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黒い天使長編「黒天狗村の伝説」  作者: JOLちゃん
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「祭りの前、色々」1

「祭りの前、色々」1


旅館内を散策するサクラと飛鳥。

そこに独りの男が。

なんと相手は大手情報サイトの男!

そこで情報交換する飛鳥たち。

この祭りにはどんな秘密があるのか?

***祭りの前、色々1




 8月11日 13時。


 昼食は、皆で旅館内のレストランで取った後、一旦別れた。


 サクラは飛鳥と二人で館内の散策を行っていた。

 思ったより広い館内で、観光客の姿も午前中に比べて増えたようである。


「ホレ、見てみいサクラ。『祭りでは写真、動画一切禁止。理解の上祭りをお楽しみください』……。 ホラ、ちゃんと書いてあるやろ?」

「確かに。しかし変な祭りね。絶好の宣伝になるのにさ」


 サクラたちは再び人が溢れるメイン・ロビーに戻ってきて、玄関前に大きく立てられている看板前にやってきた。先程ユージの部屋で話していた件の確認だ。日本語、英語、韓国語、中国語で同じことが書かれている。


 その時、二人の後ろに一人の男が立った。



「参るよね~、<AS探偵団>さん。せっかく伝説の呪われた祭りに来たのに、これじゃあ記事が書けないよね。あ、でも『記事にするな』とはないから書くのはいいのかな?」


 振り返ると、20代後半の細身の浅黒い肌の青年が笑みを浮かべ立っていた。



「どなたや? アンタ」

「僕? ああ、自己紹介がまだだったね。<ファンキー・ブラボー>のマックスって言えば分かるかな?」



 誰だ? 何で日本人の名前がマックスなんじゃい、とサクラが言おうとしたが、それより早く飛鳥が大きな声を上げた。



「<ファンキー・ブラボー>!? あの大手情報サイトの<ファンキー・ブラボー>! あの有名なマックス!? ホンマにほんまのホンマ!?」


「知り合い?」


「何や知らんのか!? ネットのサブカル系情報サイトの中でも大手の中の大手! オタク・ネタから海外の面白ネタや都市伝説まで幅広くやってる超有名な情報サイト! その主筆が通称マックス氏! 超有名人なんやど! いやー現物本人に会えるなんて、ウチはめっちゃ運がいい!!」


 そういうと、飛鳥はポケットからスマホを取り出し、彼のHPを出して見せた。

 サクラも知っていたサイトで、ネットサーフィンで時々見たことがある。このサイト<ファンキー・ブラボー>の取り扱っているジャンルは本当に幅広く、芸能事件から海外のスキャンダル、さらに面白動画の紹介やアニメの感想など多岐に渡っている。サブカル本に何度も取り上げられているし、公開イベントなんかもやっている。アニメや映画の独自分析レポートなどをまとめた本なども出している。



「マックス氏も、大天狗祭りの取材なん?」

「僕だけじゃなくて、確か<オタ・都市伝>のミキモモ氏も来ているらしいよ」

「おお! 超大手勢ぞろいやな!!」


「僕も中々面白い祭りだと聞いていたんだけど、撮影とかできないのは困ったもんだね」

「まったくや! 何か起こってくれると面白いんやけど」


「まった! ちょっとそこの優男! あたしたち顔出しNGで活動してきたんだけど、<AS探偵団>って何で知ってる?」


「そりゃあ、僕たちの取材力の力だね。君たち<AS探偵団>は警察案件の事件にも色々首を突っ込んでいるだろう? 僕も君たちほどじゃないけど、日本の警察には顔が利いてね。ちなみにどっちがアスカ君で、どっちがサクラ君なんだい?」


「ウチがアスカで、このちっこいのがサクラや。さすが<ファンキー・ブラボー>の調査力やな! ネット界屈指の情報サイトなだけある!」




(……だから派手な活動はするなって言ったのに。いつかバレるとは思ったけど)



 サクラは心の中で悪態をついた。もっとも、アスカというのが実名だというところまでは気付いていないようだ。


 サクラは鋭い眼でマックスを睨みつけた。元々知らない人間に対して心を開かないタイプなのもあるが、信用できる人間なのか判りかねている。


 だがマックスはフレンドリーで、飛鳥とサブカル系の話で盛り上がっていた。



「そういえば二ヶ月くらい前に君の<AS探偵団>に取材を申し込んだのは覚えている? 君たちが殺人事件を解決した時だよ。こんな少女が本業顔負けの活躍しているって、それだけでも大きな話題になったんだけどさ。君は断ったけど」


