生活基準の違い
亜莉亜、二歳になりました。
まだ恋愛要素は出てきませんが、頑張りたいと思います。
「お兄様、何をしているの?」
兄の部屋へ行くと机に向かっている兄がいた。
「ん? ひらがなを覚えているんだよ。」
今年の春に小学校に入学した兄は新しく習ったひらがなを覚えていた。
「それじゃあ、私はあちらで読書をしているわね。」
私はそう言って兄の側を離れた。6月に二歳の誕生日を迎えた私はこちらの生活に大分慣れてきた。
六歳になったら小学校という場所に行かなきゃいけないのも、それを義務教育と言うのも。
私が一番驚いたのは護衛騎士や側仕えがいないということだ。ここの世界では平民みたいに自分の身の回りのことは自分でやらないといけないみたいだ。ただ、私の場合はアスカ時代から自分のことは何でもやってきたのでそこは直ぐに対応できた。
私が今読み始めた本は歴史書と宇宙の本だ。私はこの世界について詳しく知りたかったので一歳でひらがな、カタカナ、漢字を覚えたのだ。
「それにしても、やはりこの世界には魔法がないのね……。」
ここには魔法がなかった。事実、私の体の中からは魔力が感じられない。私は思わず溜息をついてしまう。
「そしてここは地球。私がいた場所は確か……アルカティアだったはず。」
「亜莉亜? そこにいるのか?」
ビクッ。
兄の声だ。
「お、お兄様? どうかしたのかしら?」
私が問いかけると兄は笑って答えた。良かった、私の焦りに兄は気付いていないようだ。
「あぁ、紹介したい子がいるんだ。母さんの友達の息子の冴島夕汰君。君と同じ二歳だ。仲良くして上げてくれ。」
確かお母様の友達の息子と言っていたから身分は同じはず。
……あ、この世界では身分はないのか。うぅ……ここの世界の常識、難しいよぉ……。よし、こうなったらこの世界で奮闘してやる!
私はそう決意して夕汰に笑いかけた。
「あなたが夕汰? 私の名前は伊崎亜莉亜。どうぞ仲良くしてください。」
「うん……よろしく。」
夕汰ははにかみながら私にそう言った。
……何、この可愛い生物!!
次はいつもより長いと思います。