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ねぇ、部活どうする?

「うふふ~ん」


 鼻歌を歌いながら一階へ降りる。学校が楽しみで仕方無い。横からクスッと笑い声が聞こえて、慌てて横を見るとお兄ちゃんが立っていた。一気に顔が真っ赤になる。


「そんなに学校楽しみなんだ?」


「う、うん」


 お兄ちゃんの質問に答える私の声の、少し震えていた。は、恥ずかし~!

 お兄ちゃんは相変わらず此方を見て微笑んでいる。まだ顔が火照ってる気がする。どうやら兄から離れない限り、顔の赤みは引かないようだ。

 私は鞄を手に取り、急いで靴を履く。そして勢いよく玄関を飛び出した。


「行って来ます!」


 最後にそう言うのを忘れずに。

 玄関の前で待ってくれた夕汰と阿季君に挨拶をして、私達は学校へ向かう。


「そう言えばなんだけどさ。亜莉亜と夕汰は部活決めた?」


 阿季君が私達の方を向いて聞いてくる。そう言えばあまり決めていなかった。どうしようかな。

 部活は運動部・文化部含めて全部で二十七個ある。私が良いなと思っているのは、美術部とバスケ部だ。

 幸い、絵を描くのも運動するのも嫌いじゃない。

 私が阿季君にそう伝えると、成る程と頷いていた。夕汰は夕汰で「美術部かバスケ部……」と呟いていたし。




 ◇◇◇◇◇




 教室の中へ入ると、顔見知りがいなかった。入学式の時から薄々と感づいてはいたが、もしかしてこのクラスには小学校から上がって来たのは私含めて夕汰と阿季君だけ!?


「皆さん、朝の会を始めますよ。自分の席に着席して下さい」


 ……何故だか聞き覚えのある声がする。嫌な予感を感じながらも意を決して顔を上げる。するとそこにいたのは………


 リグラーだった。


 私は思わず声を上げる。


「えぇ!? リグラーが何故ここに!?」


 瞬間、当然の如く私は注目を浴びる。だが、私はそんなことお構い無しに、驚きの表情を隠せなかった。

 そりゃそうだろう。朝早く仕事に出掛けたと思っていたリグラーが私のクラスにいるのだから。

 私は一旦気持ちを落ち着けて、夕汰と阿季君の方を見る。二人はそれこそ声には出していないが信じられない、と言う顔をしていた。

 まさか、まさかとは思うが、リグラーが私のクラスの担任だなんて言わないよね……?


「その事については後でお話します。まずは、私の自己紹介をさせて頂きます」


 リグラーは微笑んで話し始める。一部の女子生徒が顔を紅く染めたのは言うまでも無い。


「私はリグラー・ジーン・アルトと申します。今年で二十六歳になります。君達のクラスが初担任となりますが、精一杯頑張ります。宜しくお願い致します」


 終始微笑んで話すリグラーは想像以上に格好良かった。だけどね、私どうしても気になることがあるんだ。

 教員免許いつ取ったのよ。




 ◇◇◇◇◇




 時が経ち、時刻は放課後になった。私達三人は部活動見学をすることにした。

 どの部活を見に行くかと言うと、勿論バスケ部と美術部だ。因みに、リグラーは美術部の顧問らしい。これを単なる偶然と決め付けて良いのか分からないが、そこは敢えてスルーすることにした。



 二つの部活動見学も終わり、私はどちらに入部するか決め倦ねていた。二つ供素敵な部活だ。う~ん、と悩む私。


「よし、決めた! 私美術部に入るよ。リグラーもいて安心だしね。二人はどうするの?」


「……僕も美術部」


「……俺も」


 私が二人に聞くと、二人は何故か気まずそうに顔を反らしながら答えた。

 何故顔を反らしながら答えるんだろう。まぁ、別に良いけど。

 こうして私達は美術部に入部することになった。


 ――――………家に帰って、リグラーに何故私のクラスの担任になったか問い詰めたのはまた別のお話だ。

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