「あ……そんなことあったかな? いや~その手のメールって結構よく来るから~」


 その事件はサクラも覚えている。失踪事件が実は殺人事件だったという事件だった。飛鳥としては応じたかったかもしれないがそれは無理だ。何せ推理したのも解決したのもサクラなのだから。サクラの超能力だって使ったから世に公開できる事件ではない。



「でも、祭りの取材ってちょっとショボくない? 本当は別の目的があるんやないん?」

「勿論ただ祭りを取材するだけじゃないよ。僕の目的は二つ。一つは40年前の未解決バラバラ殺人事件の追及と、色々秘密に包まれた大天狗祭りの隠された都市伝説を追ってるんだよ」

「成程~。いやいや、ウチはこの祭りも40年前の事件もあんま詳しくはないけど……やっぱ色々謎があるんやな」



 感心する飛鳥。

 飛鳥の表情をみるかぎり本当にそこまで色々な秘密があるとは知っていないようだ。が、マックスは飄々としている飛鳥の態度に、この事件に精通していて色々ネタを持っている余裕の態度……と勘ぐったようだ。好奇心に満ちた笑みを浮かべている。



「どうだい? 折角こうやって知り合ったわけだし、お互い知った情報を共有しあう協定を結ばないか? 君たちの調査力はかなりものだと聞いているしね。そして終わったら共同でレポートを公開するっていうのはどうだろう?」


「悪い話やないけど、どうしよかな……」

 勿体ぶる飛鳥。すかさずサクラは飛鳥の袖を引き、一歩前に出た。


「おっちゃん。やってもイイケド一つだけ条件があるんだけど?」

「なんだい、お嬢ちゃん。僕にできる事かな」


「簡単な事。今夜と最終日、音楽ショーが行われるんだけど、参加してるのってあたしの身内なの。結構驚くことになると思うけど、音楽ショーのことは記事にしない事。人にも話しちゃダメだし、こっそり撮影するのも厳禁。それが守れるなら、その協定結んでもいいわ。どうする?」


「……君たちの身内か。うーん……有名な<AS探偵団>の協力は中々魅力的だし、そういう事情なら協力してもいいよ。君たちに睨まれたくもないし」


「じゃあ、協定成立ってことで」

 と飛鳥は手を差し伸べた。マックスは嬉しそうにその手を握る。


「ただ、オッサンは酷いな。僕まだ20代なんだし、お兄さんと呼んでくれよ。ああ、僕の連絡先渡そう」


 そういうと懐から一枚の名刺を取り出し飛鳥に手渡した。そして彼は背を向け手を振り歩いていった。


 彼が完全に消えるのを待ってから、ようやく飛鳥はサクラを小突いた。



「何、突然約束交わしとんねん。元々撮影禁止のお祭りなんやからそこまで気にする事か」

「あの手のサブカル・オタクはいくらでもこっそり撮影するし記事にもするでしょ? ショッキング売りにしてるんだし。でもある程度釘を差しとけば自重するだろう。ま、こういう気遣いもしておけば後でユージたちにも面目が立つし」


 飛鳥はいい。拓もまぁいいだろう。しかしユージとエダは拙い。エダの魅力は話題が起きるのは必至だしマスコミが騒ぐ。ユージの事なんか記事にすれば裏社会が騒ぎかねず死人が出るかもしれない。


「それは構わへんケド……ただそれだとアレやな。ウチらも40年前の未解決事件や大天狗祭りのネタを何かしら仕入れとかんといかんちゅーことやん。ウチは今回バカンスに来たつもりなのに」


 苦笑する飛鳥。

 いやいや、絶対飛鳥は未解決事件にも関心があったはずである。

 ネット大好きだし都市伝説や未解決事件とか好きだし、未解決バラバラ殺人事件なんていかにも飛鳥の好きそうな事件だし、今日を終えれば16日まで時間があるし、イベントが色々予定されているとはいえ、時間はたっぷりある。絶対暇つぶしの一貫として飛鳥の予定に入っていたはずだ。




「祭りの前、色々」1でした。



ということで今回もまだ祭り前の情報収集!

色々秘密はありそうです。

しかしまだナニがあるかは分かりません。

こうして色んなキャラが登場するのも大長編ならでは!

マックス氏が今後どう関係してくるか、お楽しみに!


これからも「黒天狗村」をよろしくお願いします。

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