エピローグ
私がアルカティアに滞在してから、約2週間は経っただろう。今日は日本へ帰る日。毎日が幸せすぎてあっという間だった。日本へ帰ったら卒業式もある。本当に時が経つのは本当に早くて、毎日が幸せだった。シュン様と婚約して、リグラーもそばにいてくれて、私は本当に幸せ者だ。
「シュン様、また帰ってくるわ。絶対。約束。」
「あぁ、待っている。」
辺りが光に包まれる。ついに日本へかえるんだ。また少しの間のお別れ。寂しい。
目も開けられないくらいの眩しさが私を包み込む。光が消えた頃、私は実家のリビングにいた。
あぁ、帰ってきたんだ。楽しい期間もあっという間。
がチャリ、とドアを開ける音が聞こえた。玄関を見るとお母さんがいた。私は薄く微笑む。
「お母さん、おかえりなさい」
「ただいま」
お母さんも微笑む。懐かしい風景。たったの2週間なのに。大人になった気分。何かが、私の何かが変わった気がする。
「亜莉亜、今日の晩御飯はハンバーグよ」
「本当!? 私も作るの手伝うわ!」
急いで手を洗いに行き、キッチンに向かう。お母さんの隣に立つ。あぁ、安心する。やっぱりお母さんだな。なんて言えばいいのか分からないけど、居心地がいい。大好きなお母さんの隣。
「へへへ」
「なぁに?」
「んーん」
こんな会話も幸せ。本当に居心地がいい。
私ってかなり幸せ者かも。
気がついたら夜で、時間があっという間にすぎていた。
明後日は卒業式。とりあえず卒業式の準備をする。人生は早いものだ。阿季くんとも、夕汰ともお別れ。永遠に会えない訳では無い。けれど、別々の道を歩む。ずっと一緒、子供の頃からずっと一緒だった。明後日で私たちは3人はそれぞれの道をあゆみはじめる。子供の頃が懐かしい。
「アリア様、よろしいでしょうか」
「ええ、どうしたのかしら」
リグラーが私の部屋へ入ってくる。一体なんのようなのだろうか。
「明後日、卒業式ですね」
「えぇ、そうね。人生はあっという間だわ。」
「卒業祝いにこちらをと思いまして。受け取って頂けますか?」
そう言ってリグラーが見せたのはブローチだった。ブローチの裏にはリグラーの苗字と私の日本名が刻んであった。それはアルカティアは代々伝わるもの。忠誠を誓う人に渡すものであった。
「ありがと」
少し涙が出てきたがそれは嬉し涙だった。私の顔を見たリグラーはひざまつく。
「アリア様、私は、リグラー・ジーン・アルトは貴女様に一生仕えます。貴女がいるから私はいる。これからもずっと共に歩ませて頂きます」
「えぇ、そうして」




