カルノの宝
「この森は、竜が守護するとされている言い伝えがあり、人族は滅多に足を踏み入れぬ。」
道中カルノは、物語を語る様に語り出した。
「それ故、口減らしの為子を捨てに来る親も昔からあったのだ。その殆どは、ドロース王国民の様だったな。」
「そんな………」
女性陣は驚愕に目を見開き、男性陣はドロース王国民の行動に顔を顰めた。
「ドロース王国は他国に比べて、税が異常に高かったんだよ。国民に長年、徹底的に税を搾取していたらしい。その使い道は殆ど、国王の懐に入っていたんだろうな。だから国王だけは毎日贅沢三昧なのに対し国民は、その日暮らしを強いられていた。口減らしはその影響だろうな。」
「またしてもドロース王国かよ………。腹立つ国だよな………。」
「本当ね。………潰して良かったよ。」
「………クロノ、………顔が怖いよ」
シロントは滅亡したドロース王国に怒りを露わにし、クロノは見た事ない程に黒い笑みを薄く浮かべて安堵を口にした。そんなクロノにティタノは、少し恐怖している。
その光景を尻目に、カルノは話を続けた。
「人族はよく分からんものだ。腹を痛めて産んだ我が子を、こうも簡単に捨てるとはな。事情はとんと知らぬがな。」
ふと顔を上げるカルノ。しかし、前方には何も無い。
「どうした?」
「ここが目的地だ。」
「え?でも何もな───」
ミロクェルーンがそう言いかけた時、
「開門」
呟く様にカルノが呪言を唱えた。
すると、何も無かった前方に陽炎が立ち、徐々に形を作っていく。そこに現れたのは、高さ十五メートルはあろう岩山だった。
「ここが我の住処よ。そして我の宝もある。」
「宝?」
その岩山は、十メートル付近に洞窟があった。おそらくそこが住処だろう。そしてフェンリルの宝も、そこにある筈だ。
「着いてくるがよい。」
カルノの後を追うように、一行は岩山に辛うじてある細い道を登った。
「ここだ。」
洞窟の前に着いたカルノは、一行に振り向いた。
「ここがカルノの住処か。」
「うむ、もう直に宝も来るであろう。」
「来る?」
クロノが疑問を口にした時、
「「「「お帰りーーー、カルノーーー!!!」」」」
洞窟から幼い声と共に、何かが走って来た。声の主達はそのまま、カルノの首元に抱き着いた。
「成程ね………。カルノの宝、それは………。」
「子宝って事なのね。」
ヴェロキとクロノは、納得の顔で子供達を見て呟いた。




