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黒い天使長編「黒天狗村の伝説」  作者: JOLちゃん
9/19

「サクラ着替える!」

「サクラ着替える!」


祭りのスケジュールを確認するサクラと飛鳥。

そこにユージと拓が。

二人は変装用のお面を買いに来た。

そこでひょんなことに……。

***



 その後、サクラと飛鳥はロビーにある祭りの予定が書かれてあるホワイトボードを発見した。やっぱり各国の言葉で書かれてある。


「初日は前祭り。明日は北にある公園でカブトムシ狩りと西瓜割り、13日は黒川キャンプ場でニジマス釣り&掴み取りバーベキュー。14日はこの綾宮天狗荘駐車場と販売ブースでジビエ料理と流し素麺体験試食大会、15日は盆踊りと地元野菜の特別縁日に素人カラオケ大会。で、最後の16日が後祭りの盆踊り大花火大会と灯篭流し……なんかすごいな! 夏祭りらしい祭りはほとんどやるんやないか?」

「そだな。なんかすごい豪華だ」


 この他に20年置きに一般開放される黒酉神社の祭具殿の展覧もある。これに豪華な温泉があるのだから、退屈せず過ごせるだろう。


 しかし、本当にこれだけ大規模な祭りを、こんな地方の田舎町がやろうとしている事に驚かざるをえない。採算は取れるんだろうか? 



「それに、ちょっと気になることがあるんだけど」とサクラは首を傾げた。

「なんか祭りの内容がほとんど観光客を対象にしたものみたいじゃない?」

「そやなぁ。それが町興しって奴なんやろ?」

「そこがおかしい。20年くらい前までは村内だけで行われた秘密の祭りだったって話を拓ちんから聞いたけど、今は真逆じゃん。撮影一切禁止だなんて町興しにあわない伝統は守るのに、随分観光客には媚売ったイベントなのは変じゃない? 趣旨一貫してない」

「晴菜さんのお父ちゃんが15年くらい前に一念勃起して大々的にやるようになったっていうてたやん。方針展開したってことやろ」



 ……それでこんなでかい旅館まで建てて、祭りの規模を大きくしたのか?


 しかし観光客が来るといっても泊まりの客は1000人を超えない。温泉目当ての客や縁日でお金を落とす人間の数も知れているだろう。ほとんどの来訪者は日帰りだから長時間お金を落とすわけではない。だとすれば村に落ちるお金も高が知れている。採算が取れるものだろうか?


 サクラは経済の専門家ではないがそのあたりがどうも納得できない。


 なんだかんだと喋っていると、ロビーにユージと拓が姿を現した。煙草を吸いに出てきたと思ったら、二人はすぐに土産物を売る売店に向かっていった。

 二人が物色していたのは、大天狗祭り特製のお面だった。


「なんで今土産買うの? 帰りでいいのに」と後ろから声をかけるサクラ。



 ユージは声をかけられ初めてサクラや飛鳥に気付いたらしい。

 が、特に何ともない。



「そろそろ現場に行ってリハーサルもするし、多くの人に見られるからな。変装用のお面探しだよ」

「どうせなら、祭りに関係したお面のほうがいいだろって話になってさ」と拓。

「そのくらいは晴菜さんが用意していたんやなかったっけ?」と飛鳥。確かそういう話だった気がする。さっき400年引き継がれた木製のすごく大きなお面を晴菜に見せてもらったのだが。

「あんな重くて暑苦しいお面被ってられるか。俺たちは軽くて安いのでいい」

「じゃああのお面はウチが被るっ!! ふふふふっ!」


 楽しそうに高笑いする飛鳥。そんな話はバンドに参加しないサクラはどうでもいい。

 ユージと拓はさっさと手軽な土産用の天狗のお面を選び買っていった。それに黙ってついていくサクラと飛鳥。すると売店の女性がサクラを指差し、何かユージに言っていた。ユージは数秒黙っていたが、サクラのほうを向き手招きする。



