鍛錬の成果
「おお、戻ったか。」
「「「おかえり〜!!」」」
鍛錬から戻ったファントム・ナイトを、カルノ達が出迎えた。
「ただいま戻りました。」
「ふむ………。」
「どうした、カルノ?」
「いや、お主達の魔力の桁が跳ね上がった様に感じたのだ。………今までのお主達の軽く十倍は上がっておる。」
一行は顔を見合わせた。
「いやいや、そんな訳無いですよ。」
「そうそう、上がってても精々二倍程度だろうよ。」
「ふむ………実感は無しか。」
カルノ達と別れ、一行は一足先に城へ戻ったミロクェルーン達の元へ向かった。その道中、
「ゴアアアッ!!」
「えい。」
ホーンコヨーテの角を目掛けて、ティタノが正拳突きをする。結果………、
「ギャインッ!!」
真正面からバキバキと角を破壊し、そのまま頭を殴り飛ばした。
「………あれ?」
「拮抗が無かった………。」
単体では敵わないと判断したのか、群れたホーンコヨーテは一斉に飛び掛った。
「んじゃ、俺がやるぜ!」
シロントがハルバードを構えると、
「うおおりゃあああ!!」
豪快に一振、それだけでホーンコヨーテを風圧で吹き飛ばした。
「………あれ?手応えがさっぱりだぜ………。」
「やっぱりだよね!戦った感じが全然無かったよ!」
少し離れた後方。
「カルノが言ってた事って、こう言う事なのね。」
「ティタノもシロントも、基礎攻撃力が上がってるな。」
「特にシロントなんて、筋力だけで風の魔法と同等の風圧を起こしてるしね。」
ヴェロキとクロノが、冷静に状況を観察していた。
「まぁ、常に気の抜けない状況だったし、ナオキ達の戦闘を見たらそうなるよな。」
「うん、私も炎の使い方をしっかり学んだよ。」
クロノが指に小火球を生成した。そして、
「行け!」
軽い反動とは裏腹に、音速並の速度でホーンコヨーテの眉間を貫いた。
「んじゃ、俺も。」
時空間収納から弓を取り出し、高圧縮させた魔力だけで矢を生成する。
そのまま矢を番え、
「ティタノ、シロント!端に避けろ!」
反射的に離れた所を見計らって、体内の魔力の循環を加速した。
「お、おい………。」
「………まずくない?」
魔力量に呼応する様に、地面が揺れ始めた。そして、
「フッ!!」
魔力の尾を引きながら高速で矢は放たれた。
………結論を言うと、ホーンコヨーテの群れは殲滅、否、消滅した。
リヴァイアサン討伐並の爆発を、矢の一本で発生させ、道中に直径五十メートルはあろうクレーターを作り出した。
「………やり過ぎ?」
「うん、………やり過ぎだよ。」
一方、
「ヴェロキの馬鹿野郎!ホーンコヨーテの群れ程度に、『爆魔矢』ぶち込むかよ普通!?」
「きゅ〜、………せ、世界、回って………矢も、爆はちゅ………。」
ヴェロキの一撃でシロントとティタノは吹き飛ばされて、木の上で伸び掛けてた。
「アイツに加減ってのを教えねぇと………って、ティタノ?どうした?」
「………あは、ば、爆発、………みんな、と………飛んでぇ………。」
「………錯乱してやがる。」
フルフルと震えたシロントは、キッと目を開け、
「加減しろおぉ、馬鹿野郎おおおおぉぉぉぉ!!!!」
………元凶のヴェロキに向けて吠えた。
余談だが、この時に出来たクレーターはそのまま残された。数十年後、ファントム・ナイトの功績が彫られた石碑が設置され、名を馳せたいと意気込む冒険者達の聖地となったと言う………。




