高校3年生の春
ねぇ、笑顔を貼り付けた私は貴方にはどんなふうに見えますか?
◇◇◇◇◇
夜遅くまでテスト勉強をする私。今日までになるべく詰め込まなきゃテストに間に合わない。だけど全然分からなくて結局は寝てしまった。
「………ちゃん、亜莉亜ちゃん」
「亜莉亜! 起きろ!」
「はぇっ……!?」
目を開けると私の目を覗き込んでいる幼馴染の顔があった。私は混乱して壁際まで下がる。
なぜ、2人がいるの?
混乱してる私に気付いた阿季くんがニカッと笑って口を開いた。
「これから3人で、デートしようぜ!」
「で、でーとぉ!?」
間抜けな声が私の口から出てくる。まさか、阿季くんの口からデートという単語が出てくると思わなかった。なにせ、阿季くんは恋愛から無縁の人だから……。え、ええと、ごほん。
でも、3人でデートだなんてどこに行くのかしら? デート、という単語は純粋に置いといて、昔から仲の良い3人で出かけるのは楽しみだ。
「……わかった。着替えるから2人とも出てって!」
私は2人の背中を押すと、2人の体がドアを通り過ぎた時点でバタン! と勢いよくドアを閉めた。
私はクローゼットの前に立つと、今日着る服を選び始めた。
やっぱり短パンがいいかな? それともワンピースにしようかな?
悩みに悩んだ末、私はパステルカラーの黄色のワンピースに、半袖のパーカーを羽織る。
急いで階段を降り、歯を磨くと顔を洗う。髪の毛はサイドを編み込みし、ハーフアップにして、裾の部分を巻いた。
私の髪の毛は長年伸ばしていたこともあり、腰より短い感じの長さだ。
「夕汰、阿季くん、おまたせ!」
「たく、おっせぇな……え」
「亜莉……亜ちゃん……?」
マジマジと見つめる夕汰と阿季くん。少し気恥ずかしくて思わず目を逸らしてしまった。
「へ、変かな……?」
「へ、変じゃねーよ!」
「綺麗だよ?」
夕汰と阿季くんのダメ押しにさらに照れてしまう私。顔がさらに真っ赤になっていくのが自分でも感じる。だって、真っ向から褒められると誰だって照れるでしょう? もう、どう反応していいのか分からない。
「あ! り、がとう……」
恥ずかしいけど頑張ってお礼をしたら怒鳴るようになって、最終的には声が小さくなってしまった。うぅ……だって照れるし、恥ずかしいんだもん……。
私はその照れ恥ずかしさを隠すために2人に声をかけた。
「ほ、ほら! 早く外行こ! お母さん、お父さん、リグラー行ってきます!」
私は勢いよくそう言うと、厚底のサンダルを履いた。私のお気に入りの靴。可愛くてとても大好きなやつだ。
夕汰と阿季くんは私に続いて靴を履くと、私達は駅へと向かった。