「なんじゃ? あたしはお面は被らんゾ? バンドには出ないし」

「お面じゃない。お前、一応外国人だろ」

「一応もへったくれもなく米国人だ」とぶっきらぼうに答えるサクラ。それをいえばユージや拓だって今は日系米国人だから外国人だ。

「ここの売店で浴衣のレンタルもやってるんだってさ。旅館用じゃなくて晴れ着の浴衣だ。お前、着るか?」

「にゃにぃ!?」


 全く想像していない展開に思わず変な声が出るサクラ。


「ま……折角の夏祭りだし、夏祭りといえば浴衣っていうのが日本人のスタンダードだからな。お前、浴衣なんて着たことないし折角の機会だからな」

「…………」


 予想外の展開に茫然となるサクラ。ユージはこんな親らしい事を薦めるような人間だったか!? こんな女の子らしい事を薦める人間だったか!? 考えられん!!


「今年は外国人観光客も多いらしいし、色々選べるうちに選んだ方がいいんじゃないか? それにお前の格好、真夏には暑苦しいだろうし」


 サクラは自分の服装を見た。デニムの上着にジーパン、黒のTシャツ……いつもの格好だ。この服は特別製で特に暑いとは思わないが、真夏にこの格好は確かに浮いているかもしれない。しかし浴衣なんて女の子らしい格好したいか、と言われれば特にそんな気は起きないのだが……。



「…………」



 当惑顔でユージを見上げる。

 その時……ユージの眼を見てサクラは決心した。



 数分後……



「へぇ~。馬子にも衣装やなー! あはははっ!」と大笑いする飛鳥。

「黙れ」仏頂面で答えるサクラ。

「女の子らしい服をサクラが着るなんて、明日は雨だな」と拓。


 サクラは、薄い紅色の地に浅黄色の花が彩られた浴衣姿に着替え皆の前に現れた。


 髪はいつものストレートではなくポニーテイルに結い上げられ、ダリアの花が象られたかんざしを髪に差していた。ちょっと子供っぽい浴衣だが、誰もが目を見張るほど美しい。元々サクラは完璧な美貌を持っているのだから何を着ても似合うのは当然だが、和服に白人美少女というセットはものすごいインパクトがある。セットをした店員も、あまりのサクラの美しさに言葉を失い目を丸くしていた。



「気に入ったなら祭りの間ずっと借りてやってもいいぞ」


 唯一サクラの美貌に感動も興味も持っていない、義理の親であるユージ。ユージは、サクラの美しさに感激している店員の事など気にも留めず、さっさとクレジットカードで一日レンタル代を支払っている。


「今日だけでいいワイ」


 羞恥で赤面しながら答えるサクラ。


 そんなサクラを無視し、ユージはさっさと歩き出す。もうじきリハーサルや打ち合わせの時間だ。その後に拓が続き、サクラ、飛鳥と後をついていく。


 サクラがロビーに出ると、観光客や従業員たちはすぐに突然現れた和装の絶世の外国人美少女に目を奪われ、瞬く間に無数の視線がサクラに集中した。サクラもユージたちも、その視線の中を気にすることなく進み、ロビーをゆっくりと横切り、無言のままエレベーターに乗った。エレベーターに乗ってもユージは無言で、リハーサルが行われる地下1Fではなく自分たちの部屋がある4Fのボタンを押した。



「はぁ~……。どんな羞恥プレイだ! 全く!!」

「おうおう。折角の美少女気取りも、喋るとただのガキやな」


 と突っ込む飛鳥。

 飛鳥としては何かサブライズ事件でも起きるかとワクワクしていたのだが、残念ながらその期待は裏切られた。


「サクラ着替える!」


サクラ、イメチェン!

今更いうまでもないですがサクラは超絶的美少女です。

本人はエダよりその事を気にせず服もいつもの愛用服ばかりでオシャレはしないしオシャレしたいとも考えませんが、女の子らしい格好をすればかなり目立ちます。

しかしユージはそんなサクラの性格は知っていますし、別に娘を着飾って喜ぶ風もない。

ではこれは一体何の目的が?

実はあったのです。

次回、その意味が分かります。

意外に不穏な話になっていきます。


これからも「黒天狗村」をよろしくお願いします。

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