リヴァイアサン討伐 2
「な、何だアイツら………。」
「あり得ねぇ………。」
近くの冒険者パーティーのメンバーは、驚愕のあまりに固まっていた。
その視線の先には、シロントがハルバードを振り回していた。
「チっ、すぐに潜りやがる。」
シロントは巧く、リヴァイアサンに一撃を与えることが出来なかった。
ヴェロキからの指示を受けてから、シロントが走り出している為、どうしてもワンテンポ遅れてしまうのだ。
「シロント!」
唐突に、ヴェロキが声を掛ける。
「何だ!」
「クロノの能力をハルバードに付与しろ!攻撃力を倍増させるんだ!!」
「ああ、分かった!クロノ頼む!!」
「了解!!」
クロノは右手に、炎を作り出した。
「「「「「なっ!?」」」」」
他の冒険者パーティーが驚く。その炎は、高さ五メートルはあろう火柱だったからだ。
「よっと………。」
それを左手で圧縮させて、五十センチ程の火柱になった。
その光景に冒険者達は、もはや声も出せなくなっていた。
「ティタノ。」
「何、どうしたの?」
隣でクロノが火柱を生成している時、ヴェロキは反対側のティタノに声を掛けた。
「五十リットルの水を作ってくれ。出来るか?」
「そんなの簡単過ぎ。けど、氷じゃ無いの?」
「ああ、氷だとどれ程の威力になるのか分からないから、シロントが危ないかも。」
「?………まあ分かった。」
そう言うや否や、ティタノは両手を前に付き出して、あっという間に水を作った。
「シロント!いくよ!!」
「ああ!」
クロノは生成した火柱を、シロントに投げた。火柱がシロントのハルバードに触れた途端、ハルバードを中心に火柱が再び大きくなった。
「シロント、後方五十五メートル付近で跳ぶぞ!」
「了解!!」
シロントはまた氷上を蹴り付け、一足で目標地点に辿り着いた。そして、
「ウウオオオォォォリャャャァァァ!!」
大きく上に跳び、氷面を突き破ってきたリヴァイアサンの頭上に、激しくハルバードを叩き付けた。
驚くはその威力。
ダイナマイトを彷彿とさせる程の威力だった。
「ティタノ!生成した水を、次に跳んだリヴァイアサンに投げろ!クロノはその水に、出来る限り高火力の炎を、リヴァイアサンに当たる直前に当てろ!」
「「了解!!」」
ヴェロキの早口な指示に、二人は同時に答える。
「シロント、上向きに一撃加えたら全力で戻ってこい!!」
「分かった!!」
シロントは再び、ハルバードを構える。
「次は前方七十三メートル付近だ!」
「よっしゃあっ!!」
シロントは再び跳んだ。そして、目標地点でまたしても跳んだリヴァイアサンの横腹に、シロントはハルバードを振った。
「今だ!!」
「行っけえぇぇ!!」
「はああっ!!」
ティタノは生成した水をリヴァイアサンに投げ、クロノはタイミングを一発で読んで、青白くなった高火力の炎槍を当てた。
水に炎槍が当たった瞬間、
………リヴァイアサンの横で大爆発が起きた。
「グロロロォォォ………。」
「えっ!?」
「何これ!?」
撃った本人達は、状況を理解出来ていない。慌てて避けたシロントも、例外無く呆然としていた。
ただ一人、指示を出したヴェロキだけが、表情を変えなかった。
爆発に巻き込まれたリヴァイアサンは、流石に生きてはいなかった。