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プロローグ

お待たせ致しました。三章スタートです。ちょっぴり不安なスタートですが、温かい目で見守って頂けると嬉しいです。

 貴方がいない日々にもう慣れてしまった。少し寂しいけれど、貴方が来るのが分かっているから。私は前を向いて頑張るよ。




 ◇◇◇◇◇




 伊崎亜莉亜、九歳。隣にいるのは冴島夕汰と前野阿季君だ。私達は並んで学校から帰る。

 幼稚園からずっと一緒だった二人。この二人のお陰で私はシュン様がいなくても頑張れるんだ。


「……莉亜、亜莉亜!」


 横を向くと、阿季君がこちらを睨んでいた。ボーッとしすぎて、阿季君の話を聞いていなかった。


「ご、ごめん。何?」


 私が咄嗟に謝ると、阿季君は溜め息を突いた。そして、また話し出す。


「だから、例の幽霊屋敷に行こうって言ったんだよ。」


「ゆ、幽霊屋敷!?」


 思わず驚いたような声を出してしまう。阿季君は頷きながら詳しく私達に説明する。そして、大きな声で宣言した。


「そうと決まればさっさと行くぞ!」


「えっ!? ま、待って。もう暗くなるよ~!」


 夕汰が眉尻を下げて言う。私もそれに賛同して首をコクコクとさせる。


「それが良いんだよ! ほら、行こうぜ!」


 こうして私達は(半ば強制的に)幽霊屋敷に行くことになった。

 阿季君に続いて、私達は薄暗い道を歩く。辺りはもう真っ暗。全てが闇に包み込まれている。暫く歩いていると、阿季君が止まった。どうかしたのだろうか、そう思っていると阿季君は口を開いた。


「……着いた。ここが例の幽霊屋敷だ。」


 目の前を見てみると、そこはおどろおどろしい雰囲気をした大きな屋敷だった。


「ね、ねぇ、阿季君。本当にここの中に入るの……?」


 思わず私はそう聞いてしまう。すると、阿季君はニヤリとして言う。


「亜莉亜もしかして怖いのか?」


「こ、怖くないもん! ほら、夕汰、阿季君、早く入ろう!」


 中へ入って見ると、真っ暗だった。全てが不気味さを物語っていた。思わず身震いをする。


「ぼ、僕、帰りたい……」


 夕汰が小さく呟く。私も共感だ。でも、先程強がった以上後戻りは出来ない。


「……俺、今気付いたんだけど……。さっきさ、二階の窓から女の人がこっちを覗いていたんだ……」


 顔からどんどん血の気が引いていくのが分かる。夕汰が私の腕を強く掴んできた。

 思わずビクッとしてしまった。


「……阿、阿季君。夕汰もこう言っているし、そろそろ帰りましょう?」


「そ、そうだな。」


 私達は急いで家路に着いた。




 ◇◇◇◇◇




「亜莉亜様、お帰りなさい」


 リグラーが出迎えてくれる。リグラーは琥珀色の瞳を細めてこちらを向いて笑っている。私と一緒に地球に戻ってくれた護衛騎士。私を守ってくれる優しい人。


「リグラー、ただいま」


 私はそれだけ言うと、ささっと部屋に向かう。そして、ベットに倒れ込む。

 シュン様に逢いたいと何回も思ってしまう。逢えないのに。

 私は私に嘘をついている。シュン様がいなくても大丈夫、頑張る、なんていっているけど本当は大丈夫じゃないし、頑張れない。寂しい、早く逢いたい。でも、逢えるのは何年も先だもんね……。






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