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移住記録 ~異世界に移住した僕の開拓と捜索と成り行きの日々~  作者: 於田縫紀
第2章 所有地の探検

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第4話 安全第一

 周囲の植生が変わった。

 森を構成する主な樹種がヘイゴになり、下草が小シダに変わりやや密になった。

 傾斜も川の流れも緩やかになる。


 更に進むと川の流れ周辺が泥地になり歩きにくくなった。

 潮の香りもする。

 この辺はもう汽水域らしい。

 そして川沿いの泥地には今までとまた種類が違う、高さ5m位の樹木が生えている。


『オーラム 汽水域の泥地に生えるシダ類の一種。汽水域に適応し塩分を排出する機構を持つ。食用にはならない。地球上にあるミミモチシダ類と同様だがより原始的な種』

 

 マングローブのシダ植物版みたいなものか。

 役に立たないなら無視しよう。

 ただ川岸近くが水中までオーラムの森と化してしまったので歩きにくい。

 いっそ川の中の方が歩きやすいだろうか。


 そう思った時川面に魚と違う大きめの気配を感じた。

 とっさに身構える。

 イルカに似ているが背びれがなくもっと小型の何かが泳いでいた。

 大きさは全長50cm位とそこまで大きくはない。


『ダルサラス 半水生の爬虫類。主に魚食。全長最大80cm程度』


 これも爬虫類なのか。

 偵察魔法で確認すると大きな口と並んだ歯が見えた。

 不用心に川に入るのも危険な模様。

 

 少し考え、今までより川から遠い場所、オーラムとヒカゲヘゴの境くらいを進む事に決める。

 オーラムの方が背が低く道を作りやすそうだったからだ。

 幸い午前中のあの湿気た森ほどの生物の濃さはない。

 それでも同じように幅3mの歩ける場所を作りつつ歩く。


 前方が明るくなり周囲が開ける。

 砂浜手前の草地だ。

 ほっと一息つく。


 周囲が森という状況と比べると格段に見晴らしがいい。

 それにここまで来れば拠点はすぐだ。

 ガラス窓すらないアルミコンテナなら大型爬虫類でも防げる。


 アルパクスの解体は外に作った作業場でやるべきだ。

 コンテナ内では血で壁まで汚れそうだから。

 しかし血の匂いで周囲の森から何かが出てきたら。

 そうと思うと外で作業するのは怖い。


 アルパクスが森の中から出てくる可能性は低い。

 ある程度開けた場所の方が有利な体型と狩りのスタイルだろうから。

 しかし海側、草地に出てこない保証はない。


 そうなると奴の足の速さは脅威だ。

 可能性としては低いだろうけれども。

 

