ファントム・ナイトの新たなチート武器 拳銃
消滅したドロース王国に代わって、ギルシャナ王国から金貨五十枚を受け取った『ファントム・ナイト』。
その後、金貨五十枚を路銀にして宿を引き払った。目的は無く、ただ南に行こうと言うだけの、行き当たりばったりの旅が始まった。
「なあ、ヴェロキ。」
「何だ?」
「ワイバーンを倒した、あの武器って何だ?」
シロントの問い掛けに、ティタノとクロノが反応した。
「ワイバーンの、………これか?」
ヴェロキは懐から、ショルダーホルスターに差し込まれた拳銃を見せた。
「ああ、それだ」
「これは『拳銃』。正確には『デザートイーグル』。」
.44マグナムや.50Action Expressを使う『デザートイーグル』。口径の大きい銃弾を扱う拳銃故、威力もトップクラスである。
「デザート?………美味しそう。」
「おいおいティタノ。『デザートイーグル』のデザートは、食後のデザートじゃないよ。砂漠って意味だ。『デザートイーグル』ってのはつまり、砂漠の鷲って事だ。」
「そんな風に個別の名前があるなら、他にもその拳銃はあるの?」
「ああ、あるよ。………欲しい?」
その瞬間、三人の目がキラキラと輝いた。
(………拳銃、欲しいんだ。変わってるよ………。)
およそ言う事が憚られる事をヴェロキは考えた。
結局ヴェロキは、その場で三人に拳銃とショルダーホルスターを渡した。
一応銃弾が発射されるのだが、銃弾をセットさせる部位は無い。銃弾を作り出す事は不可能では無いが、そもそも無くなった分を補充するのでは効率が悪く、銃弾の代わりに自身の『気力』を拳銃に流し込んで、銃弾に変形させている設計にした。こうする事で、銃弾を嵩張らせる事も、銃弾のセットも必要が無くなった。
クロノは『S&W M500』、ティタノは『ニューナンブM60』、そしてシロントは、面白半分で作った『Pfeifer Zeliska』を選んだ。
『S&W M500』は、.44マグナム弾と言うかなり強力な銃弾を装填出来る拳銃。また、その三倍の威力を誇る.500S&W弾も装填が出来る。『デザートイーグル』と拮抗する威力は、元はグリズリーを一撃で仕留める為だったそうだ。
『ニューナンブM60』は、日本の警察官用の拳銃。射撃精度が比較的高い点が特長であり、携行にも適している。小柄なティタノには、丁度良い拳銃だった。
『Pfeifer Zeliska』は、端的に言って化物拳銃である。銃弾は.600ニトロ・エクスプレスか.458ウィンチェスターマグナム。両方とも象を狩る用の銃弾である為、装填出来るこの拳銃は「世界最強の拳銃」の称号を得ている。
最強の威力を誇る以上、撃つ際の反動も桁違い。一般人であれば、誰でも立ったまま撃つ事は不可能。しかし、射手がシロントであれば、話が変わってくる。
「おいヴェロキ!こりゃ楽しいなぁ!!」
そう言いながらシロントは、誰もいない森の木々に向かって引金を引く。その手には、『Pfeifer Zeliska 』が握られていた。しかも、片手で立ったまま。
「う、嘘………。」
ヴェロキは唖然としていた。
「何で?」
耳を両手で塞いだまま、クロノが尋ねる。
「………あの拳銃、普通だったら身体が後ろに吹っ飛ぶし、………片手なら、肩とか腕とかの骨を折る事もあるんだ。………俺も、まともに撃てない拳銃だよ、あれは。」
「え………。」
「嘘でしょ………?」
意味を理解したクロノとティタノ。その前では、小型の大砲並の拳銃を、楽しそうにシロントが引金を引き、次々と大木の幹を倒していた。




