新しい生活
卒業式が終わって私は家に帰った。何もかもあっという間に終わった。ぼーっとしてたら終わった。中には寝てる者もいた。すごいのんびりしてるじゃん! とか思ったけどそういうものなのかな。
明日からほんとうに皆それぞれの道へすすむ。阿季くんは美術系の専門学校、夕汰はホテルの従業員。私はバイトをしようとしたが、シュン様が明日、迎えに来てくれるから。急いで必要必需品などをマジックポケットに詰め込む。この髪色、目の色におさらばするのだ明日で。なんだか寂しくなってくるな。人生あっという間すぎて。
「今日はもう寝ようかな」
疲れすぎてそろそろ眠くなってきた。準備もした事だし、さっさと寝てしまおう。私は灯りを消して、眠りについた。
もし、もし私が異世界へ転生しなかったらこんなことにはならなかったのかな。周りに迷惑かけて、大変な思いさせないで済んだのかな。
◇◇◇◇◇◇◇◇
ジリリリ………とアラームの音がする。私は急いでアラームを止めた。普段ならすぐ動くのだけれど今日はなんだか動く気になれない。
多分私の中で寂しいのかもしれない。家を出るのが。家族の元を離れるのが。思い出の場所だから。大好きな家族がいるから。ドアがノックされる。多分リグラーだろう。どうぞと小さく声をかける。
「亜莉亜様、具合悪いのですか?」
「そんなことないわ。ただ、なんだか動く気になれなくて」
「そうですか。でもまあシュン様が来るのはお昼近くなので、ゆっくりしてくださって大丈夫ですよ」
「ありがとう」
そう言ってリグラーは私の側へ来た。リグラーは、私が寂しがってるのをわかってるのかもしれない。子供の頃から、ずっとそばにいてくれた。護衛騎士として、幼なじみとして。
リグラーの顔を見ると、少し老けて見えた。確か今年で32歳。私と、こんなにも年の差ができてしまった。まるで親子のようだ。
小さくため息をついてゆっくりと体を動かす。本当は動きたくないのだけれどそうは言ってられない。とりあえず服だけ着替えよう。歯磨きと顔も洗いに行こう。服を脱ごうとしたが、私はピタリと硬直する。
「……リグラー、いつまでいるのかしら? 私着替えたいのだけれど」
「あっ、も、申し訳ありません……!」
リグラーはお辞儀をして逃げるように私の部屋から出て言った。私は服を脱いで、横にある鏡を見た。そこには一人の女性がいた。成長した私。女性らしい、細身の体に腰まである黒髪。私ってこんな顔だったけ。
そんなことはさておいて、白を基調とした服に着替える。膝より下のスカート、胸元には薔薇の飾り。髪にはお揃いのバラの髪飾り。髪の毛は下ろそうと思ったが、結う事にした。これで少しはおとなっぽくなったかな。私は自分の部屋を後にした。




