入学式
いつも通りの朝、いつも通りの私。ただ一つ、違うことがある。それは今日、私が中学生になること。
私は制服のネクタイをきちんと結ぶ。小学生の頃とは違う制服。小学生の制服は丸襟にパフのブラウスに小さめのネクタイだった。だが、中学生は普通のブラウスにベスト、ブレザーにネクタイだ。
コンコン
ドアがノックされて、私は返事をする。するとリグラーが中に入ってきた。
「亜莉亜様……朝食が出来ましたよ」
いつも通りスーツ姿のリグラー。リグラーは此方に来たかと思うと、私の目の前で跪く。そして私の手の甲にキスを落とす。
「亜莉亜様、制服姿とてもお綺麗です」
「リグラー、ありがとう」
私は思わず微笑む。リグラーの優しさが嬉しくて。私達は朝食をとるために一階に行く。
……そう言えば今更だけどリグラーってなんの仕事をしているのだろう。
それはさておき。私達は食卓について朝食をとる。うん、やっぱりお母さんのご飯は美味しい。
ピンポーン
インターホンが鳴り、お母さんは急いで玄関の方へ向かう。こんな朝から誰だろう?
「亜莉亜~!! 夕汰君と阿季君が来たわよ~!」
「え、嘘!? 歯磨くからちょっと待ってて!」
居間に通された夕汰と阿季君に声を掛けて私は歯を磨きに行く。
「相変わらず亜莉亜はせっかちだな」
「ふふ……そうだね」
阿季君と夕汰が何やら言っているのが聞こえる。もう、うるさいなぁ。
歯磨きを終えた私は鞄を手に、二人の待つ居間へ行く。
「お待たせ!」
私は笑顔で言う。刹那、二人はポカンとした顔をした。
えぇ!? 私変なこと言った??
「え、え~と……二人供どうかした?」
「あ……いや、制服すげー似合うよ」
「うん……凄い可愛いよ」
私が恐る恐る聞くと、阿季君は少し照れながら、夕汰は真顔で私を褒め称えた。私は思わず破顔する。
「ふふ……二人供ありがとう。阿季君と夕汰もとっても似合ってるし、格好良いよ」
二人供今度は顔を真っ赤にした。私は首を傾げる。まだ春だけど二人供暑いのかしら。
そうこうしているうちに、登校する時間になった。私は皆に「行って来ます」と告げて、二人と供に登校する。二人と同じクラスになれると良いな。
私はそんな思いを胸にしまって、中学校へ向かうのだった。
◇◇◇◇◇
「ヤバい……どうしよ。緊張するよぉ」
「あ、亜莉亜ちゃん、落ち着いて……?」
「二人供焦りすぎ。それより三人供同じクラスになれるかな?」
私が顔を強張らせながら言うと、夕汰と阿季君が声を掛けてくれた。
私達は校門を潜り、玄関まで行く。そして、自分のクラスを確認した。三人供同じクラスになりますように、と祈るのを忘れずに。
「……あっ! 夕汰、阿季君! 三人供同じクラスだよ。A組だって」
「うぉ! マジか。やったな」
私達は手を取り合って喜ぶ。本当に良かった。
そして最後のビッグイベント、入学式が始まる。少しどころかかなり緊張する。だけど大丈夫。夕汰と阿季君がついているから。
◇◇◇◇◇
「お、終わったー!!」
入学式は無事終わり、私と夕汰と阿季君は私の部屋にいた。物凄く疲れた。かなり疲れた。
だが、なんとかやっていけそうで良かった。私は一安心する。
ただ一つだけ、気になることがあった。
普通なら、入学式なので担任がいるはずだ。だが、何故か私のクラスにはいなく、副担が変わりをしていた。
副担曰く、「今日は休み。明日になれば分かる」とのこと。なんだそれ。
まぁ、兎も角。明日から楽しい中学生ライフが私を待っている。人生を謳歌するぞ!!
因みにこのあと、伊崎一家、遮島一家、前野一家で楽しくワイワイしました。




