ゲイ・ボルグの初陣 1
ようやく目的地に着いた時、
「やああっ!!」
「グガウッ!!」
ミロクがマンティコアに殴りかかっていた。
その腕には暴風が渦巻いて、紙一重に避けたマンティコアの身体を吹き飛ばした。
「タイシャ、脚にもお願い!!」
「分かった!」
ミロクの後ろには、ミロクより若干若い男性が立っている。その右手に三叉の矛を持っていた。
間違いなく、彼がタイシャクナークだ。
ミロクが縦横無尽に攻撃を繰り出すも、決定打には今一歩届いていない。
「皆!一体お願い!!」
大好物の人族を見つけると、一体のマンティコアは一目散に襲い掛かった。
それを予想していた四人は、声を揃える。
「「「「了解!!」」」」
「真正面からの噛み付き。あと五秒だ。」
「私が止めるよ!」
ティタノの声と共に、氷の障壁がマンティコアの前に聳え立った。氷で敵の進行を妨害する『氷壁』。
突如現れた氷に、マンティコアは尾を振りかぶった。
「クロノ!尾の先を狙え!」
「分かった!」
『炎槍』を三本作り出し、弓矢の要領で引き絞って放つ。
三本の槍は全て、尾の先に命中した。
「グロルル………。」
僅かに体勢を崩す。
「今だ、シロント!!」
「おうっ!!」
脚力を増強させたシロントは、助走無しで四十メートル程跳んだ。その手にはハルバード。逆さで最高点になった時に、
「クロノ!」
「今ね!!」
逆さになったシロントの足裏の空気を、硬質化させた。
硬くなった大気を足蹴に、シロントは跳んだ時と同じく大気を蹴った。
この時のシロントには、「重力」・「脚力」・「シロント自身の体重」の三種の力が掛かっている。その上でマンティコアに到達する寸前に、肩に担いだハルバードを振り下ろす。結果、「ハルバードの遠心力」を含めた四種の力がハルバードの刃に掛かった。それはさながら、即席のギロチンである。
直後、隕石の衝突を思わせる轟音が響く。
マンティコアは呆気なくその首を落とされた。
「に、人間四人で、マンティコアを………倒した………。」
「流石よね………。」
マンティコアを二体倒したミロクとタイシャクナークは、ファントム・ナイトを見直していた。
「いやいや、これもヴェロキのお陰さ。」
「ありがとね、ヴェロキ。」
シロントとティタノがヴェロキを褒める。しかし、当のヴェロキは完全に違う方向を向いていた。その顔は、未だに緊張していた。
「どうしたの、ヴェロキ?」
クロノが問うも、ヴェロキは返さない。ヴェロキがこの様な対応をする時は必ず、何かに集中している。この状況で集中するものは、ほぼ一つ。ーーーラプラスによる解析である。
「来る………。」
そう呟いた時には、時空間収納に手を入れていた。取り出した物は『ゲイ・ボルグ』。
傍の茂みを睨みつけながら、ヴェロキがゲイ・ボルグを構えた時、茂みの奥の木々が激しく倒れた。
そこから顔を覗かせた者は………、『幻狼 フェンリル』だった。




