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期待ハズレの物語  作者: 梅屋卓美
4/12

~少年期 暴力基盤part2~

トシおじちゃんと親父が向かい合って座る。


梅屋家 床の間。


親父に詰め寄るトシおじちゃん。



「兄貴よぅ、卓美は顔面切られて美穂は長棒で殴られてんだ。んでもアンタ黙ってろって言うんけ?」


沈黙が続き、親父が重い口を開く。


「年男くん。警察もああ言ってるんだ。どうしようもない。命があっただけでもありがたいと思わないと」



トシおじちゃんは、この台詞を聞いて心底情けなく思ったんだそうだ。だっぺよ?


所詮、美穂と卓美はアンタの子じゃねぇ。

だから、そんな台詞が吐けんだ。


怒りのトシおじちゃんに流れる常陸国の荒い血が、押さえきれない感情と共に爆発する!



「あぁ?テメェは警察(デコ)の言いなりで構わねぇだろうよ!んでも俺ぁ美穂と卓美とは同じ血が流れてんだ!姪と甥キズモンにされちゃ黙ってらんねぇ!必ず仁公(じんこう)からケジメ取ってやる」


あまりに無責任な親父の態度に、憤慨するトシおじちゃん。



トシおじちゃんの怒声に、飛び出してくる母。


「アンタ!お父さんに何言ってんだ」


たまらず母は厳しい言葉を投げる。


「だってよう、姉貴!この野郎の言ってる事は詭弁だ!卓美と美穂はずっと・・」


バシン!


母の平手打ちが、トシおじちゃんの頬を打った。


「アンタに何が分かる?お父さんが居なけりゃアタシや美穂や卓美も死んでたよ!破落戸(ごろつき)のチンピラが偉そうな口きくな」


母の強烈な叫びに言葉をなくすトシおじちゃん。



・・・・。



落胆し、梅屋家を後にするトシおじちゃん。



俺と姉ちゃんは階段の隅で一部始終を聞いてた。



姉ちゃんに問いかける。



「どうなるのかな?母上もトシおじちゃんも怒ってるよ。でも俺はトシおじちゃんが間違ってるとは思えない」


そう言う俺の頭を撫でながら姉ちゃんは


「だよな。トシおじちゃんは間違っちゃいないんだ」


姉ちゃんは安堵の表情で呟いた。



トシおじちゃん・・・・・・。



一体何者?




トシおじちゃんは当時名を馳せた暴走愚連隊 出島連盟の初代メンバー。


カミナリ族から暴走族に転換した後のいわゆる初期の不良で、今のヤンキー達の先祖のような人だ。

後にトシおじちゃんは在日朝鮮人と戦う民族団体 道龍會を長老、海沼と立ち上げ、抗争の先端を走る。そして土浦市の暴力団の舎弟に納まる人物だ。



可愛い甥っ子や姪っ子をキズモンにされ黙っている人物ではない。


トシおじちゃんは帰りの太田ストアの公衆電話で、直ちに集結をかける。



集結先は・・・・。




(株)吉田興業。



この吉田興業は、土浦市の大親分の実子が経営する 東西興業の五分の兄弟会社で、社長は出島連盟の会長でもある。



トシおじちゃんは直行で吉田興業に向かう。




すると、すでに吉田興業事務所前には、BMWのリムジン キャデラック ジャガー等の80年代では尋常じゃない高級車がズラリと並んでいた。


その横にトシおじちゃんはベンツを止め、事務所に入る。



すると、


「年男さん。ご苦労様です」


と、挨拶する1人の青年。


この青年が、今でも出島で伝説の吉田壮吉である。



中には。




吉田興業社長。床屋の岡本。板金屋の小崎。門松定食マスター。合銀鉄骨代表等、見事なる往年の出島番長の勢揃いだ。



吉田の社長が


「トシちゃん、身内 仁公にヤられたんけ?」


煙草を揉み消しながら怒り心頭に煙と共に吐き出す。


「ああ。どうしたもんげよ」


トシおじちゃんが返す。


「殺すしかあんめぇな、仁公の野郎。いつまで出島でのさばらせてんだ」


床屋の岡本が憎々しげに呟く。


「んだな。殺すしかあんめえ。これ以上子供達に危害が増える前に」


板金屋の小崎が同意する。



ちなみに、この場に集結してるメンバー。


全員カタギだ。



しかし、まるで暴力団の抗争の領域である。



でも、昭和の時代は、警察は宛てにならず、こうした怖いジジイ共が地域の治安を守っていた。




仁公(じんこう)



コイツは、出島村 房住集落で根をはる在日朝鮮人。


元来からのイカれた半島の血と、覚醒剤の常習で狂い、女子供をターゲットとして襲撃し、我が物顔でのさばっていた。


被害にあったのは、俺と姉ちゃんだけではない。

数多くの女子供が苦渋の仕打ちを受けていた。


朝鮮は弱い者には強く、強い者には弱い。


未だに、令和の現代でも、朝鮮人を庇うバカな日本人が居んのが困る。


人の顔した鬼畜である。


警察も朝鮮には甘い。


むしろ同調してる節があるのは国家的洗脳の筋があるからだ。

鬼畜の血は、当時から現代に至るまで変わらない。



トシおじちゃんが


「とりあえず仁公のヤサ乗り込むど。みんなは野郎が逃げねぇよう見張ってくれたらいい」


「そんだけでいいんけ?」


社長が拍子抜けしたように言う。


「ああ。野郎は逃げ足だけは早えかんな」



そして一同は、BMWのリムジンに乗り、仁公の住処に向かう。


ここからなら五分とかからない。




そして・・・・





・・・・・・。




風が吹けば倒壊しそうなバラック小屋。


面積は30坪位。


敷地内はゴミ袋だらけ。


村人が誰しもさける仁公のアジトだ。



皆、それぞれ散開し、四方を固める。



トシおじちゃんが玄関であろうガラス戸をたたく。



すると、




草色の汗臭い作業着姿の、醜悪な顔面をした仁公が現れた。




トシおじちゃんが


「おう!仁公!ウチの身内が世話んなったのぅ」


とっさに腰にぶら下げた鎌を抜く仁公!


しかし、



トシおじちゃんは鎌を握りしめた仁公の右手を掴み、


「この鎌で卓美を斬りつけたんけ」


すると仁公の掴んだ右手を逆方向へギリギリとひねっていく!



「ぐう」


と、たまらず鎌を落とす仁公!


それをトシおじちゃんが拾うと、躊躇わず仁公の右顔面にあてがい深く斬りつけた!


「ぐわぁぁあ」


潜血が飛び散る!



そしてトシおじちゃんはその鎌を遠くに投げ捨て、



「すぐに出てけ。じゃねぇと次は・・・・」



少し間を開け、




「殺すぞ」



血をながし、膝まずいた仁公にトシおじちゃんがそう言うと、一同は嘲りの視線を飛ばし、悠々と去って行く。





翌日 仁公は姿を消した。





それからちょっと後に俺はトシおじちゃんからその話を聞いた。物凄く胸がスッキリした。


そして自分は偉大な力に守られている事。



暴力に対する危機管理と備え。




これが俺の基盤となり、現在もおかげさまで生きてる。



用心深さとヘタレは紙一重だが、そこは普段ちょっとムチャすれば補えるし、言葉の暴力を行使する。



そして大切な人を守る為には暴力も必要だ。



俺と姉ちゃんはちょっと痛かったが、いい勉強になった。




俺の思想が100%正しい訳じゃないけどな。


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