一方的で圧倒的 1
翌日、魔王軍第一軍にて。
「これより、臆病風に吹かれた竜種の居城・ディプロ城に向けて進軍する!各々、準備は良いか!!」
「「「「オオーーー!!!」」」」
「出陣!!!」
千名の軍が動き出した。
「動き出した。」
魔王軍の前方五キロ先、シロントとティタノが魔王軍を待ち構えていた。近くには幅十メートルはあろう大河が、ティタノの氷で堰き止められている。そして川跡に続く様、道を整備して、本来の道を偽装した。
『いかに質があったとしても、戦争は数がものを言う。城に着くまでにある程度減らす必要がある。ティタノは道中にあった河を堰き止めて、シロントがタイミングを見て破壊しろ。』
『了解だ。』
『追撃して良い?』
『余裕があったら一撃だけ許可する。無理にはしなくて良いからな。』
『分かった!』
「そろそろ来るよ。シロント、良い?」
「ああ、いつでもいけるぜ。」
氷壁の端にいるシロントが、ハルバードを握り締める。川跡の先に、魔王軍の一角が見え始めたその時、
「今!!」
「うおおりゃあああ!!」
河を堰き止めた氷壁を、ハルバードの一撃で完全に破壊した。結果、氷混じりの鉄砲水が魔王軍に襲いかかった。
「うわあああ!!」
「水だああ!!」
魔王軍の先陣は慌てて退こうとするも、大軍では動作が遅くなる。結果、一軍の半数以上が鉄砲水に巻き込まれた。
「そしておまけ!!」
ティタノは河下に向けて、吹雪を吹き付ける。その温度、ー273℃。つまり『絶対零度』の吹雪だ。
『氷襲牢檻』。本来は雪山等、気温が極端に低い土地で効力を発揮する魔法。気温の低い辺りの大気を自身の魔法によって更に低くして相手に投射、行動不能に追い込むものだ。気候と自身の魔法の相乗効果で絶対零度の吹雪を作り出すが、魔力の使い方を理解したティタノは、辺りの気候や場所を問わず絶対零度の吹雪を作り出す事が出来る様になった。
その吹雪が鉄砲水となった河の上を吹雪いたのだ。結果は明らか。瞬間的に水に浸かっていた魔王軍は氷漬けに、その風を少しでも受けた者はその部位が凍り、冷気にあてられた者は皮膚が裂けて鮮血を噴いた。
「よし、任務完了!」
「ヴェロキの所に戻るぜ!」
シロントはティタノを肩に乗せ、風の様にその場から離脱した。
ディプロ城上空。竜となったミロクの背にヴェロキとクロノが乗って、戦況を見ていた。
「まずは先手良し。」
「………ティタノの吹雪、威力凄い事になってる。」
クロノが手放しに賞賛していた。
「ヴェロキ、次に行きますか?」
「ああ。ミロク、皆さんの準備は大丈夫か?」
「いつでも!」
背を翻して、ミロクは飛び立った。




