか。

 一応丸太で土止めを作ってあるのだが、何せ周囲が砂。

 波や風で少しずつ埋まって行く。

 引き波で逆に深くなったりもする。


 だから作業をして深さをある程度に保つ訳だ。

 アイテムボックス魔法で底の砂を収納したり出したりするだけなのだけれども。

 

 作業を終了して拠点に戻ると料理をテーブルに並べているところだった。

 切ってトーストしたパン、サラダチキン風恐竜肉、サラダ、スープという内容。

 なかなか健全でいいし僕が作るより美味しい。


 食べながら午後の予定を話す。


「午後の水路作業は1人で行ってくる。あとは穴掘って壁を作る作業だからさ、1人でいい。だから留守番頼む」


 拠点近くは危険な大物が出ないようだし、美愛の索敵は信用していいことが分かっている。

 だから大丈夫だろう。


「わかりました。それじゃ午前中に捕った恐竜をさばいたり、木豆の幹の芯からデンプンをとったりする作業をしておきます」


「手伝う」


「わかった。ありがとう。恐竜のさばき方はわかるか?」


「カエルの解剖と同じようにやればいいかなと思いますが、もし何か資料があればみせて貰えると助かります」


 今回獲った恐竜は大トカゲっぽい形のイルケウス。

 だから鶏のさばき方では参考にならないだろう。

 実際僕が捌いた時には試行錯誤という感じだったし。

 でも無いよりマシかな。


「鶏用の資料しか無いけれど、無いよりはマシかなくらいで。この中に入っていると思う」


 日本にいる間に印字したものを入れたクリアファイルを出す。


「ありがとうございます」


「ただあまり参考にならなかったかな、前に捌いた時は。二足歩行タイプならこれで出来るけれど、トカゲっぽいのは少し違うから。僕もまだ正解がわかっていない」


「わかりました」


「あと適当に休憩しながらやっていいから。此処は急ぐ仕事は特にないし」


 少し美愛は真面目過ぎる。

 その辺が気になるのだ。


 ◇◇◇


 ご飯を食べて一服したら作業再開。


「行ってきます」


「気をつけて下さいね」


 そんな台詞の後、歩く事2~3分。

 午前中に作った道のような場所に到着だ。


 これからやるのは水路を掘ってその土で壁を作る作業。

 例によって行列式をイメージして、ベクトル操作魔法を起動。


 なお今回の水路の深さは2段階。

 まず幅1mで深さが干潮時と満潮時の中間くらいの海面の深さで掘る。

 次にその掘った中央に、幅50cm位で深さも50cm位の溝を掘る。


 そして取水口は川側、海側ともに幅1mの方と同じ深さにしておく。

 深い部分50cmは海と川、両方の取水口より手前で終了。

 これは勿論それなりの理由がある。

 

 満潮になると上流側下流側それぞれから水が入り、干潮時にはどっちからも入らない。

 そうすれば干潮時には水路に水と共に生物が残される。


 養殖池は水路の深い部分と同じ深さで作る予定だ。

 更に水路と養殖池の間には柵を作って大型の動物が入れないようにする。


 こうすると満潮時に養殖池の中へ水とともに生物が吸い込まれ、干潮時に戻れなくなる。

 そうやって入って定着した小さな魚やエビなどを一定期間池の中で成長させる。


 ある程度時期が来たら、養殖池の取水口に網を取り付け、干潮時に水路の取水口を魔法で一気に掘って水が出るようにする。

 この時は幅が狭い深い方の溝から水を最後まで出す。

 そうすると池の水が全部流れ出て、網と内部に成長した生物が取り残されるという訳だ。


 もちろんこれは僕のオリジナルではない。

 インドネシアで伝統的に行われていた養殖方法を真似たもの。


 なお本家は水門を作って一気に海水と生物を入れ、その後閉じ込める。

 しかし水質の問題もあるので、

  ① ある程度水が動くようにしたい

  ② メンテナンスが楽な方がいい

と考えた結果、こういう方法になった。


 あとこれを作ると干潮時に楽しみが増える。

 満潮時に入って来た生物が水路に取り残される可能性があるから。

 特に泥質を好むようなのはいい感じで捕れるだろう。


 惑星オースには月がないので干潮と満潮は1日2回ずつで毎日同じ時間。

 真夜中とお昼が満潮で、日の出と夕暮れが干潮だ。  


 そんな訳で掘って叩いて熱処理してを繰り返す。

 余分な木や草がないから作業は早い。

 魔力の消費は早いけれど。


 ただ僕の魔力も少し上がっている気がする。

 魔法を使いまくっているからか、はたまた魔素が濃いからか。 

 その辺は不明だ。


 そんな訳で午前中、道を作った時よりも早く水路が開通した。

 最後は取水口だ。


 まずは海側、遊び場を作ったのと同様に砂を収納。

 道作りで出た樹木を丸太にして積んで縛って土止めを作成。

 そしてまた砂を収納して海まで。

 水路に勢いよく海水が吸い込まれていくのを確認する。


 今度は川側だ。

 川側は今まで堀を作ったのと同様の方法で掘って焼いてで河原を通し、本流まで開通させる。

 今はまだ水位が海面とほぼ同一なので水は流れない。


 さて、今日のお仕事はこのくらいにしておこう。

 魔力の残りも気になるし。

 

 砂浜まで作ったばかりの水路をもう一度確認しながら歩く。

 崩れている部分はいまのところ無い。

 まだ水は底の泥で汚れているが、これもじき安定するだろう。


 草地に出たところで堀を飛び越え向こう側へ。

 遊び場に結愛がいるのが見えた。

 僕は大きく手を振る。 

 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >惑星オースには月がないので干潮と満潮は1日2回ずつで毎日同じ時間。 >真夜中とお昼が満潮で、日の出と夕暮れが干潮だ。 ちょうど潮汐力のピークに合わせた干満。 気になって調べてみまし…
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