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どうしてこうなったんですか?

お待たせ致しました。

 何がいけなかったの? 私何かした? もう嫌だよ……。




 ◇◇◇◇◇





「……え、阿季君。それ……どういうこと?」


 多分、私の口はわなわな震えていたと思う。全く理解が出来ない。いや、出来ないのでは無くて、頭に入ってこないのだ。


「……これ」


 そう言って阿季君が差し出してきたのは一枚の紙だった。何だろうと思ってよく見てみると、それはとても酷いものだった。怖くて、見るのも躊躇われる程……。

 自分でも体が震えているのが分かる。一粒、二粒、と涙が出てくるのが分かる。


「……これ誰がやったの」


 夕汰が小さく呟く。私は阿季君は一斉に夕汰の方を見る。


「……ねぇ、阿季君。これ誰がやったのって聞いてんだけど」


「わっ分からない! 俺が来たときには既にあったんだ!」


「ふーん」


 例の紙を冷ややかに見つめる夕汰。私は初めて夕汰のことを少し怖いと思った。


「亜莉亜ちゃん、阿季君。行こう」


「えっ!? ちょっ夕汰!?」


 夕汰に腕を引っ張られる私。気がつくと教室の前まで来ていた。夕汰は一体何をするのだろうか。


「亜莉亜ちゃんをいじめてるのって誰。名乗りあげてくれない?」


 無表情で言う夕汰。皆の体がビクリと震えたのが分かる。その中の三人が出てくる。一人は何故かバケツを持っている。


「ねぇ、夕汰くーん、阿季君。亜莉亜ちゃんから少し離れてくれないかなぁ?」


 ニコニコと笑いながら言う女の子。三人のうち、二人がグイッと阿季君と夕汰を無理矢理私から遠ざける。


「ちょっ何すんだよ!? 離せよ!」


 阿季君が文句を言う。その時だった。


 バシャーン!!


 私にバケツの中の水がかけられたのは。学校指定の制服から水が滴り落ちる。ぽたっと音がして、髪から雫が床に落ちる。

 気が付くと、私の周りの床には水溜まりが出来ていた。教室の中はまるで時が止まったかのように静かになった。


「……は? お前らマジで何をしてんだよ! ふざけんじゃねーよ! と言うか離せ!!」


 斜め前を見ると、阿季君が完全に怒っている。というか小3であの口調は凄いわね。


「……そろそろ僕のことも離してくんない?」


 チラリと夕汰の方を見るとかなり怒りまる出しだ。例の三人はススーッと夕汰達から離れていく。そしてどんどん顔が青くなっていく。


「あなた達! 何をしているの!?」


 横を向くと、先生が慌てて駆けてくるのが見える。


「伊崎さん、大丈夫!?」


「……大丈夫です」


 取り敢えず私は大丈夫だと伝える。だけど、だけど……………

 本当は少し泣きそう。いや、もう泣いた。私何かしたかなぁ? どうしてこんな目に合わないといけないの? 辛くて、悲しくて、寂しくて……もう嫌だ。


「そう……それじゃあ保健室に着替えに行きましょう。誰か一緒に行ってあげて」


「「僕(俺)達が行きます」」


 夕汰と阿季君が同時に言う。……私は本当に幸せ者だな。優しい友達を持って。二人が居なかったらもう駄目だったかもしれない。

 夕汰、阿季君。ありがとね。




 ◇◇◇◇◇




 保健室のカーテンに隠れて貸してもらった制服を身に付ける。本当ならジャージに着替えたかったのだが、今週は体育が無くてジャージを持って来ていなかったのだ。


「夕汰、阿季君。お待たせ」


 私のことを待っていてくれた二人に声を掛ける。私達は保健室を出て、教室へ戻ろうとする。


「あ、あの…………」


 目の前には例の三人組がいた。一体何の用だろうか。


「「「ご、ごめんなさいっ!!」」」


 三人はそれだけ言うと、さっさと言ってしまった。私達はポカーンとしながら三人が去っていった方を見る。


「何なんだ、あれ」


 阿季君が突っ込む。そりゃそうだろう。謝るだけ謝って去っていったのだから。まぁ、別に良いけど。


「まぁ、謝って来たし。一件落着、と言うことで良いよね?」


 二人の方を向いて言うと、二人は満面の笑みで頷く。何がともあれ、解決したから良かった。


 私達の小学生ライフはまだ始まったばかりなのだから。







小学生編はこれで終わりです。次回は中学生編です。

あっでも三章はまだ終わりませんよ!

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