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期待ハズレの物語  作者: 梅屋卓美
11/12

茨城の幻想

前回でも書いたが、今回も自分の中でのある意味の句切りみたいなモンをつけたいので、またインターネット配信について語ってこうと思う。


それから第二章かな。



俺がネット配信始めたのは、2010年。


徐々にスマホが普及し、ネット社会になる転換期のような時代。


ガラケーをポチポチ弄りながら知ったのがニコニコ生放送。


そうしたら少数ながらいたのだ。


俺のように刺青を入れた配信者の方々。


俺は元来、このようなモンは、オタクの気持ち悪いヤツの社交場位にしか思っていなかった。


文字が右から左へ流れてく。


コメントだ。


これがないと配信は成り立たない。


でも、ほとんどがディスりと言われる暴言で、184とゆう匿名システムを生かしたある種の異様なノリ。


俺は表現の場としてこの生放送に飛び付いた。


固定ハンドルネームは『梅屋』。


本名から離れた名前も嫌だったし、何より覚えやすい。



さあ!




俺がやれば人は集まり、プチ芸能人になれる!



・・・・



甘かった。



誰も来なかった・・・・・・


考えてみればアホな俺にもわかる。


放送タイトルも魅力がなければ、当時の俺の配信機材は、スマホのオマケでついてきた2GBのPCと内蔵マイクにカメラ。


そして絶望的なつまんないトーク。


嫌。


コメントがないから無言放送。



ただ画質も音質も悪い画面に映るのは、キテレツな刺青を入れた奇妙なファッションモンスターだけである。


しかし不思議なモンで、こんな俺にも徐々にリスナーさんが集まりだす。



まさに『継続は力なり』である。


そしてSkypeとゆうインターネット電話で配信の仕方や機材、コツなどのアドバイスをリスナーさんから受ける。


意外な事に、配信者よりリスナーさんのほうがPCに詳しかったりするのだ。


するとあっという間にコミュニティはデカクなり、梅屋の名もチョイチョイ浸透してった。

今のように様々な配信媒体がない当時のネット事情もあったが。


あと刺青を入れてる配信者が圧倒的に少なかった事もある。


まさに『珍獣』。



悩んだのはトーク。


でも簡単に解決。



親の仇のように酒を飲めば、もう一人の自分が這い出して来る。


あとは発狂。怒鳴り散らす。


言葉の暴力の嵐だ。


配信で映る当時のポンコツアパートも暴力団事務所風に改装。


様々なヤツがチョッカイかけてくる。


配信者の中には、喧嘩凸とゆうSkypeを駆使した口喧嘩を生業としてるヤツも当時は多々いて、そいつらも完封なきまで叩きのめした。


なんせ俺は拳の喧嘩は弱いが、口喧嘩は無敵だ。


リアル口喧嘩無敵の俺にネットのオタク野郎など赤子の手を捻るようなモンだ。


そして俺を慕ってくださる同士達で結成された・・・・



『梅心會』。



メンバーは、元ヤクザや右翼、暴走族上がりが大半をしめ、刺青がないメンバーのほうが逆に少なかった。


小生意気な配信カマしてるヤツの放送に梅心會メンバーをSkypeで召集し乗り込み配信をぐちゃぐちゃにする。

そしてSkypeに呼び出し、恫喝を駆使する。

Skypeの画面上には刺青オッサンがズラリ。


キチガイ梅屋の弾丸台詞。


「配信やめるか?○されっかどっちがいいんだよ?あ?」



・・・・・・



まさに天下無双。



アウトロー配信者など恐れられナンボ。


狂人くらいがちょうどいい。


日本刀や釘バットを振り回し、警察沙汰も一度や二度ではない。


連日続く俺の怒鳴り声やパトカーに近隣の住民は恐れをなし、俺のアパート周辺はゴーストタウンと化した。


楽しかったな。


しかしこのような配信スタイルは致命的。


常に喧嘩してなければ配信が盛り上がらないのだ。


俺も徐々に老いていき、心や身体に支障をきたしてく。


俺がギターを弾こうが歌を歌おうが、そんな事に視聴者は期待してないし見たくもないのだ。


リスナーはあっという間に去って行き、只の老害呟き配信に成り下がった。


思えば夢見てるみたいだった。


当時の配信仲間もみんなやめてしまった。


全てが幻想でフィクションだったのでは?



・・・・・・・



でも確かに梅屋と梅心會は存在し、縦横無尽にネット上で暴れ回ってた。


これは事実な訳で。



いい仲間達や俺を支えてくださった皆様に出逢えた事に感謝です。



ありがとうございました。





茨城の畑から。




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