表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラプラスの転生冒険者  作者: 平菊鈴士
4/37

リヴァイアサン討伐 1


 それから八年の歳月が経ち、彼等は成人した。そして、彼等は冒険者パーティー「ファントム・ナイト」としてシュラを旅立った。


 この世界の冒険者のパーティーの任務は、基本訪れた国から依頼される。

 しかし、彼等が最初に訪れた国・ドロース王国は、非常に意地の悪い国だった。冒険者パーティーに対して絶対的に不可能な任務を、一方的に押し付けるからだ。


 彼等四人の最初の任務は、「海洋の魔物 リヴァイアサン」の討伐だった。

 この任務は一冒険者パーティーどころか、国の軍隊全てが向かっても不可能な任務の一つだ。大抵のパーティーなら、肩を落としてドロース王国を出ている。しかし、彼等「ファントム・ナイト」は違った。


「何だ、リヴァイアサンの討伐か?」

「そうなの、何でこの程度の任務を私達に依頼するのかな?」

「まぁ、小手調べって事だろ。」

「何かつまんないねぇ~。」


 この反応に、国の重鎮は驚いていた。

 成人になったばかりの四人が、この絶望的な任務を小手調べと言っているからだ。中には、身の程知らずと思っている者もいた。結果、誰も「ファントム・ナイト」に声を掛けられない中、彼等はスタスタと、リヴァイアサンが出ると言う海へ向かった。彼等にとって周りの雰囲気は、正直どうでもいいと思っていた。


「この辺りだね。」

 リーダーのクロノを先頭に、四人は海岸に着く。辺りには、同じ様にリヴァイアサン討伐の依頼をされた冒険者が、五組いた。強敵なリヴァイアサンが中々現れず、途方に暮れている様だった。

「ヴェロキ、リヴァイアサンはどの辺りにいるの?」

「ちょっと待ってろ。」

 ヴェロキは、海面の動きをじっと見た。海面の微妙な動き、それによる光の反射具合、風の向きから海中のリヴァイアサンの位置を察知した。

「………分かった。沖へ約三・五キロ、海面から約八キロの地点にいるはずだ。」

「周りに生物はいるの?」

「………いや、いない。ここ等一帯はリヴァイアサンの縄張りなのかな?何もいなかった。」

「ティタノ、出来る?」

「そんな狭い範囲、簡単だよ。」

 ティタノは海面に手を触れた。その瞬間、海が凍り付いた。

「「「「「!?」」」」」

 他の冒険者達は、口をあんぐり開けて固まった。当然だろう。目の前の海が、一瞬にして南極になってしまう程の大魔法なのだから。すると、

「グルアアアァァッ!!」

 獰猛な雄叫びと共に、空が急に暗く曇りだし、嵐になった。そして巨大な氷がひび割れて、リヴァイアサンが現れた。全長三十メートルはあるだろうか。そんな巨体が、海面から飛び出してきた。

「あら?凍り切ってなかった。」

「流石、海洋の魔物だな。ティタノの氷撃に無傷か。」

 シロントは白い歯を剥き出して笑った。冒険者達が身震いする程の獰猛な笑み。子供だったら、絶対泣き出して逃げるだろう。

「ヴェロキ、今はどの辺だ?」

 リヴァイアサンは一度飛び出した後、再び海に潜ってしまった。ヴェロキは冷静に、リヴァイアサンの現在地とその先の行動を予測した。

「恐らく、南へ八百メートル先にもう一度飛び出すね。」

「了解!」

 シロントは凍った海の上を走り出した。走りながら背から抜く武器は『ハルバード』。抜いた途端、ハルバードの刃が鈍色に輝いた。

 そして、シロントが向かう先にリヴァイアサンが飛び出した。

「喰らえええっ!!!」

 リヴァイアサン以上に飛び上がったシロントは、その巨大な頭に向けて、ハルバードを振り降ろした。

「グアアアアッ!!」

 激しい火花を散らして、リヴァイアサンは氷の海に落ちた。爆弾の様な衝撃波が押し寄せ、陸地を揺るがす。


「うーん、駄目か。」

「シロントの一撃でも仕留めきれないの?」

 クロノは少し、心配そうな声をする。しかし、

「まぁ、大丈夫だろ。」

「何で?」

「俺達は、ファントム・ナイトだから。」


「くそっ………逃げられたか。」

 リヴァイアサンが凍った海の中に逃げ、シロントは舌打ちをした。そのまま氷上に降り立ち、声を上げる。

「ヴェロキ!次はどの辺りだ!」

「………そこから南西の四百五十メートル地点だ!」

「って事は、あそこか!」

 シロントは氷上をまた、蹴り付けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