 帰ったら拠点と作業場の周囲に塀を作ろう。

 周囲の木を伐採し土を掘り、その土を固めて塀にすればいい。

 焼き固めればそれなりの強さにはなる筈だ。

 解体作業はそれから。


 拠点から海に出る為に造った道が見えて来た。

 ほっとするとともにどっと疲れを感じる。

 取り敢えず休もう、安全な拠点内で。

 塀つくりや今回収納した物の処理は休憩した後でだ。


 扉を開け中に入る。

 熱された空気がむっとするが、まずは扉を閉めて安全になってから。

 灯火魔法、冷却魔法と起動してやっと一息。

 今朝起きて出したままのベッドに倒れ込んだ。


 ◇◇◇


 翌朝、蒸し暑さで目が覚める。

 アルミバンではなく元保冷車のコンテナにすれば良かったさろうか。

 保冷車用なら断熱材が入っているからもう少し快適だろうから。


 3万円違いで保冷車用のもあって迷ったのだ。

 しかし断熱材その他の関係で少しばかり重かった。

 結果、少しでも軽い方を選んだのだ。

 当時はアイテムボックス魔法の容量に自信が無かったから。


 過ぎてしまったことは仕方ない。

 そう思って起きて立ち上がろうとして筋肉痛が酷い事に気づく。

 身体強化魔法で筋肉痛までは防げないようだ。


 筋肉痛は治癒魔法で良かった筈。

 1回、そしてついでに回復魔法も起動する。

 ベッドから起きて立ってみたところ疲れも筋肉痛も消えていた。

 やはり魔法は便利でいい。


 まだアイテムボックスに入金は確認できない。

 今日は作業場に壁を作り、昨日捕った草や獲物の処理をする事としよう。


 外に出る前に偵察魔法で周囲の安全を確認する。

 問題はないようだ。


 外は眩しい位に明るい。

 母恒星は太陽より小さめで色もやや赤に近い筈。

 しかし僕が見る限り太陽との違いをあまり感じない。


 そして此処は僕が住んでいた北関東の田舎よりかなり暖かい。

 この惑星オースそのものが地球よりやや暖かいのだ。

 二酸化炭素濃度が高めでその分温室効果がかかっている。


 これでも五千年前位と比べると平均で10℃位冷えている。

 二酸化炭素濃度も当時よりかなり低い。

 結果南北極地にある大陸の氷山が発達し海面が下がった。

 そうWebには書いてあった。


 それでは安全で安心な作業場にする為作業をはじめよう。

 まずは作業場の周囲の草や木を剪断魔法で伐採する。

 刈るのは塀の為の場所と、塀に必要な土を採取する場所分。

 およそ5m程度の幅でばっさりとやる。


 伐採後、食べられそうな新芽と木材として使えそうな幹を収納するのは昨日と同じ。

 草地に収納した樹木を運んで積むのも同じだ。

 今回は枝や葉もまとめて収納する。

 これは屋根材として使えないかと思ってだ。


 雨の日もあるだろうし、晴れていても直射日光が厳しすぎる時もあるだろう。

 かといってコンテナ内ではやりたくない。

 そんな作業もある筈だ。

 そんな時に屋根付きの屋外スペースがあると便利だろう。


 何なら風呂だってそこで入ればいい。

 僕が浴槽として購入したのは組立型屋外用プール。

 身体を目一杯伸ばしたいという欲求と値段とのバランスでそうなった。


 既に購入が決まっていたコンテナ内に何とか入るサイズという事で大きさは2.6m×1.6mとかなり大型。

 これを屋外設置してのんびり入れば気持ちいいだろう。


 さて、伐採&収納&運搬でようやく地面が見えた。

 根のうち太い部分は熱魔法で分解。

 しかし砂浜と違い、まだ土をこのまま収納する事は出来ない。

 細い木の根等で固まっているからだ。


 主に重力以外の力で他とくっついている物はアイテムボックス魔法では収納出来ない。

 此処で僕のオリジナル、ベクトル操作魔法を活用する。


 剪断魔法と同じ要領で掘り出す形を意識して溝を掘る。

 今回は曲面で土を動かす。

 形のイメージは左右が屋根の傾斜を考え、行列式で(k,3k²+0.05t-3.5,t)を縦書きにして、-1<k<+1,0<t<10の変域。

 奥は一定の高さだから(k,3k²-3,t)を縦書き。変域同じ。

 

 魔法で土の一部が上に飛ばされる。

 ぐるりと土の塊の周囲が掘られた形になった。

 内側の土は基本的に重力でそこにあるだけ。

 これでアイテムボックスに収納可能だ。


 土は塊のまま収納した後、作業場のすぐ外側に出してやる。

 今度は上下逆にして。

 上が細くなっている形の塀が出来た。


 勿論このままではいずれ崩れる。

 だから形を整え、魔法で脱水させ、やはり魔法で表面を高温で焼く。

 これである程度頑丈になっただろう。


 さて、次の作業は草地で。

 ヘイゴの幹から太い物を10本選ぶ。

 これを8m程の長さに切りそろえる。

 更に剪断魔法で縦方向に真っ二つに割る。

 中の柔い芯は食用デンプンを取る為に別途保存。


 これで草地での作業は終了、

 固い外側を5本分収納して、また作業場へ。


 拠点寄りの塀の上部分に先程割ったヘイゴの幹をのせる。

 50cm程度の間隔で合計10本、作業場の半分くらいのところまで半分に割った幹が載った。


 また草地へ戻り、今度は枝や葉を収納。

 作業場に戻り、塀の上にのせた幹の上に、先程刈った枝や葉のうち長い物をのせる。

 ある程度全面をカバーしたら、次はやや短いものも。

 概ね作業場の半分が枝や葉で隠された。


 また草地に行き半割した幹の残りを回収。

 作業場の枝や葉の上にのせる。


 位置は最初に載せた幹の真上。

 身体強化魔法で塀の上に飛び乗り、紐で上の幹と下の幹を縛って載せた枝や草を固定。

 これで作業場の半分に屋根が出来た訳だ。


 これで注意するべきなのは出入口として開けた拠点入口すぐ横の幅1m程度だけ。

 扉を作った方が本当は安全なのだが材料がない。

 ただこっち側の外は見通しのいい草地。

 急に把握していなかった肉食爬虫類が出てくるなんて事はないだろう。

 だからとりあえず今はこのままでいい。


 あとは砂浜に残した木材などを回収して作業場へ。

 長すぎる幹は5mずつに切りそろえて入れる。


 全て運び終わってようやく一段落。

 しかし作業はここからが本番。 

 昨日狩った獲物の解体作業、具体的にはイルケウス3匹とアルパクス1匹。

 あとはクァバシンの実を水に晒して毒抜き。

 テジャネの根も洗っておいてと。


 まずは大きくて面倒なアルパクスから。

 確かまだ血が出ていた筈。

 だから自分から離れた端に出す。


 やはり血が出てきている。

 これは血が抜けるまで放置だ。


 イルケウスもまずは血抜き作業から。

 バケツに頭を下にして入れ、剪断魔法で首をはねる。

 血が抜けたら洗って皮や毛を剥いで解体だ。


 進化的には爬虫類は鳥類と類似、正確には鳥類が爬虫類の一種。

 だから基本的には鶏の解体方法と同じでいいだろう。

 イルケウスの方は大分鶏と形が違うけれど。


 それでは血が抜けるまでクァバシンとテジャネの作業をしよう。


 ◇◇◇


 途中休憩を入れつつ爬虫類4体を解体。

 流れた血その他を片づけ、剥いだ皮も洗って使えるよう伸ばして乾かす。

 合間に毒抜き中のクァバシンの水を変えたりもする。


 全部終えるのには結構な時間がかかった。

 大分位置が低くなった母恒星を見て思う。

 明日までには入金があるだろうか。


 もしあったらイロン村へ行きたい。

 ちひの情報が手に入るかもしれないから。


 人に会う可能性があるなら風呂に入っておこう。

 此処へ来てからまだ入っていない。

 そろそろ入った方がいい気がする。


 そんな訳で作業場に屋外用プールを出して組み立て。

 思ったより手間どったが、一度組み立ててしまえばばらす必要はない。

 アイテムボックス魔法は重量縛り。

 大きさを気にしなくていいから。


 魔法でお湯を出して入れ、服を脱いで浸かる。

 思い切り広いので足を伸ばし、後ろに手をついた姿勢になる。

 うむ、これは気持ちいい。


 のんびり湯に浸かっていると空が赤らみ始める。

 明日もいい日になりそうだな。

 何となくそう感じた。


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