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黒い天使長編「黒天狗村の伝説」  作者: JOLちゃん
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「黒天狗様がいるらしい」

「黒天狗様がいるらしい」



サクラとJOLJUに声をかけるセシル。

三人は合流。

そして話題はこの祭りの本題である黒天狗の伝説。

よくある伝説だが……何か秘密が?

***




「よし。……人が増える前に屋台をもっと楽しもう!」


 サクラは地上を目指そうと黒酉神社境内の演芸ステージの近くに降りた時だった。


「駄目じゃないですか! 空なんか飛んで! 誰かに見られたら大騒ぎですよ!」


 と、下の方から叱責する声が聞こえた。


 その声のほうにやっていくと、そこにいたのは、セシルだった。



「なんだ、セシルか。……って! アンタだって目立つ格好してるジャン!!」


 指差し怒鳴るサクラ。


 セシルもサクラ同様浴衣姿だった。水色地に朝顔の模様がついた清楚で美しい浴衣姿で、それでいて亜麻色の髪を持つ外国人美少女である。それだけでも目立つのにセシルは有名芸能人だ。


 だが、セシルは特にその心配はしておらず、「大丈夫ですよ」と答え、右手首を見せた。黒いブレスレットのようなものを付けている。



「うん。あれ携帯型<非認識化>発生装置なんだJO」

 JOLJUが自信満々に答えた。むろんメイド・イン・JOLJU製である。

 目立つのは困るだろう、という事でJOLJUが用意したものだ。

 <非認識化>というのは簡単にいえば存在を消し、消えたように思わせる一種の幻覚能力で、本来はサクラとJOLJUしか使えない能力だが、異星人たちの科学では割と有名な科学でJOLJUはその装置を作る事ができる。


 光学的に姿を消しているわけではなく、<そこにいるのに認識できない>能力で、低レベルだと「誰か居るようだけど誰かわからない」というレベルで、最大だと「全く認識できない」というレベルまで調整できる便利な能力なのだが、欠点がないわけではない。飽くまで「認識できない」だけなので、よく知っている人間には通用しない事と、機械には全く通用しないという点だ。つまりカメラなどには全く無力なのである。


 今セシルは<低レベル>でセットしている。

 なので「誰かいる」くらいは認識されるが顔を記憶する事はできない……というレベルだ。このくらいが一番丁度いい。サクラも常にこのレベルの<非認識化>を使っている。


 セシルが合流したので、サクラたちも地上を行くことにした。


 こうしてセシルを入れ、三人で今度は神社の中を歩いて回った。目立つ三人だが、三人共<非認識化>を使っているから周りに見止められることなく色々見て周る事が出来た。神社は上空で見ているより広く、山門があり、野池があり、庭園があり、おみくじがあり、歴史を感じさせる大きな社がある。そして社の前に、古いが立派な神楽舞のための舞台があった。サクラもセシルもこういう神社を見る機会がないから、これはこれで楽しい。



「そういえば神楽舞って何ですか? サクラは知っています?」


 山道を下りながらセシルは声を弾ませながら尋ねた。サクラは首を横に振る。何度もいうが、サクラは生粋の米国人である。


 二人は、今度はJOLJUに説明を求めた。



「この神社の守り神は天狗さんだから、天狗が出てくる能っぽいカンジじゃないかと思うだJO。ええっと……400年前、この村に舞い降りた大きな黒い天狗様が村人に色々幸福を与え村を豊かにしたJO。そして20年後、天狗様は眠りにつくんだけど、村人たちは天狗様を祭って、色々お供えをして、天狗様の幸運が続くよう祝ったのが、この大天狗祭りの始まりなんだJO」


「よくある伝説だね~」


「天狗様は死んだわけじゃなくて、眠っただけ。20年毎少しだけ目を覚ますんだJO。その天狗様のための神事が黒天狗神楽舞で、特別盛大に祝うって事みたいだJO」


「ずいぶん詳しいですね、JOLJU。まさかそのテングサマと知り合いなのですか?」


 400年前ということはJOLJUのほうが年上だ。何せ約600歳である。実年齢など関係ない、このチンチクリンは宇宙誕生の瞬間から遥か未来の宇宙終焉の瞬間まで知っている。


 だがそんな特別なカラクリはなかった。


 JOLJUが今言った話はJOLJUの知識ではなく綾宮天狗荘に置いてあった祭りのパンフレットの受け売りで、JOLJUだってこんな地方の祭りに来るのは初めてのことだ。


 最後にJOLJUは神社の社のさらに奥を指差した。



「この山の頂上付近に秘密の岩戸があって、天狗様はそこで眠っているらしいJO」

「ちょっと面白そうだ。その天狗様の顔でも見に行こうか」とサクラ。

「それが完全立ち入り禁止で、今ではその岩戸がどこにあるか、誰も知らないってことみたいだJO。まぁ……400年もあれば土砂とか色々積もるだろうし神聖な場所で立ち入らなかったみたいだから、分かんないJO」


 そうJOLJUは答える。この様子からするとJOLJUも特にそれ以上の興味はないらしい。宗教が関わることだからそれ以上JOLJUも立ち入らない。


 JOLJUがその気になってしまえば地球のどの神話も宗教もたちどころに丸裸になってしまう。それはJOLJUの好むところではないし、サクラも分かっているから特に追求したりはしない。飛鳥はたまに追求をせがむが……。




「黒天狗様がいるらしい」でした。



今回は簡単な「黒天狗」の説明回でした。

まぁ何でも知ることが出来るJOLJUがここにいますが、知る気がないのでこの程度です。

<非認識化>のブレスレットですが、実はこれが初登場ではなく短編のほうですでに何度か出てきます。基本ナンパを嫌うエダとセシルが使います。ユージが使うのはJOLJU的にはルール違反らしいですw サクラとJOLJUは自力でできますし、飛鳥は目立ちたいほうなので使いません。


次回、ついにライブがスタート!


ネタバレでいうと(「黒い天使」ではなく「AL」の)この面子のライブは実は「AL」の最終章以来! 実は依然もやってました! ただ「ALむの時の話でサクラは知りませんが。


ということでまだ事件は起きません。

事件が起きてからがこの「黒天狗村」の本番ですが、最初はまったりと。


これからも「黒天狗村」をよろしくお願いします。 


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