ヴェロキの邂逅 2
それ以降の彼の記憶は、異常な程鮮明に思い出せる。
暖かさに包まれて、彼は目を開けると、若い女性が目を潤ませて覗き込んでいた。その隣には、同じく目を潤ませている男性が、女性の肩を後ろから抱き締めていた。
「ああ、やっと目を開けたわ!」
「良かった、よくやったねロア!」
「本当に、………本当に良かったわ。………ありがとう、カイサ。」
どうやら、自分の両親らしい。そう思った彼は、途端に泣き声を上げた。
自分が意図的に上げた訳ではない。
何故か、上げてしまった。否、上げる事しか出来なかった。
「女の子なら、スイセ。男の子なら、ヴェロキよね?この子は男の子だから、今日から貴方は、『ヴェロキ』よ。」
ここから彼『ヴェロキ』の、転生物語が始まったのである。
彼は前世の記憶があるが、名前などの個人情報までは思い出せない。無理に思い出そうとすると、たちまち記憶に靄が掛かってしまう。それでも強制的に思い出そうとした途端、脳が直接締め付けられる様な激痛が走り、一時意識を失った。
どうやら思い出してしまうと、こちらの世界での生活が上手く出来なくなってしまう為、思い出さない様にする為の自己防衛だと、彼は勝手に認識している。
それから八年後。
ヴェロキは能力の告知を受ける、「告知式」を行った。
この世界では、生まれつき能力を秘めている。そして八歳になった時に、教会にて能力を開花させるのだ。
誰もが持っている能力。
その種類は多岐に渡り、攻撃系や防御系、はたまた生活系の能力もある。
その能力を持って、この世界の住人は自分の人生を造り上げているのだ。
「あ、ヴェロキ!」
教会に入る彼を、後ろから呼び止める女子が一人。
同い年のクロノだ。
その後ろには、シロントとティタノもいた。
この三人とは意外な程馬が合い、何をするにも四人で行動していた。
「やあ、クロノ。とうとうこの日が来たね。」
「そうね、もう楽しみだよ!」
「クロノ、行くぞ。」
「ヴェロキも、早く早く!」
並んで教会に入っていった。




