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黒い天使長編「黒天狗村の伝説」  作者: JOLちゃん
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「祭り始まる!」

「祭り始まる!」


時間は夕方!

ついに祭りが始まり、人が増え始めた。

それを上空から観察するサクラとJOLJU。

思ったより大きな祭りになりそうだ!

今の所は平和な祭りだが……?

***



 8月11日 15時30分。


 縁日が動き始め、祭囃子が鳴り響き、観光客が一気に町に姿を現す。


 サクラの姿は綾宮天狗荘にも、駅前にも、祭りが行われる黒酉神社にもなかったが、それらの様子を一望していた。上空で……。

 <非認識化>を使っているから、誰も気付くことはない。


 こうして高いところから眺めてみると、今回の祭りの規模や町の構造などがよく分かる。


 駅はかなり遠い。大体6キロは離れているのではないだろうか? 歩いてくる若者がいないわけではないが、多くはこの綾宮天狗荘まで特別バスに乗ってやって来ている。もしくはこの綾宮天狗荘まで車でやってきて、車をここで止めてから祭りに行くようだ。綾宮天狗荘には町の物産を売る道の駅が併設されているが、本当の意味でこの町の駅の代わりとなっているようだ。


 この綾宮天狗荘から北に向かって一本道で山の方に1.2キロほど進むと、今回の祭りの本所である黒酉神社がある。縁日の屋台は、この道に転々と設置されていて観光客を退屈させないようになっている。


 黒酉神社は意外に大きく、鳥居は二つ。

 山裾に大きな鳥居が一つ、さらに山の真ん中にもう一つ鳥居があり、その奥に社が見えた。神社の境内には沢山の提灯やのぼりが用意されていて、力の入れようがよく分かる。よく見ると、山裾の鳥居の奥には広場があって、そこが音楽ライブの特別ステージが作られていた。



「立派な祭りだ。何処が田舎のちょっとした祭りなんだ?」


 もう何回言ったかわからない呟きを零すサクラ。


 サクラはのんびり上空から一本道を進んでいく。露店はよくみるものばかりで多分京都市内の的屋が出張できているのだろう。所々屋台の後ろに営業者の車が停まっているから遠方からだと分かる。どちらにしてもサクラにとっては珍しい。



 やがてサクラは黒酉神社までやってきた。

 大鳥居の中の境内にも縁日があるが、ここの露店はどこか田舎臭く、山魚の塩焼きや佃煮に田舎団子、おでん、うどんに地元のそば、地鳥焼き、ぜんざい、たけのこ田楽、甘酒といった地元らしい屋台が並び、賑わっている客も観光客より地元の人間で賑わっている。どうやら、元々の村祭りはこの鳥居の中のほうのようだ。上手な棲み分けといったとろうか。



「見つけたJO~」


「ぬ? なんだ、JOLJUか」


「戦利品もバッチリだJO」


 JOLJUが、両手一杯食べ物を買ってきて合流してきた。


 二人は上空で合流し、さっそく買ってきた物を分け食べ始めた。サクラはイカ焼きと大団子串を受け取り、JOLJUはたこ焼きを食べながら次に食べる焼きそばを頭の上の乗っけていた。今回はJOLJUもサクラ同様1万円を貰っているので懐は温かいから買い出しも気前がいい。



「オイラも祭りをエンジョイする番だJO。タノシミタノシミだJO」

「ていうか、お前今までドコ行っていたのよ?」


 12時半、レストランで食事をした時まではJOLJUも一緒だったが、その後一人ぶらりと姿を消していた。連絡が取れたのはついさっきで、ようやく合流したわけだ。


 JOLJUは自分の左肩についている四次元ポケットから、竹串に刺さった焼魚を取り出してみせた。



「実はコレやってたJO」


 それをサクラに手渡した。香ばしく焼けたニジマスだった。ほのかに温かく、旨そうだ。


 これは露店で買ってきたのではなく、釣ってきたものを焼いた物だ、とJOLJUは得意顔で説明した。



 この祭りがある綾宮天狗荘から黒酉神社までの通りの途中に、白芥川という田舎の川が流れている。川幅は20mほどある。ちなみに夜の花火はこの川の河原で行われるのだが、ここから上流に5キロほど行ったところにキャンプ場があり、そこにはニジマスの管理釣り場が併設されている。そういえば後日ニジマス掴み取り大会やバーベキュー大会が予定されていたが、そのイベントの仕切りはそのキャンプ場ということなのだろう。



「一時間だけどそこそこ釣れて堪能したし、その場でバーベキューもしてくれる、中々楽しい施設だったJO」


 満足そうなJOLJU。


 ちなみに釣りはJOLJUが数多くある趣味の中でも特に好きでインチキではなく自前の腕でも相当なものだ。釣りは自分一人でも行くし、魚を捌いたり調理したりする事もできる。この点だけはサクラよりはるかに巧い。JOLJUの発明品は完全に信頼することはできないが、釣りと魚の調理に関してはサクラも信頼している。



「ふーん。良かったな」


 無感動に返答しながらニジマスの塩焼きを頬張った。鮮度がいいからだろう、旨かった。


 その後、二人は色々食べながら黒酉神社のほうまで見に行ったり、JOLJUが行ったという川のほうを見に行ったりした。どこも観光客と、それを歓迎する町民たちで賑やかだ。


 そうしている内に大きなバスが黒酉神社にやってきた。時間は16時30分を少しまわったところ。ボディーには<黒川病院>と書かれている。拓の言っていた病院の入院患者や養護老人ホームの人間を運んできたようだ。大型バスに一杯老人たちが乗っていて、それらが降りるとすぐにバスは北東の道を戻っていく。


 あの様子だと、まだ何往復かするのではないか? 



「こりゃあ、5000人くらいは人が来るな」



 サクラは観察しながら呟く。北丹後雅町の総人口は3500人らしいから町民の大半は参加する大イベントだ。それに観光客もいるからかなりの人数が集まるだろう。


 黒酉神社の演芸ステージからリハーサルのギターや太鼓の音がなり始めた頃には、さらに人は多くなった。ポツポツと点在する集落から、町民たちが涼しそうな格好で黒酉神社めざし歩いてくるのが見えた。さらに観光客の数も増え、祭りを盛り上げる町民、楽しむ町民、観光客が集まってくる。


 ……ざっと見だが1万人は超えているようだ。


「祭り始まる!」でした!



今回もまだお祭り説明編!

まだ事件は起きません。そう、最初はこの話は平和なのです。

相変わらず釣りは得意なJOLJU! こいつは北米やカナダやアラスカで本場のニジマスルアー釣りをよくしているので道具はいつも持っていたりします。サクラも釣りはしますがJOLJUほど上手くないですね。


次回も祭り前編!

とりあえずクロベ・ファミリーのライブまではのんびり祭り編です。


ということで物語もこれからです。

これからも「黒天狗村」をよろしくお願いします。

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