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星空はいつまでも美しく

大変お待たせ致しました。

 私が飲み物を買って戻ってきたらあたりは何故かしんみりとしていた。私がいない間に何かあったのだろうか。……でもまぁ、何も言いたくないってことは話したくないということだろう。話したくない時に私が問い詰めるのはおかしいと思う。なので、私は敢えていつも通りに声をかけた。


「夕汰、亜莉亜。この後寄りたいとこがあるんだ。門限大丈夫か?」


「えぇ、大丈夫よ!」


「僕も大丈夫だよ」


 寄りたい所? あれからだいぶ経ち、まだ16時半とはいえど、辺りは薄暗かった。そんな中一体何処に行くのだろうか。私と夕汰は静かに歩く阿季くんの後を歩いていく。数十分歩いただろうか。あたりは先程と一変して暗く、林のような、森のような、木々が沢山ある所を歩いていた。阿季くんは私達をどこに連れていきたいのだろうか。


「着いた」


 阿季くんが立ち止まり、空を見上げた。私達もつられて思わず上を見上げる。するとそこにあったのは空一面に散りばめられていた星屑だった。

 私は思わず声を上げる。


「綺麗……」


「……亜莉亜と夕汰にこれを見せたかったんだ」


「……阿季くん。ありがとう」


 夕汰はにこりと微笑んで阿季くんにお礼を言う。私も続いてお礼を言った。

 綺麗な星空。まるで全てを見透かしているみたいだ。美しく、儚い。私達はこんなにも儚い世界で生きて、息をして、暮らしているのだ。


 星といえば。昔、私がアスカだった頃の話。リグラーとシュン様の3人で星を見た事がある。

 アルカティアでは、星をルンチェと呼ぶ。ルンチェは女神神ルアノーアの子供と呼ばれており、1年に1度、母である、ルアノーアに逢いに行くと言い伝えがあった。私達ははたまたま、ルンチェがルアノーアに逢いに行くと言われてた日に展望台に登り、上を眺めた。

 ルンチェは東側に目を瞑る間もなく流れていた。


 綺麗だった。とても比較できないくらいに。

 3人で感動したのを私は今でも覚えている。


 懐かしく、古くの思い出。




 ◇◇◇◇◇




「……帰ろっか」


 私は2人に声をかける。暫くの間見てたけどそろそろ寒くなってきた。このままじゃ皆風邪をひいてしまう。私達は急いで駅まで行き、電車に乗る。


「クチュンッ」


「おい、大丈夫か?」


 私の小さなくしゃみに気付いて阿季くんが声をかけてくれる。私は微笑んで大丈夫よといい、また歩き出す。

 今日は本当に一日を満喫した。最近気分が沈み気味だったが、今日は2人のお陰で気分転換が出来た。本当に優しすぎる私の幼馴染達。いつも助けて貰ってばかりで、申し訳なくなる。

 2人に何か出来ることはないかな? そうだ、今度何か買おう。

 2人に喜んでもらえる最高のプレゼントを。


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