竜の一族 4
「去れ、人族!」
「貴様等の様な野蛮な種族が、この街に近づくな!」
ファントム・ナイトが跳ね橋を渡った途端、門番を勤めているらしい身の丈三メートル程のミノタウロスが二人、槍で行き先を塞いだ。そこに………。
「止めなさい、貴方達!!」
ミロクェルーンの叱責が響いた。
「な、ミロクェルーン様!!」
「何故止めるのですか!?この者達は、あのドロース王国の人族………。」
「もう一度だけ、言います。その槍を退けなさい。」
叱責では無く、静かに、それでも明らかに放たれる怒気に、二人のミノタウロスは槍を退けた。
「………この者達は、人族でありながら、ドロース王国と戦った者達です。そして、彼等のお陰でドロース王国は消滅したのです。その様な功績を持った者達に、貴方達は素性も問わずに追い返すつもりですか?」
その瞬間、ミノタウロス達は槍を投げ捨て、土下座をした。
「「申し訳ございません!!」」
あまりの潔さに、クロノ達は驚いて固まった。
「貴殿方の様な人族がいるとは、………無知をお許し下さい!」
「我々の命でどうか、お許し下さい!」
「いえいえ!も、もう頭を上げて下さい!」
慌ててクロノが答えた。
「もう十分、謝罪を受けました!ですから、もう頭を上げて下さい!」
続いてヴェロキも答える。ティタノとシロントはまだ、固まっていた。
謝罪を受け入れたと言うのに、まだ頭を下げ続けるミノタウロス達。再起している二人は、居心地の悪さに堪らず叫んだ。
「「もう、頭を上げてぇ!!」」
漸く頭を上げたミノタウロス達の脇を通り、ファントム・ナイトはニクス街に足を踏み入れた。
「………なあ、ヴェロキ。」
「どうした?」
「………俺達、結構ジロジロ見られてるよな?」
「うん、………私も居心地悪いなぁ。」
シロントとティタノがそう言うのも、無理は無い。人族の襲撃を恐れて造られた街に人族が四人、それも竜族のミロクェルーンに連れられていると言う光景に、誰もが納得が出来ないからだ。
しかしヴェロキは………。
「まあ、不審がられているだけだし、別に喰われる訳じゃ無いんだから堂々としてればいいだろ?」
「………そんなに肝据われないよ。」
「クロノは心配になるよな?」
振り返るクロノ。
「別に襲われる訳じゃ無いんだし、大丈夫でしょ?」
「「ヴェロキもクロノも変になってる!!」」
「「失礼だな!?」」
………このやり取りを傍で聞いていたミロクェルーンは、終始何も話さなかった。彼女のその後を知る者はいなかったが、どうやら腹筋が筋肉痛を起こしていたそうで、暫く部屋に籠っていたそうな。




