竜の一族 3
「な、な、な………何ですかこれ!?」
ホーンコヨーテを完全鎮圧させた、『ファントム・ナイト』の拳銃を見て、ミロクェルーンは堪らず叫んだ。
「何なんですか、その武器は!その小さなレバーを引くだけで、鉄の筒から何かが飛び出して、いつの間にかホーンコヨーテを倒しているだなんて!?」
まあそうだろう。科学も物理も発達していないこの世界。火薬の爆発現象を伴う銃火器だなんて、存在する筈が無い。
この世界には存在しない科学力を持ったヴェロキの武器は、まさしくチート武器と言えるだろう。
『ファントム・ナイト』の全員は、その不思議さが分かっていなかった。拳銃の製作者であるヴェロキは、ホーンコヨーテを血抜き処理し、時空間収納に放り込みながら答えた。
(尚、能力の素質こそ必要であるものの、この『時空間収納』は、汎用的に使われている。比較的使いやすく、制御もしやすい魔法を、『普遍的魔法』と称されている。)
「これが『拳銃』です。シロントのはともかく、拳銃は携行しやすい武器なんですよ。殺傷能力も高く、万一の時には非常に便利な武器です。」
「い、いや………そう言う事を言いたいんじゃ無くて、その………。」
言いたい事が纏まらないミロクェルーン。そのまま言いたい事は有耶無耶になり、一行はディプロ城を目指して歩き出した。
その後も、三つ目の鴉・『クレイジークロウ』や猛毒持ちの巨大な蜂・『キラーポイズンビー』、牙のついた口で待ち伏せている巨大ミミズ『ジャイアントワーム』が現れた。しかし、一行が攻撃を受ける事は無かった。近づくや否や、ヴェロキが一早く予測し、拳銃や能力で返り討ちにしていた。その様は、端から見れば一方的な虐殺にも見えるのかも知れない………。
「着きました。此処がディプロ城です。」
ミロクェルーンの声掛けに、一行は上を見上げた。
空高く聳え立つ、西洋風の城。目の前には跳ね橋が掛かっていた。その先は、商店街となっているのだろうか。賑やかな声が聞こえてきた。
「城の麓にあるあの街は『ニクス街』。人族以外のあらゆる種族が入り交じって、暮らしているのです。」
「何故、人族はいないんだ?」
「………貴殿方が消滅させて下さった、ドロース王国が原因です。そこの国王が、人族こそが至高の種族であると説き、幾度と無く近隣の他種族達の村や街を襲ったのです。それを知った父が、城の麓に街を造らせ、人族に追われた種族を匿いました。それが起源となって、このニクス街は人族がいないのです。」
「って事は、私達が此処に入るのは………あまり良くないのかしら?」
「い、いえいえ!貴殿方の近くには、あたしがいます!ですから、襲われる心配はありません!!」
慌てた様に、ミロクェルーンは言った。
「で、では!行きましょう!!」
………空回りしている感は拭えていなかった。




