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ラプラスの転生冒険者  作者: 平菊鈴士
23/37

チート武器の紹介 3

「この様な武器が存在するとは、素晴らしい!」

 ディプロ城内に戻った直後、住人が口々にファントム・ナイトの拳銃を称賛した。

「ところで、この拳銃以外にも武器は無いのですか?」

「あ、はい。ありますよ。」

 ヴェロキが何て事無いと言う風に返すと、

「え!?まだあるの!?」

「ヴェロキ!みせてくれ!!」

「私も見たい!!」

 当然三人が食いついた。

「………三人は知らないのですか?」

「はい、紹介していませんから。機能するか確認をしてから渡すので、見せていないんですよ。」

 そう言ってヴェロキは、時空間収納の口を開いた。無造作に手を突っ込み、引きずり出したそれは、


 ーーーただの槍だった。


「………えっと、ヴェロキ?」

「な、何か間違えたんだよな?」

 ティタノとシロントが、不思議そうに聞く。他の竜族達も、似た様に訝しんだ。しかし、クロノだけが違った。

「………ねぇ、ヴェロキ。」

「うん?」

「………この槍、変な魔法が掛かってる。種類は分からないけど、………本当に使って大丈夫なの?」

 ヴェロキが答えようとした時、


「………お嬢さんが心配する必要はない魔法じゃよ。」


 部屋の奥から、(しわが)れた声がした。

「父上、いらっしゃるのなら声を掛けて下さいよ。」

「何、外庭で随分楽しんでいる所に儂が入って、邪魔をしたく無かっただけじゃ。」

 ふぅと一息、溜め息を吐くアグニムーン。ファントム・ナイトに向き直ると、

「皆様、こちらが先代ディプロ城城主の『ブラフムーン』です。私の実の父です。」

 にこやかに笑みを作るブラフムーン。好好爺の様な彼に、何故かヴェロキとクロノが目の色を変えて、警戒心を(あら)わにした。

「どうした、ヴェロキ?」

「優しそうなお爺さんじゃん。クロノも何で警戒するの?」

 その問いに答えない二人。すると突然、


「クロノ!熱風(ヒート)剛盾(シールド)だ!!」

「うん!」


 コンマ一秒に満たない間に炎の対物障壁が四人を覆った刹那、


 ーーーザシュッ!!


 斬撃が障壁を斬り付けた。

「ほう、お嬢さんの方は直感の様だが、………お兄さんは斬撃を予測していたね?」

 ヴェロキの目を見て聞くブラフムーン。顔こそ笑顔だが、その眼光は歴戦の戦士そのものだった。幾度と無く命のやり取りをし、時には死の一歩手前にまで経験をした、真の戦士の眼光。

 流石は先代ディプロ城城主。海千山千の風貌だ。

「………。」

「………。」

 クロノとヴェロキは、未だに警戒心を解かなかった。

「フフフ………もう良い。ドロース王国を滅亡に追い込んだ人族と聞いてから、妙に疼いてしまっての。もう手は出さぬ故、警戒せんでも良い。」

 二人は顔を見合わせて、軽く頷いた。

「………分かりました。」

「それはそうと、その槍の魔法について話しておったのでは無いか?」

「はい、この魔法の種類が分かるのですか?」

「うむ、………これは『結果を定義させた魔法』じゃな。」

 すると、アグニムーンが首を(かし)げる。

「結果ですか?それは魔法とは呼ばない筈では………。」

「そう。本来魔法と言うものは、『過程を定義させる』ものなんじゃ。過程を定義する事で、如何なる局面に陥ったとしても対応させる事が出来る。そしてこれこそ、魔法を魔法たらしめる為の条件となっておる。お嬢さんが『変な魔法』と言ったのは、恐らくこの(たぐ)いの魔法に、見覚えが無いからじゃろうな。」

 ブラフムーンはそう言って、槍に近づいた。

「じゃが、結果を定義させる魔法は、種類こそ少ないものの実在しておる。例えば、『人払いの結界』もそう。対象の精神や感覚に作用させるあの魔法は、その過程こそ違うものの、『人を寄せ付けない』と言う結果を定義にしておる。………この槍も、似た様に結果を定義させておるのじゃ。」

「しかし父上。それでは魔法としての汎用性や強度も弱くなり、使い物にはならない筈ではないのですか?」

「確かに結果を定義させた魔法は、本来であれば強度も汎用性も無い。じゃがそれにも、例外は存在する。ある単体の目的を持った時に、結果を定義した魔法は、汎用性の高い魔法を遥かに上回る威力を持つのじゃよ。言うなれば、『特化型魔法』となるのぅ。………お兄さん、この魔法の結果はどうなるのじゃ?」

「………この槍の銘は『ゲイ・ボルグ』。付与された魔法の結果は『狙いを付けた対象の心臓を穿つ』事。」

 その瞬間、ティタノも、シロントも、竜族達もその槍から離れた。その場から動かなかった者は、所有者であり製作者であるヴェロキ、魔法の存在に感付いていたクロノとブラフムーンだけ。

「成る程、………道理で、尋常じゃ無い程の威圧が秘められていた訳ね。」

「一撃必殺、………この槍を持っただけで、決闘は勝ったも同然と言うものじゃな。」

 染々と、それでも畏怖を込めた様に呟いた。

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