解決
大変お待たせ致しました。今回もシュン様視点です。今回も少し短くてすみません……。
剣を投げ捨てたユーマは、口をそっと開いた。
「アスカ、いやアリアが手に入らないのなら私はもう諦めるしかない。どんな処分でも受けよう。」
違う、と俺は呟く。だが、その声は誰にも届かない。今度は声を張り上げて言う。
「違うんだ! 俺はそんなこと望んでいない……!」
「……何が違うんだよ……。私はもうどうでも良い。」
俺の言葉を否定するユーマ。どうでも良いと良いながら儚く笑っているユーマ。そんなに辛いなら何故こんなことをしたのだ?
「ユーマ様、私達は貴方の処罰を望んでいません。」
アリアがユーマを真っ直ぐ見据えて言う。
「でも私はそなたらに酷いことをした。」
そう吐き出したユーマはとても見ていられないほど悲痛な顔をしていた。後悔がつもりに積もっている、まさにそんな感じだった。
「じゃあ、処罰は無しにしましょう。」
「なっ!? だから私はそなたらに酷いことを……」
「だからこそです。」
ユーマは訳が分からないという顔をしたが、もうお手上げだという風に溜め息を突いた。
……これは、一件落着ということで良いのだろうか。何だかおかしな方向に行ったと思うのは俺だけだろうか。……まぁ、なんだかんだ言って平和に解決出来たならよしとするか。
◇◇◇◇◇
「アリアッ! 大丈夫かっ!?」
「……お兄様。えぇ、大丈夫ですわ。心配して頂いてありがとう存じます。」
アリアがおしとやかに言う。ふわりと笑うアリアは可愛かった。こんな時にアリアを可愛いと思ってしまう俺は本当に馬鹿なのだろう。
思わずアリアのところまで行き、抱き上げる。
「シュ、シュン様!?」
「カズト、アリアは無事だ。リグラーも。ありがとな。」
そう言って貴族らしく頬笑む俺。カズトとリグラーを見れば、二人共心底ホッとしたという顔をしていた。
「取り敢えず、リトリーチェ家へ戻るか。……あぁ、そうだ。リグラー、ヨーカ様に至急連絡を頼む。」
「分かりました。」
リグラーはユーマの母親のヨーカ様に連絡を取る。流石俺の右腕。ムカつくが仕事は早い。
こうして、アリア誘拐事件(と俺が今、勝手に名付けた)は幕を閉じたのだ。
◇◇◇◇◇
リトリーチェ家に帰ると、ハルカ様とヨーカ様が待っていた。
「……ッユーマ!」
ヨーカ様は涙を、流しながらユーマに抱きつく。ユーマは一瞬、呆然としていたがやがて、ハルカ様を抱き締め返した。
そして、ぼそりと言ったんだ。
『……母上、ただいま戻りました。』
と。感動ものだな。あの二人が再会できて良かったと心から思うよ。
だから俺はこの幸せがずっと続くと良いなと思っていた。今、この時が一番幸せだから。
次回はエピローグの予定です。つまり、二章は次で終わりの予定です。
もし、誤字等があれば教えて頂けると幸いです。それと、ブクマが一件増えていました! ありがとうございます! もう感謝してもしきれないです。これからも頑張って行くのでよろしくお願いします。(*^^*ゞ




