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番外編 婚約指環

沢山待たせてしまい、申し訳ありません!


今回はシュン視点です。

 亜莉亜がいないだけでこんなにも寂しいと感じるんだな。執務をしていても亜莉亜のことばかり考えている。早く逢いたい。逢えなくなってどれくらい経ったのだろうか。……確か、今日で六年だったはず。


 後三年。後三年経てば亜莉亜を迎えに行ける。三年後にこの重要な執務も終わり、迎えに行ける。だから、亜莉亜がいなくても俺は頑張るんだ。

 亜莉亜を迎えに行ったらプロポーズをするんだ。亜莉亜がアスカの時はちゃんと伝える前にアスカの儚い命が終わってしまったから。




 ◇◇◇◇◇




【十五年前】


 もう少しでアスカの誕生日だ。俺はアスカの誕生日にプロポーズをしようと思っていた。だから正式な婚約指環を買う為に王都に出ていた。元々婚約指環はしていたが、俺達は子供だったので、婚約指環は親のお金だった。だから成人してやっと自分で買えるようになったので買いに来たのだ。あっ因みにだが、婚約指環の石はお互いの瞳の色と決まっているので正式な婚約指環もそれに倣うつもりだ。

 因みに俺は薄い緑色の瞳でよくクリソプレーズの瞳と言われる。そしてアスカは緑色の瞳であのアゲートのような瞳は本当に綺麗だと思う。


「シュン様ー!」


 アスカの声が聞こえた。幻聴か。いや、違う。脳内でそんなことを思いながら、声の主を探す。

 後ろを振り返った瞬間、アスカの薄茶色の頭が目に入った。ようは抱き締められたのだ。俺は心底驚いたが、殆ど条件反射で抱き締め返す。

 その後は色々と他愛もない話をしていた。一度、アスカに「シュン様は何しに王都に来たの?」と聞かれたが、そこは誤魔化しといた。だって折角婚約指環を買いに来たのにバレたら意味無いだろ?


 この時俺は本当に楽しかった。婚約指環も買えて、最愛の人と王都を歩けて。本当に本当に楽しかったし、嬉しかった。


 なのに、なのに…………全てロアムという魔獣にぶち壊しにされた。

 その時の記憶はあまり無い。覚えているのは、ロアムを倒したこと。アスカとリグラーのところへ行くと、アスカが死んでいたこと。

 リグラーがアスカを抱いて、泣き叫んでいたことを今でも鮮明に覚えている。他のことはあまり覚えていないのに。

 俺はただぼんやりと立っていることしか出来なかった。状況を全くと言って良いほど飲み込めていなかった。

 折角、折角婚約指環を買ったのに……。この日を凄い楽しみにしていて、やっと買えたのに。気が付くと涙が溢れて来た。


 悔しかった。婚約指環を渡せなかったこと、プロポーズ出来なかったことが。全てにおいて悔しかった。そして何より悔しかったのは世界で一番愛している人を失ったこと。守れなかった。そしてただただ悲しかった。アスカ、ほんとごめんな……。





 これは俺の今までで一番辛くて、悲しかった話。婚約指環は今でも手元に残っている。今度こそ渡すんだ。三年後、亜莉亜を迎えに行って、ちゃんとプロポーズして渡すんだ。それが俺の夢。それを糧に俺は頑張れる。

シュン「あぁ、でも俺三年後、三十代後半だ……」


(シュン三年後、三十六歳。)

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